あるメディアで、記事のクオリティをアップするためのお手伝いをしている。そのお仕事では、実際にインタビューすることもあるし、別の人がするインタビューのために、質問項目だけを作ることもある。「インタビュー前の質問ってどうやって作っているんですか?」と質問していただいたので、そのことを。
インタビューの質問作りは、まず背景を理解することからスタートする。どこに向かうのかがわからないと、質問作りもインタビュー中も、何も判断ができないのだ。
メディアのコンセプトや狙いを知る
掲載するメディアによって、コンセプトはバラバラ。例えば、
・特定のターゲットの読者を集めて広告収入で利益を出したい
・利益は度外視で何かを伝えたい
・ECサイトと連動して販売につなげたい
などなど。
それをわかったうえで、質問を考える必要がある。
企画のコンセプトや狙いを知る
さまざな企画が入っているのがメディアだ。メディアのコンセプトに沿っていながらも、企画ごとにコンセプトや狙い、面白さのポイントは異なる。
ただ面白い記事なら、面白い理由を知っておきたい。季節に合っているからなのか、時代的に注目している人が多いからなのか、最近のトレンドなのか。
メディアの中の立ち位置も記事によって違う。PVは取れないかもしれないけど、読者が知っておくべき内容だとか。逆に、やや俗っぽいが読者にウケる、などなど。
ECサイトなら、どんな欲求をくすぐりたいか、というようなことかもしれない。
これらは、メディアの担当者や編集者に聞けば教えてくれることがほとんど。自分がメディアの担当者なら「企画のねらい」を考えておく必要がある。
インタビュー相手の情報を集める
まず、名前でググる。そのうえで、その人が書いたものやインタビューされたものなどを読む。書籍がたくさんある場合にはなかなか迷うものの、もっとも新しい書籍には目を通しておきたい。
職業ライターの場合には、調べ物に無限の時間をかけるわけにはいかない。すでにWebに公開されている記事も、読むべき量を測るのは難しい。とにかく1~2時間調べる、と決めて頭に入れるのもよいかもしれない。
話し方を知るのもいい。YouTubeなどでセミナーや対談などが公開されていると、その人の考え方をある程度把握できる。例えば、「よく皮肉を言う人」「言いにくいことも正直に話す人」といったことは、Webの記事ではわかりにくい。
この辺を引き出したい、という当てをつける
相手のことをある程度わかると、「この辺りを聞きたい」という当てをつけることができる。「メディアのコンセプト」「企画のコンセプト」「その人の専門性やパーソナリティ」を頭に入れ、親和性の高い部分を見つける。
何かの専門家とわかっていればそれを聞けばいいが、その中でも得意分野などがあるはず。「○○については、たくさん考えていて、面白いことを話してくれるはずだ」という当てを付ける。そういったツイートが多い、そういう事業をしている、などが参考になる。
その人の経験や人生、キャリアを聞く場合には「転機になったタイミング」「もっとも学びの多かったタイミング」「もっとも苦しかったタイミング」などが聞きどころ。
その人の考え方、思考の方向性がわかるとなおよい。その人の人生観や哲学などが求められている記事の場合には、その考えを深堀りしていけるとよい。
その周囲の「必然性」を引き出す質問を考える
最終的にストーリー的に記事を落とし込みたい場合、もっとも聞きたいことの周囲を「必然性」で固めていく。人生は必ずしも必然性で成り立っているわけではないが、見せ方としてのストーリーには「必然性」が不可欠だからだ。
例えば、相手の仕事の哲学を聞くとしたら、キャリアの話は必須だろう。その人が経験してきた仕事や職業、取引先などによって、その人の仕事哲学が出来上がるから。読む人はそこに「必然性」があってほしいと考えるし、そう思えるような内容を引き出せるといい。
ストーリー性のないブツ切りの質問を入れ込むのはどうかと思う。ただ、自分が心底聞きたい内容は面白い答えが返ってくることが多いので、「余談なのですが」と聞くのはありかもしれない。
<執筆:栃尾江美>
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