編集について


コルクラボで編集についての本が話題になっていて、いろいろな人が絶賛しているので1時間だけと時間を決めて読んでみた。いろいろな理論を集めた「まとめ」のような本で、とてもわかりやすくて、「これってこういう言葉で説明するとこんなにわかりやすいんだ!」という発見に満ち溢れていた。……ただ、私が感覚として持っていたものに言葉を与えられた喜びはあれど、「うんうん、わかるわかる」ということが多くて、何か新しいものを見つけ出すという本ではなかった(アフォーダンスの説明はこれまでで一番わかりやすく、理解が深まったけど)。こういうことって声を出してわざわざ言うことでもないのだけど、なぜこういうことが起きたかというと、私が編集的なことを普段からとてもたくさん考えているからなのだろう、と思った。自分の中で理解や解像度がもともと高い状態で、そうではない人が本を読んで大絶賛、という意見を聞いてしまったのでハードルが上がってしまった。自分の編集領域に近いことは、普段からたくさん考えているので、一般の人と感覚が違うということは肝に銘じるべきだろう。ただ、ハードルを上げない前提で考えるとすごくいい本だと思うので、時間を作って読みたいとは思う。一度読めばいろいろなものの視野が開けてくるとは思った。

昨日は小説の1章を推敲して、編集者さんに送った。まだ2万字くらい。「こう書けばいいのか」とわかって、書いてみると「こうじゃなかった、こっちか」となるという繰り返し。まだ私の中にパターン(引き出し)が少ない。ライター仕事と何が違うかって「これを表現したいならこうしよう」という選択肢がとても多いライター仕事に対して、小説の方はまだまだ持ち駒が少ない。それは繰り返していくしかないし、繰り返せば増えていくということをライター経験でわかっている。一度何かを深めると他のことがやりやすくなるのは本当で、横にスライドさせればいい(これも編集の本に理論が書いてあったw)。2章に入った。もっともっと技術を高めたい。

cakesが炎上していた。書き手の方がかなりないがしろにされたという告発記事のようなもの(それをnoteで書いているというのがすごい)。私がまず思ったのは、自分が同じような目に合ったら声を上げられるかということ。あげられないだろうな。他の編集者にどう思われるかわからない、というリスクを負えない。それはその方と違って専業だからなのかもしれないけれど、声を上げるのは本当に勇気がいる、大変なことだ。