今回も、お友だちライターのだいまりをゲストに迎え、栃尾にいろいろなことを聞いてもらっています。Webでしか執筆したことのないだいまりは、書籍や雑誌の仕事に興味津々。また、編集者とライターって何が違うの? なんて話もしています。
クリエイティブの。
反対語。
こんにちは。ストーリーエディターの栃尾江美です。
ライターの代麻理子です。
このポッドキャストは、私、栃尾江美が、好きな人やお話したい人をゲストにお迎えして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。
はい。今日、今の3回目というかね、3本目。
今日っていうか、3本目(笑)。
違う、違うか。そうか、3週目ね(笑)。
ネタばらし(笑)。
そう3週目で、その間に、今とっちーが新たにしてたことを私が初めて知って。ライターだっていうことは元々知っていたんだけど、本も手掛けたことあるんだってね。
そうそう、いわゆるブックライターっていう、著者さんは別にいて、その人からお話を伺ったり、資料をもらったりして、ライターとしてのスキルで1冊書くというね。あと、自分でも1冊、実は自分の名前で出しているっていうね(笑)。
すごい。1つの記事で2、000字から3,000字がベースだとしたら、本は10万字?
10万字って言われてるね、1冊大体ね。
それはもうとてつもなくて、目の前にそびえ立ったらできる気がしないっていうか。
そうだよねぇ。
と思っちゃうけど、本には本のやりがいがある?
まあ、そうだね。金額が大きいっていうのは1つあるよね。やっぱり大変だから、それなりに金額のボリュームがあるっていうのはありがたいところだよね。
でもさ、その分、何十倍も時間かかるわけじゃない?
かかる。
その金額はネット記事だとこれくらいって決まっていたとしても、かかる時間が見合ってるというかさ。それを踏まえてもやっぱりそれ以上の大きい額っていう感じ?
どうなんだろうな? 労力に対してすごくおいしい仕事だとは思わないけど、確かに。でも、なんだろうね、面白いよ。
そうなんだ。
やっぱりその人の話をずっと聞けるっていうのは、1つすごく面白いね。
何度も聞きに行くわけだもんね。
そうそう。
ネット記事だと1回の1時間で終わりというか、それでさらにまた聞くことってあまりないけどね。何回も聞いて仕上げていくっていう感じで、途中で一緒にこう、なんだろう、1章とか2章とかになっているじゃない本て。ああいうのを、1つ1つ終わったら著者さんに確認してとかじゃくて、もうまるっと書いてからやりとりするの?
今まで私がやったのは、全部書いてから、見てもらうほうが多いね。それはやはり全部書いた後に入れ替えたりもするから。
順番を?
そう、そんなにやっぱりさ、きれいに1章はこのネタ、2章はこのネタってきれいになっているわけでもなくて、2章と3章どっちに入れようか迷っちゃうけどとかさ、どっちにも入んないなっていうネタがあったりとかさ、あとはボリュームも揃えたいじゃん、できれば。
確かに。
だからそういうことの兼ね合いで、「ここ多すぎるから、ちょっとこっちにしましょうか」とか、編集者さんと相談しながら、入れ替えたりとかは結構あるかな。
へぇ、他には雑誌もやっていたと言ってたけど、私はネットしかまだやったことないんだけども、それぞれの楽しさがあるっていう感じ?
ある。雑誌はさ、1つは編集者さんのスキルが高い。
雑誌?
そう。
そうなんだ。
これを言うと語弊があるかもしれないけど、老舗の出版社が出している雑誌をよくやっていたから、そうすると編集者がすごくベテランだったりとか、新人の人だとしても、編集長が結構厳しくチェックしたりとか、あとはスタジオがちゃんとあるとか、モデルさんが結構錚々(そうそう)たる面子(めんつ)とか、カメラもすごくきれいに撮るとか。Webだと、「ライターさん撮ってください」みたいなのあるけど、雑誌だとそういうことは基本的には、私がやってきた媒体ではないわけよ。だから、そういうクオリティが高いっていうのは非常に面白い、刺激的だよね。
なるほどねぇ。ネットだとやっぱりそのボリュームで収めなきゃいけないとかさ、2,000字とか、3,000字で収めなきゃいけないものだと、すごく奥深くまでは聞いていけないというか、録る時間も足りないこともあるけど、本が1番たぶん奥深く聞けて、雑誌はその間という感じなのかな? どうなんだろう?
雑誌はもっと他に要素があって、やっぱり、ラフとかあるじゃん。ページ構成っていうの?
うん。
例えば縦書きの雑誌の場合、見出しを右の縦に書くのか、見開きで横書きにするのか、あとはページの真ん中にどーんってするのか、とかね。あと、ここに見出しが入るから、撮影はここの見出しを空けて左寄りで撮りましょうとか、左に寄せて撮りましょうとかさ、ページの構成もあって。
へぇ、それは編集者さんとかが決めるものなの?
そう。基本的には編集者さんが決めるんだけど、「ライターが編集もやってください」みたいなときもあるの。例えば、ムックとか特にそうなんだけど、ムックはわかる?
ムックって何か、本に付いてる……。
雑誌の特別編みたいなやつね。
特別号みたいな。
そうそう、その時しか出ないやつ。
うん。
それで、ムックとかだとわりとそういう編集も一緒にやるみたいなこともあって、そうするとページの構成も考えたりもするんだよね。ここにコラムを入れようとか、ここで商品紹介をしようとか、ここは本文がなくて商品ばかりパラパラ散りばめるページにしようとか、そういう要素が入って来るから、文章の占める比重っていうの?
決めれるの? 自分で?
決めれるんだけど、Webって文章がメインじゃん、Webの記事って。だけど、雑誌の場合って例えば、写真がメインのページもあるし、スペックが見たい情報ページもあるし、文章が脇役になるときもあるんだよね。
なるほどね。
そう、だからそういう意味では、文章を書くという仕事においてはWebのほうがやりがいがあるかもしれないけど、雑誌はそれ以外の要素もあって、私はラフを書いたりするのもすごく好きだったから、そういう面白さは多分にある。
ふーん、これからも関わっていきたいものの1つにある?
雑誌? 雑誌はあるんだけど、〆切が結構厳しいんだよね、進行が。編集者さんにも依るんだけど、絶対に遅れられないから、校了日は変えられないから、そうすると「今日の夜中送るんで、明日の朝までに見てください」みたいなことが普通に起こるわけ。
そうなんだ。
レイアウトが上がって文字数が決まった後に、翌日までにテキスト出してくださいとか、色々あった。
えぇ、そうなんだ。
私はあったの、過去にそういう媒体。
それは大変だね、子育てしながらだとキツいね。
そうそう。別に子どもがいなければ、夜の時間、1時間、2時間空けられるかもしれないけど、「寝なきゃいいや」とかさ。あるかもしれないけど、子育てしながらだと1週間のうち何時間空けられるかみたいなタスクの立て方だから、結構それだと厳しいなと思って。雑誌は、オファーがないというのもあるし、付き合いがある雑誌がなくなっちゃうっていうのもあるけど、あんまり最近は積極的にはやってないかな。
でも、私はWeb記事以外はイメージが掴めてなかったっていうか、本もライターが携わってるものだっていう認識も今までなかったからさ。
書籍か、うん、うん。
そう、書籍。雑誌も専門家が書いているものだという風に思っていたの。だからライターの役割っていうのを自分がそういう風になってみるまで、認識してなかったというか、知らなかった。ただ読んでるだけじゃわかんないよね。
うん。
専門家へのインタビューとかって、その専門家が自分で執筆というか、書いているものなのかなと思っていたから、そういう面白さというか、職業としてのライターでそういうことをやっているっていうのを、それでそれぞれの仕事の内容がどうだっていうのを、とっちーから知ったね。
雑誌とかをやっているといいのは、たまに企業で「パンフレットも作りたいんです」とか相談されたりするわけ。そういうときに、「できますよ」ってすぐ言えるじゃん。でも、Webしか書いたことがなくて「ライターです」って言った場合に、相談されてもできないってなっちゃう。
なっちゃうね。ただテキストだけっていうのとは違うもんね。その写真も入れて、どういう構成というか、作りにしてっていうのは、雑誌ならではかもしれないね。
そうだね、だから、雑誌もできてラフも書けたりすると幅が広がるかもしれないね。書籍もそうだけどね、書籍はさ、最初に構成を何となく決めて、それに沿ってインタビューをする場合もあるし、ばぁーってインタビューしちゃってから、どうやって嵌(は)めていこうかっていうときもあるわけ。大体構成を決めずにインタビューし始めるとグダグダになるわけ(笑)。
デカイよね。
それも編集者さん次第だったりするから。
編集者さんと何度も何度もやりとりというか、打ち合わせをして、次のインタビューに備えるみたいな感じなの?
1回かな、編集者さんと話すとしても。
書く前の1回って感じ?
そう、この間やったやつは編集者さんが構成を考えてくれて、著者さんと何度か、2、3回打ち合わせをして、構成は大体できているんでみたいな感じで、それに沿って聞いたかなぁ。
ライターと編集者さんの棲み分けというか、例えば、そういう聞くことを考えるのが編集者さんの場合もあれば、ライターが一緒に考える場合もあるし、構成だって同じじゃない。編集者さんが考える場合もあれば、ライターが考える場合もあって、何が大まかに棲み分けというか、違うものなんだろうね? だって編集者さんが書く場合もあるでしょ?
直しちゃうってことでしょ?
うん、直しちゃうもそうだし、そもそも書くってことはないのかな? 編集者が……。
まあ、「実質ライターがダメダメで(編集者が)書いちゃった」みたいなのは聞いたことがあるけどね。「ほとんど編集者が書いたんだよ」みたいなのは聞いたことがあるけどね。
基本は書かない? 義弟が編集者をやっていて、彼は結構書く。
弟さん?
そう、旦那の弟。彼は結構書くらしいんだよね。元々は週刊誌をやっていて、今はWebなんだけど。
週刊誌とかは書きそう。あと経済紙とかも書く。
そう、自分で書くし。
記者なんだよね。
そういうことか。
編集者じゃなくて、記者じゃない?
そうかも。自分で取材に行って、そのまま自分で書いてっていう。そうすると、違いはなんなんだろうって思うけどね。
「視点」じゃない? やっぱり書くと視点が低くなるよね、狭くなるっていうか、視座が低くなって、視野が狭くなるっていうか。書くことに没頭して、木を見て森を見るっていうと、木を見る作業だと思うんだよ書くってね。もちろん、書いたあとに自分で俯瞰するけど、やっぱり細かいところを知っているだけに、冷静に見れないっていうか。編集者が違う角度から冷静に見て、お互いに擦り合わせていくっていう感じじゃない?
なるほどね。
だから、私たちライターも別の人が例えば書いて、それを編集者として見るってなったら、違う視点で見るはずなんだよね。
だから、可能ってことだよね。編集作業もライターで、それこそ、私がとっちーに見てもらって、こういう風に入れ替えたほうがとか、順番がとかさ、って教えてもらったように、たぶんベテランの人だったらできるよね、編集者兼ライター。
重なる部分はできて、ただ、メディア全体を見るみたいなのも編集者の仕事じゃん。
そっか。
そう、記事のバランスを考えて、ちょっと硬い記事もあるし、面白な記事もあるし、なんかこっち系とかそういうバランスも考えた企画を考えたり、あとはタイアップの受注を取ったりみたいなさ、営業と一緒に行きましたとかいう仕事もあるから、まあ、ライターと全部重なるわけじゃないけど、私たちと接点がある部分は、ちょっとずつ立場が違うとか、ちょっと見方が違うとか、それぐらいのもんじゃないかなとは思うんだけどね。
とっちーは私の記事を直したりしてくれたりした上でさ、編集者になりたいみたいな思いは個人的には別にない?
書くことを手放せないとはずっと思ってて。
えー、すごい、カッコいい、それ。
言い方が?(笑)
うん。それが結構醍醐味なんだ。書くことが楽しさというか。
まあ、言葉が好きなんだろうね。
へぇ。
初めて言ったけど、言葉が好きって。
すごーい、すごいそれカッコよくない? 私ちょっと同じこと言えないっていうか、私の場合はインタビューをして、そのとき聞くことが一番楽しいパートで、書くことは苦しいって思いもあるんだけど、他の仕事を思い浮かべると好きな部類なんだろうなと思うっていうか、他に接客業とかをずっと同じように8時間やってなきゃいけないとかと比べると、書くことのほうが好きだなっていう風に思うけど、手放せないなんては思えない。書かないでいいなら、聞くだけのほうがいい。
本当? そうなの? でも、そういうライターさん多いかも。
そうでしょう、普通はそうでしょう。
なんだろうな、実感するのは、自分の原稿を書いた後に読み直すと、「えっ、これ私が書いたの?」みたいなのがあるわけ。「めっちゃいいこと書いてるやん」みたいなことがあるわけ。そういうときはたまらないよね(笑)。
なるほどね(笑)。
私にしかわかんないけど(笑)。
それはたまにあるというか、一回編集者さんに出して。自分が見てるのはWordの原稿というか、自分が書いたもの。それがちょっと違う形、その媒体用になってPDFとかで返ってくると、同じことだったとしても、書かれている内容は「これ私が書いたのかな」っていう感覚はあるかも、確かに。
そう、だから「えっ、同じこともう書けない」みたいに思うけど、でもそれが何回も訪れるわけ。
なるほどね。
だからちょっとやめられない感じ。
なるほどね。それ面白い、すごい!
(笑)。そういうのはあるかな、あと編集者……、でももう時間だな。
ちょっと聞きたい、また引き続きね(笑)。
今度にしましょうか(笑)。
はい。
えっと、じゃあ、告知はどうしようかな。私、ポッドキャストのナビゲーターの仕事もやってるんですけど、もし私と一緒にポッドキャストやりたいなんていう方がいらしたらね、ご連絡いただければちょっとご相談とかも含めやらせていただきたいなと思っています。そんな感じで、以上、栃尾江美と。
代麻理子でした。
<書き起こし、編集:折田大器>