これからの子どもたちにはどんな能力が必要になるのでしょうか? 学校に行っていない子どもは、どんな力を延ばしていけばいいのか? 深松浩子さんと話しました。浩子さんは、仕事に役立つとか自立するといった観点だけでなく、「幸せに生きるために」という観点で考えているのが素晴らしいと感じます。
クリエイティブの。
反対語。
こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。
こんにちは、「子どものみかた」の深松浩子です。
このポッドキャストは私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をお呼びして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。今回もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
前回は学校の勉強の話だったけど、まあちょっと、収録後に聞いたら、「基礎になるのは小学校のことでしょう」と、「小学校のカリキュラムを押さえておけば本当の基礎の基礎はOKでしょう」みたいな感じだったよね。
うん、そうね。
私の知り合いの不登校で北大行った子がいるんだけどさ。
うん。
まあ、地アタマがすごくいいんだと思うんだけど、その子は中3かな? に小学校からの勉強を全部やったんだって。
うん。
でも、まあ、やっぱり「大きくなってからだから、すごいスピード早くすぐわかっちゃったよ」って言ってた。
(笑)。
だから焦ってそんなに今やんなくてもっていう、今やらせるのが合ってるとは限らないなっていう感じで私は思っているけどね。
うん。その子によっていろいろ違うと思うし、スピードも。
そうだねぇ、はい。で、前回は、思考力があれば知識は最低限でもみたいな話があったけど。
うん。
「これからマストになる能力は?」っていう感じで今日は話したいなと思ってて。
うん。
うん。それこそよく言われるけど高度成長期はさ、言われた通りに素早くやる能力が。
うん。
あと色んなことを覚えてね、言われた通りにやる能力がすごい求められたっていう感じではあるけれど、「これからはそんなことないよね」ってことで、「ググればすぐわかるんだし」みたいな。
そう、そう(笑)。
そういう時代において何が大事だと思ってるのかなっていうのを聞きたいなと。
うん。何が大事だと思っているか。そう、前回言った思考力っていうのは、ものすごく大切だなと思っていて。
うん。
で、これも最近よく言われるけど、表現力も大切だなと私はすごく思っている。
へぇ。
それは別にクリエイティブな仕事に就く人だからとかそういうことではなくて。
うん。
生きていく上で、人と生きていく上で表現力っていうのは大切だなってすごく思う。
まず、その思考力とは? どういうものだと考えているの?
うーん……、思考力のほうが想像力よりも。
つくるほうの創造力?
えーとね、イメージするほう。
はい、はい。
論理性がある。
はい。
論理的に考えて、それから先こうなるだろうっていう見通しを立てられるとか、何かの方法を編み出せるとかっていうアタリをつけたり。
うん。
あと、方法を考えたり、で、もしくは知らないことだったけれども、考えて、段々わかってきて、それを確認する方法をまた考えたりっていうような、そういうロジックも必要になってくるような力のことかなと思っている。
なるほどね。いわゆる、なんだっけ? あの、教育の偉い人が作ったやつなんて言うんだっけ?
え?
教育要綱みたいなやつ。
あー、学習指導要領?
あ、そう、学習指導要領で言われてる思考力みたいなこと?
そう、そう。
はい、はい、なるほどね。じゃあ、表現力って言うのは?
表現力は自分のなかにあるものとか、考えでも、想いでもいいんだけど、適切な形で表に出して、周りと関わっていくことができる。
言葉?
言葉もそうだし、表情もそうだろうし。
あぁ、そっか、そっか。
身振り、手振りもそうだし、実際の行動もそうだと思うし。
え、コミュニケーション力ってこと?
まあ、一般的にはコミュニケーション力だし。
うん。
あと、自己表現っていう意味で捉えれば、表現するだけってこともあるだろうけれども。
うん、うん、なるほどね。自己表現っていうとまた印象が変わるね。
うん。
コミュニケーション力っていうと、自分をこう押さえて、差し置いてでも人と上手くやるっていう意味合いも含まれそうだけど、自己表現っていうと、自分に嘘つかない感じで、人にどう伝えるかみたいな感じがするね。
そう、だから自己表現と、いわゆるコミュニケーション、円滑なコミュニケーションっていうの? とちゃんとバランスとってやっていける力。
ふーん、子どものうちからやらないと厳しいの?
うーん……、子どものうちからじゃなくてもいいっていうか、子どものうちは正直難しい時期もたくさんあるから。
うん。
そんなに子どものうちから要求してもな、とは思う。
うん、うん。そうね、なんかさ、私そういうのって、自分に嘘つかずに表現するとかね、コミュニケーション力とかってね、社会人になってからやっとわかってきたなみたいな感覚があって。
うん、うん。
だから、子どもの頃から育んでたみたいな印象があんまりないんだよねぇ。
あぁ、最初はだから、どっちかっていうと自己表現のほうを磨けることが。
子どものときは?
そう。大切かなって思っていて、それを段々、こうコミュニケーションに変えていくっていうのかな。
ふーん。
コミュニケーションにも繋げていけるようになっていくっていうイメージで。だから、まず自分を表現するためにはその前に自分を知らなきゃいけないから、その自分を知るっていうことも私はすごく大切な力だなって思ってるんだけども。
うん、うん。
で、それが、しっかりその力が付いて自分を知ることができたら、今度は自己表現をしてみて。
うん。
で、その自己表現をするときにはどうしても安心できる場っていうのが必要だから。
うん。
そこで自己表現をしっかり磨いて、今度、それを他者と一緒に過ごしていくために使う、みたいな。
それってさ、今漠然とね、これからマストになる能力はっていうことで聞いたけど、何のために必要だみたいに考えてる?
うーん……、究極的に、すごい究極的に言うと。
うん。
「幸せに楽しく生きるためかな」って思ってる。
はい、はい。
その子がね。
そうだね。
うん。その力を付ける、得るため、そうやって生きていく、幸せに楽しく生きていくために必要かなと思ってる。
本当にそれは同意。なんか、あの思考力っていうと、論理的思考力っていうと、どうしても仕事ができるとか、そういう印象を持ってしまいがちだけど。
うん。
で、表現力って言うと逆に、まあ、なくても仕事……、もちろん、人に何かを伝えたりするのは必要だけど、自己表現力がなくても仕事はできるんじゃないかなってちょっと思ってて。
うん。
でも、やっぱり確かに、そこがないとちょっと息苦しいっていうか、生きづらいみたいなのは、すごいあるだろうなと思うから、それは、幸せに生きるっていうことが、お金にもそんなに困らないでみたいな意味合いも含むとしたら。
そうね。
仕事もできて、日常的に人間関係も良好でみたいな。
で、楽しいこともあって。
うん、いいよね。なるほどね。他にある? その2つがめちゃめちゃ大事って感じ?
そうね、この2つはすごく大切にしてるのと、あと、イメージするほうの想像力は、思考力がある程度ないと身に付かないかなとは思ってるけども。
そうなんだ。
先が……、何て言うんだろう。連想、連想とかができない。
空想とは違うんだ?
そう、思考力がある程度ないと、連想がしくにいだろうなと思っていて。
うん。
連想がもっと行くと、たとえばイメージ力になったりするだろうから。
ふーん。
もっと膨らむと。
うん。
で、その想像力は、自分の目に見えないものをイメージするっていう力は、自分の感情を知るのにすごく大切だなと思っていて。
なるほどねぇ、目に見えないもんね。
うん。だから、その目に見えないものをイメージする、考えるっていうか、想う。想う力っていうのかな。
うん。
で、それを、感情を感じるような力っていうのは、本当に想像力だろうなと思っていて。
抽象化する力みたいなのに近い?
そうね……、そうね。抽象化……、でも、今言いたいのはどっちかっていうと感情について。
はい、はい。単純に、自分の感情を想像するってこと?
自分の感情もそう。想像するっていうか、実感、感じる。
うん、うん。それと想像力が関係してるんだ?
まあ、他人のことも観ないと自分の感情もわからなかったりするから。
うん、なるほどね。想像力っていうのは他人のことを想像するって感じか。
うん。で、それを見てから、「あぁ、こうなるんだな。自分もこういう感覚だな。泣きたいな」みたいな。
なんかさ、でもさ、あんまり人の気持ちわかんない人で幸せそうな人いっぱいいるんだけど。
そう、それが(笑)。
(笑)。
でも、そういう人ってきっと自分の感情とか、自分の欲求とか、考えとかには正直っていうのかな(笑)。
うん、結構正直だと思うよっていう人が。
その人がじゃあ、どうやってそれを、自分の欲求。ただ、そういう人たちに、私は、その人たちが自分の感情をわかってやってやってるようには思えないことが多くて。
わかってるとは言うけれど。
欲求はわかってる。
あぁ。
こうして欲しいとか、こうしたいとかっていうのはわかってるけど。
はい、はい。
なぜかみたいな。「なぜなら寂しいから」とか、「悲しいから」とか、「うれしいから」とかっていうのはあんまりわかってないっていうか。あんまりそこを観てないっていうか。
なるほどね、やっぱりじゃあ自分の気持ちをちゃんとわかってる人は、人の気持ちもわりとわかるんではないかと、浩子は思ってるってことね。
うん、そう思うっていうか。
逆も然り、でもないか、人の気持ちばっかり感じるけど、自分の気持ちないがしろっていう人もいるもんね。
そうだね。それだと、ちょっとつらくなっちゃうから、自分の気持ちもわかるように。なんか、人が泣いてるのとか見てわかりやすいけど、自分が泣きたいのわかりにくかったりとか、するときある、私は(笑)。
あぁ、あるなぁ、ありますなぁ、私も。最近でもよくなってきたけどね。
(笑)
私は、すごい後天的っていうか、それは遅くに身につけたから、わりと。
うん。
なるほどねぇ、でもそっか、そういう意味で言うとなんかあれだね。必要な能力とかってついつい勉強とか、自立するためにとか考えちゃうけど、なんか半分ぐらい、半分以下でしかないのかもしれないね、そういうのって。
心(こころ)的に本当に幸せを感じられるかってなるとね、どちらかというと気持ちとか感情とかのほうをしっかり感じるっていうことは、そういう力はとても大切だな、感受性って言ったりするけどね。
そうだね。だから、子どもを幸せにしたいって思ったらさ、そういうことをやっぱりないがしろにしてたら絶対無理ってこと、無理っていうか、エライことになるっていうことだよね。
その子の気持ちはすごい一緒になって、感じて、共感してしっかり感じさせてあげるっていうのかな。
そうだね。うん、幸せを願うならそうすべきだなって思ったわ。うん、うん。
うん。
じゃあ、今回もあっという間に15分経っちゃいましたけど。
(笑)。
以上で終わりにしたいと思います。以上、栃尾江美と。
深松浩子でした。
<書き起こし、編集:折田大器>