人材紹介業のプロとしてさまざまな人を見てきた石塚毅さん(株式会社求人)。人を見極めるときに、どこを見ているのか聞いてみました。過去には「九星気学」を学んで人を見ようとしたこともあるとか!(でも先入観が邪魔をするとわかってやめたのだそう)。本当に博識で驚きます。
クリエイティブの。
反対語。
こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。
石塚毅(たけし)です。
はい、このポッドキャストは、私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をゲストにお迎えして、クリエイティブなことや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。今日も石塚さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今までずっと採用業界にいて、人を見るっていうことをずっとやってきたわけですよね。
一応、一応は。
(笑)。なんかやっぱり見る目みたいな、よく採用してる人とかで「いくら面接して採っても、結局一緒に働いてみないとわかんない」とかいう話をよく聞くので。
はい。
人を見るのってやっぱりすごい難しいだろうなと思うわけですよ。
えぇ。
「石塚さんはどういうところで人を見ているのかな?」っていうのをちょっとお聞きしたい。
前提として、「どんな人に来てほしいのか」ということをまず決めるのが一番最初ですね。
会社で採用したい場合。
そうです。
はい。
だから、そのターゲットとする人をなるべく具体的に一人のリアルな人間として思い浮かべることがとても大事ですね。
ふーん。
本当に細かく。
例えば?
年齢、性別、経験値、親の職業、出身地、好み、居住地、あるいは性格、得意なこと、不得意なこと。
それ全部に理由がいるってことですよね?
やっぱりそれが細かければ細かいほど、人間って何でもそうだと思うんですけど意識するものしか見えないんですよ。
わかります。
はい。で、採用がうまくいかない場合っていうのは、その意識するものがなく、全体を見ようとしてるわけですね。
「いい人採りたいなぁ」みたいな(笑)。
そうです。いい人って、「栃尾さんにとってのいい人って?」っていう話なんですよ。
はい。
そのいい人を、もっと具体的に、例えば、もう本当に色々あって、これ実際の例ですけど、何の取り柄もなくていい。けど「物事を長く続けられるっていうことが人生で証明できる人だったらもう喜んで採ります」っていう求人で、すぐ決まった例があるんですよ。
へぇ。
ちょっと目を合わせるのは苦手で、プレゼンタブルに話すなんてとんでもない。だけど、この子に母親がいるとしたら「この子は何も取り柄ないけど中学高校は一度も休んだことないですよ、真面目でいい子なんです」っていう人が欲しいんだと。
あぁ、はい。
そうしたら、すごくわかりやすいでしょ?
はい、確かに。
そう別に、勉強イマイチ、スポーツあんまり、ルックスうーん。でも、真面目にコツコツやることができる。素晴らしい。それ一本で、それだけを見ようとするならば、あなたが今まで続けたこととか、例えば「中学校ってどれぐらい欠席しましたか」とか「高校時代どれぐらい出席欠席どうでしたか」みたいな、何なら通知表の出席欄だけでも見せてもらえば、どんな人かわかるじゃないですか?
はい、はい。なるほどねぇ。
だから、「どこに意識を置くか」によって、その「いい」っていうのは、無限に定義ができるので。
確かに。
今の採用でいまだにそうですけど、うまく行かない会社さんっていうのは、それがあまりにも抽象的で茫洋としてるわけですよね。
なるほどね。私もちょっとその話を聞いて思い出したのが、何か人に会った時に「この人はいい人かどうなのか」「信用できそうか」っていうのを、今まであんまり意識したことなくて、で、第一印象と、あと付き合っていくのが結構ギャップがあったりとかがあったんですけど。
えぇ。
最近は、「子供にとってこの人は」って考えるようになったんですよ。「子供はこの人に懐くだろうか?」「子供はこの人を好きになるだろうか?」というので、「この人は子供に対して心をオープンにできるだろうか?」っていう目で見るようになったら、わりと第一印象で人がわかるようになってきたなと思ったんですよね。 それも絞ったっていうことですよね?
それは栃尾さんの意識が、「子供が懐くかかどうか」っていう、まぁでも、そうかもしれませんね。それがペットっていう人もいるだろうし、あるいは、それは金融知識なのかもしれないし。外国の海外留学かもしれない。それを話したときの波長の合い方っていうのは、その人それぞれによってその意識をする場所が違うから。
はい。
それは無限にあると思います。
うん。今は求人の話でお伺いしましたけど、石塚さんご自身がお仕事関係なく、どんな風に人を見てるってあります?
別に。普段はもう別に普通。普通っていうか、別に害がなければ「こんにちは」ぐらいのもん。
(笑)興味を持つ人、持たない人とか。
それ、オフの話でしょ?
オフの話。
オフの話なんかもう全然お付き合いがある人と別に。
縁があれば?
縁があれば。
へぇ。
子どものPTAの役員もしているし。
今ですか?
してます、してます。
へぇ、小学校? 中学校?
中学と高校です。
へぇ。
それはもう4年目なんで。
へぇ、嫌いな人とか、タイプとかありますか?
いや、あまりいない。
誰でも大丈夫?
わりと大丈夫。僕の悪口言わなければ。
ハハハ。まあ、百戦錬磨の営業マンですからねぇ、誰でも行けるんだ(笑)。
全然。普段は営業でもなんでもないから。
そうなんですね。
別に職業とか、普段何してるとかが関係ない繋がりってとても貴重じゃないですか。
はい。
本当に友達なんで、まあ、友達と楽しい時間を過ごせればっていう。
なるほど、じゃあ、質問を変えると、「自分に合いそうだな」っていうのはどんなところを見るんですか?
仕事で?
うーん、まずは仕事で。
仕事で合うかどうかは、まず問題意識が近いかどうかですね。
へぇ、そういう話を具体的にするってことですか?
そうです。
へぇ、例えば?
例えば、「こういうことありましたよね?」って、「どう思いますか?」みたいなジャブ入れても。
ニュースとか?
ニュースでもいいですし、例えば、「A社リストラありましたねぇ」って言ったときに、それを振ったときに次に何が返ってくるかとか、どこまで話が膨らむかとか。
なるほど。
そういう風なところを見れば、「この人はできるな」とか、「できないな」とかあるじゃないですか?
はい。
やっぱり、わりと短時間でわかると思っていて。
はい。
コミュニケーションの一往復、二往復で大概わかるっていうか。
そうなんですねぇ。
うん、あとは、その人独特の空気感というか、ちょっと抽象的な話ですけど、そういうものがある人とか、一見なさそうだけどすごくある人とか、その人が身に纏ってる空気感っていうのは、一朝一夕にはできないから、「この人ってこういうことをずっとやってきたのかな?」って。例えば、栃尾さんってずっとほらフェイスブックにある140文字、「今日の140文字」書いてるでしょ?
はい。
やっぱり、ああいうものを続けてらっしゃる人っていうのはライティングっていうことに関しての何らかのご自身のポリシーがあるし、やっぱり続けられるってことはその何かの証明でもあるわけじゃないですか。
なるほど。
だから栃尾さんには、そういう空気感が。
空気感が(笑)。
そうです、あるわけですよね。
へぇ。
そういうものって、一定経験を積んだ人ってそれぞれ持ってると思う。それがないっていうのは多分真剣に何か仕事してないんだと思う。
ふーん。
うん。
ないっていうのはなんか、
感じられないっていうことですよね。
「喋ってて感じられない」っていうのがある?
そうですね、感覚的にね。
へぇ、じゃあ、今みたいな問題意識が合うかどうかと、空気感を見てると?
空気感、そうです。
へぇ、空気感って確かにでも難しいですね。
でも、空気感ない人ってたぶんダメだと思うな。
ふーん、いっぱいいます?
少ないです。
あっ、大体空気感何かしらあるってことですか?
少ない、あんまりいないです。持ってないです。
空気感持ってない人の方が多い?
多い。仕事はね。
はい。
オフはそんなの関係ないから、別に普段何やってようが楽しく話ができて、楽しい時間を共有できれば、もう全然何でもいいので。
オフは、自分と合う人ってどういうところで感じるんですか?
うーん、そんなのもう感覚というか。
あんまり考えてない?
そうですね。あとは、どうしても子供を通じてになるけど、子供同士のお父さん同士っていう付き合いが、例えばあるとするなら、それは何か一つのことを一緒に協力してくれるとか、一緒にやるとか、そういう風なものが強ければ強いほど仲いいですよね。
あぁ、はい、はい。
役員やっていて、多分この1年役員やっていて、8人はすごく仲いいから、毎月打ち合わせを。
お父さん同士ですか?
その通りです。父親の会っていうんですよ、その学校。
いいですね。良いっていうか、良いのか悪いのか。
良いです。僕の貴重な友達(笑)。
なるほど(笑)。
そうです。
そういうのに協力的なお父さんって、確かそんなにいない感じしますよね。
そうです。ちょっと数年前から”とりまとめ役”、わりとまあ嫌いじゃないんだけど、そういう”とりまとめ役”をこうやり始めて、嫌いじゃないんですよね。
へぇ。
僕はわりと裏方仕事好きなので。
へぇ、そうなんですね。
はい、そういう色んなそういうものをやってますけどね。
ふーん、さっき仕事の話に戻りますけど、その問題意識が近い人がっていう風に仰ってましたけど。
はい。
そういうなんか人を見るときに、ここを見ようみたいなのは、いつごろ身に付いたんですか?
まあ、人材ビジネスをずっとやってきたので自然に。
自然に?
やっぱり1つ必要な能力として、「短時間で、ある仕事がまずどれぐらいできるのか」、「できる人なのか、できない人なのか」っていうのを測らなきゃいけないので、それは色んな測るための技術は身に付けましたよね。
他に何か試してみたことありますか?
試す?
うん、今のやり方の前に、何かこういうところを見たらいいのかなとか。
ひと通りはね、やりましたよね。例えば、「九星気学」見るとか。
きゅうせい?
「九星気学」って、一白(いっぱく)から九紫(きゅうし)まで、中国4,000年のデーターベースがあって。
占いみたいなやつですか?
そう、そう。僕だったら三碧(さんぺき)だけど、栃尾さんは何なんだろう? わからない。イチ、ニ、サン、シ、ゴ、ロク、シチ、ハチ、キュウで星があるのね。
七赤金星とかいうやつ?
あぁ、七赤。
はい。
だからそういう、人間の相性とか。
そういうのまで見てたんですか?
そうなんですよ。
すごい。
一時期、その短時間で生年月日さえ見れば、相性や傾向とかそういうのがあって。それはいくつか何種類か勉強したことある。
それはどうだったんですか?
まあ、ある部分そうだとも言えるけど。
そこまで当てにならない?
なんかスコープで相手を見ると、余計な固定観念が付いちゃうんで。
あぁ、邪魔になる?
邪魔になる。
なるほど。
ただ「七赤の人はこうだったよなぁ、今年はこうだよなぁ。七赤は何の星に入るから今年は上昇傾向だ」とか、チャンチャラおかしいわ、そんな。七赤なんて。
なるほどね。
だって同級生みんな七赤じゃないですか。
うん、確かに。
太女(たじょ・栃尾の出身校太田女子高の略称)の同級生みんな七赤だと考えればね、そんなの。「だって色々人生ありますわ」みたいな感じだから、あんまり全然そりゃもう昔の話ですけど。
そっか、固定観念になっちゃうのもあれですね。
なんかどんどんやっぱり、そのたくさんの人に会うと、自分なりの感じ方みたいなものが自ずと身に付くって感じでしょうか。
ふーん、その時でもあれですかね? その自分なりのテクニック、プラス、どういう人を採用したいっていう会社の意図を持って挑むって感じですかね?
そうですね。今はもっとシンプルで、その会社さんごとに「どんな人をターゲットにしますか」っていう設定を一緒に考えて。
それも難しそう。
それを形にする。形っていうのは文章の形にして。だからある意味栃尾さんと仕事が重なるですよ。僕も求人のライターなんで。ある意味でね。
確かに。
ライティングする時間て、ものすごいエネルギー使うし、昼間はできないです。いつもだいたい早朝、深夜から始めて早朝までやるんです。
夜中にやるんですか?
夜中にやります。大体一回21時……、21時は早いな、22時半ぐらいに寝て、2時に起きて明け方の6時までやります。
すごい。でも、ヒアリングは難しくないですか? 社長さんから出てくるものですか? こういう人が欲しいって?
まあ、もちろんこれはどちらかというとインタビュアーの引き出し方っていうところですよね。
ですよね、知りたい。やっぱりICU行かないと(笑)。
ICUへの入学を検討された方がいいと思いますね。
ちょっと教えてくださいよ(笑)。
だから、シンプルにいつも考えるってことがとても大事ですよね。
シンプルに考える。
まず、「どんな人が必要なのか」「なぜ必要なのか」「じゃあ、今の社員さんってどうなのか」みたいなことを聞く一方で、求職者から、つまり、自分の仕事を探している人から見たときに、客観的に、自分はほらその会社の社員じゃないでしょ?
はい。
「客観的にどう見えるのかな?」っていう視点はすごく大事にします。
会社自体が?
そう、外から見たときに。
あぁ。
あとは、やっぱり今は求職者のほうが力が強いから、「僕がこの会社に入ったときに、どんな良いこと、メリット、ハピネス、ベネフィットがあるのか?」ってことは、具体的に聞いていきますよね。
はい。
それが何もなくて仕事がハードだったとしたら、「誰がそんな会社行きますか?」って話じゃないですか。
そうですね。
だから、「この会社に入ると何がいいだろう」っていうことを求職者目線で、外から見ながら、それをすごくキチっと意識しながら、「じゃあ、どんな人をターゲットにするんだろう」ということを考えていく。簡単に言うとね。
簡単に言うと。残りはICUで(笑)。
ICUで、入学お待ちしています(笑)。
そうですね(笑)。じゃあ、今みたいなご相談されたい方は「株式会社求人」にご連絡いただければと思います。
はい。
えっと、私からの告知はですね。『EMITOCHIO.net』というホームページがございまして、このポッドキャストの文字起こしとか、あと私が時々コラムを書いておりますので、見ていただければと思います。
栃尾さんの文章素敵ですよね。
ウソぉ、ありがとうございます。うれしい。
いや、ホント。あと小説も。
すごい昔(笑)。
栃尾さんの小説。
頑張って書かないと。
ね。
ありがとうございます。私、ライターなのでそんな文章が良いとか、わざわざ言われないですよね。
何でですか?
わかんないけど、もっと言ってほしい。
栃尾さんの文章素敵ですよ。
ありがとうございます。はい、ということで、以上、栃尾江美と。
石塚毅でした。
<書き起こし、編集:折田大器>