
今回も、宮田匠さんがゲスト。宮田さんと話していると、いろいろな発想が自分の引き出しから浮かんでくるような気がします。それにとても優しくて受容の方ですよね……。今回は、宮田さんと私が考える「孤独」と「孤立」について話しています!
栃尾クリエイティブの。
宮田反対語。
栃尾(笑)。こんにちは。ストーリーエディターの栃尾江美です。
宮田(笑)。「ひらめきEX」編集長の宮田匠です。
栃尾なんか(声が)高くないですか?(笑)。このポッドキャストは、私、栃尾江美が、好きな人やお話したい人をゲストにお迎えして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。笑ってますけど?(笑)。
宮田すみません、声が。
栃尾(笑)。声がね、高くなっちゃって(笑)。そんな声に似あわずヘビーなテーマですけど、今回は「孤独と孤立」について話したいと。まずは違い、認識の違いから話しますか?
宮田はい、そうですね。
栃尾まず、なんでこれをテーマにしたいと思われたんですかね?
宮田たまたま、この直近ですね、「孤独って感じることある?」とか「孤独とどう向き合ってるの?」とかを結構聞かれたんですね。僕も特に意識してこなかったので、そこで色々と話をしながら、「ああなんじゃない?こうなんじゃない?」という話をしていて、ちょっとここでも聞いてみたいなと思って挙げた感じですね。
栃尾宮田さん自身は孤独と向き合っているんですか?
宮田孤独と向き合っ……、なんて言うんですかね、あんまりネガティブなイメージもなくて、孤独という言葉に対して、僕自身は。僕の場合なんですけど、放っておくと色んな人とゆるやかに繋がっていってしまうというのもあるんですよ。それがいいのか悪いのかわからないんですけど。
栃尾羨ましいその感覚。
宮田本当ですか。例えば、何か他の人のツイートを見たりとか、あとはちょっとお茶してみたりとか、なんか放っておくと人の意見を聞いていたりするんですよ、僕。無意識にパァーって色んな人の本を読んだりとかなっちゃうんですけど、自分はどう思うかっていうのを考えようと思ったら、ある程度一人の時間を作って、一人の時間も物理的に一人になるだけじゃなくて、情報を断つみたいなのが。
栃尾断ち切るの「断つ」?
宮田はい、(情報を断つ)時間をすごく大事だなと思っていて、そういう意味の孤独とは意図的に向き合おうとしてるのはありますね。
栃尾うん、そういう意味か。孤独にネガティブな感覚がないのは、「放っておくと繋がる」という安心感でしょうね。私「放っておくと孤独になる」と思っているので、必死に孤独にならないように繋がりを作ったり求めたりしています。20代がすごく孤独と戦っていたイメージがあって、私、すごく辛かったんで。
宮田孤独と戦ってる感じってどういう感じなんですか?質問として遠すぎますかね?
栃尾孤独、私が言っているのは孤立っていう意味の孤独なのかもしれないんですけど、誰とも繋がっていない感覚なんでしょうね。その時はツイッターもないし、メールとかでやりとりなのかなぁ、友達とかとは。でも、寂しいときに「ご飯行こう」とかあんまり言えないタイプだったんです。だから、寂しいのに余計人としゃべれないとか、恋人がいれば割と気軽に「どっか出かけよう」とか言えるけど、「何も言わなくても毎週会うよね」とかそんな感じになるけど、恋人がいないときだと、すごく頑張らないと誰も誘えないみたいな感じで、誰にも必要とされないし、誰とも繋がってないみたいな感覚ですね。
宮田誰にも必要とされないっていうのは大きいかもしれないですね、感覚として?
栃尾そうですね、でもたぶん、繋がっていない方が大きくて、例えば必要とされていなくても、たぶんご飯に行ければ割と和らぐとか、喋れば和らぐんですけど、私から誘ったとしても。でも、誘えないという感じでした。
宮田その和らぐって言うのは、何が? 孤独感がってことですか? 寂しさ?
栃尾そうですね、孤独感、寂しさ、一緒かも。一緒っていうかほぼ近いかもしれないですけど、だから「繋がりがない」というのと、繋がりがない気がする、本当はありますよ、あるんですけど、「私は繋がりがないと思い込んでしまっている」という状態が非常に辛い孤独ですね、私にとって。
宮田なるほど。
栃尾でも、じっとしてて放っておいたら繋がると思ってたら、すごく安心かも。
宮田それでいくと、僕は、広く浅い関係しか持ててなかった時期というのがあって、深い関係がなかったみたいな。
栃尾いつ頃ですか?
宮田20代前半とかですかね。だから、放っておくと広く浅い所に居ちゃうというか。それで、深い親友がいるとかその状態に憧れみたいなのがあったかもしれないですね。
栃尾広く浅くのときには、孤独感はないんですか?
宮田たぶん、そこで感じていたんでしょうね。
栃尾感じていた?
宮田一緒に、物理的には同じ空間にいるし、例えば何かグループに所属してはいるけれども、なんか……
栃尾薄っぺらいっていうか、表面的っていうか。
宮田はい、それはあったんでしょうね、僕の場合。だから、どっちかというと、繋がりっていうのが、繋がりを深めて行きたかったというのはあるかもしれないですね。だからあまり接続する数じゃなくて、絞って、そこで何かを深めていくっていうところには悩んだかもしれないです、僕も。
栃尾なるほど、それは孤独とはそんなに自分の中では直結してなかったということなんですかね?
宮田そうですね、はい。
栃尾なるほどね。それで今は、そういう深い関係の人が何人かいてということですか?
宮田そうですね。
栃尾あぁ、なるほどね。「今思うと孤独感だったんじゃないかな」と思う感じですか?
宮田そうですね。なんでしょうね、ただ繋がっているだけでしかないという状況にずっといたので、それは孤独だったなって。今思えば。
栃尾あら、へぇ。具体的にどうやって仲を深めていったんですか、特定の人と?
宮田まず何かを一緒にしようとか、何かを一緒に作るとか、どっか一緒に行ってみるってことをほとんどしてこなかったので。
栃尾へぇ、人と?
宮田一対一とか。
栃尾はしてなかった?
宮田はい。
栃尾あぁ、グループでバーベキューみたいなのはあったけどみたいな。
宮田そうですね。一対一とか、二人ですかね。二人ぐらいの時間を意図的にちゃんと作って知ろうとし始めたのかもしれないですね、相手のことを。
栃尾どこに行くんですか? 飲みに行ったり?
宮田飲みに行ったりもそうですし、僕、大阪住んでいるんで、陶芸行ってみようよとか。
栃尾陶芸?
宮田京都の陶芸行ってみようだとか。何かしら一緒に、何かを一緒にする時間を取り始めてから、ちゃんと繋がっている感というか、ちゃんとわかり合って繋がっている感というか、そういうのを作って行けるようになっているのはあるかもですね。
栃尾ふーん、それは男女問わずって感じですか?
宮田はい、男女問わず。一緒に山を登るとかは大きいなと、今思えば。あんまりそういうのをしてこなかったんで。二人で山に登るとかたまにあるんですけど、大きいですね。
栃尾そうしようと思った「きっかけ」があるんですか?
宮田きっかけは、何て言うんでしょうね。結婚していく人もいれば、自分も仕事ではある程度一緒に何か深い話ができるけど、プライベートであんまり深い話をすることってないなとか思ったり、ただ広い、この膨張していくだけの繋がりに、何の意味があるのかと、ふと思った瞬間がたぶんあったんだと思いますね。それがちょっときっかけは……。
栃尾きっかけは思い出せないけど、ふと思ったと。
宮田思い始めたと。
栃尾なるほどねぇ。でも、私も自分から誰かをご飯に誘うみたいなこと、しかも一対一で、とくに口実なくご飯に誘うみたいなのができるようになったのが、うーん、4、5年前ですかね。
宮田結構最近なんですね。
栃尾すごい最近ですよね。
宮田それは努力してそうなったんですか?
栃尾そうそう、なんだったのかな? 人とコミュニケーションが取りたいんだなというのを、ママ向けのワークショップみたいな、ワークみたいなやつで出てきたんですよね。その言葉が出てきたんです。「人と仲良くなりたいんだ」みたいな。それまでは、嫌われたっていいし、別に私媚びるのが嫌だとかって思ってたし、「仲良くなる人とは自然になれるでしょ」みたいな、ちょっと嫌なヤツって感じだから。
宮田孤高な感じですか?
栃尾孤高な感じだったんですかね? 誘われたら行くけど、自分から誘うとかはできないし、やろうとも思わなくて。でもそれで人と仲良くなりたかったんだって、ワーって気づいて、それで「コミュニケーションに本気出すぞ」って思ったんですよね。本気出せばできると思ったから。それでやるようになった気がします。
宮田コミュニケーション取りたいって気づくということか。
栃尾そうですね。どういうワークだったのか、忘れちゃったけど、私はそうでしたね。でも、私自身は結婚して孤独感はかなり消えたんですよね。でもやっぱり、子育てとかで、社会との接点が減ったりすると、やっぱりちょっと寂しさは復活してきたような気がしますね。そういうときのママ向けのワークだったのかもしれない。
宮田社会と繋がっていない感覚っていうのは大きいかもしれないですね。その例えば、こういうコンテンツ配信されてたりしたら、物理的には繋がっていないんですけど、色んな人と繋がっていたりとか。
栃尾そう。
宮田声が返ってくるっていうのもあれば、例えばこれぐらい読んでくれているとか。
栃尾PV(ページ閲覧数)的なやつね、はい。
宮田というのもあって、僕もそれは大きかったんですよ。今の会社のサイトもそうなんですけど、僕も過去にブログだったりとか、まとめサイトだったりとか作るのが好きで。
栃尾へぇ、そうなんだ。『NEVERまとめ』ですか?
宮田自分のまとめブログって言えば伝わり易いですかね。
栃尾へぇ、はいはい。
宮田そういうのを作っているときに、自分の好きなことを書いていたら、同じようなことを好きな人たちが読んでくれていて、たまに僕がブログで「彼女にフラれた」と書いたら、「僕も今フラれて」って(笑)。
栃尾(笑)。同志、同志。
宮田物質的には繋がっていないんですけど、ちゃんと意図している、意図しているというか、自分が気になっていたり大事だと思っているところで繋がれているというのは大きかったなと栃尾さんの話を聞いていて思いました。
栃尾そう、だから私も発信するのが尋常じゃないんですよね。
宮田色んなもので。
栃尾発信量っていうか、書いたり、音声もそうだし、ツイッターもそうだしっていう。 それは結局やっぱり寂しさがあると思うんですよね。人と繋がりたいみたいな欲求が。繋がっていないから欲求があるのか、それとも元々そういう欲求が強いのか、わかんないんですけど、たぶん繋がりたいみたいなのも、生きる上で切っても切れないみたいな欲求ですね。それでたぶん発信しているっていうのはすごく大きいと思います。
宮田それは関心が近い人と繋がりたいというか、もう誰でも?
栃尾なるほどねぇ。でもたぶん、自分が好きじゃないことを発信して繋がってもしょうがないと思っているということは、やっぱり関心が近い人とか共感できる人と繋がりたいんでしょうねぇ。だって、そうじゃなかったら、「美味しいスイーツ」とか言ってればいいじゃないですか(笑)。
宮田僕、それをやっちゃって。20代というか、18、19、20くらいのときに、繋がることが目的化したときに、そこにある虚無感というか、例えば今のアカウントとは違うアカウント、例えばツイッターでひたすらフォロワーが増えて行ったときに、本当に自分が大事にしているものとの乖離感だったりとか、繋がっているけど……。
栃尾繋がっているけど。
宮田繋がっていると言えるのかという。
栃尾俺とは繋がっていないみたいな。
宮田そうなんですよ。その虚無感とかっていうのは、かなりあったような気がしますね。
栃尾えぇ、そういうことをやっていたってことですね? じゃあ、やっていたんですか? 実際に……。
宮田そうですね。
栃尾自分の心、お腹の中から出てきたんじゃないものでアクセスを稼いでいた、みたいなことがあった?
宮田そういうときもありましたね。あとなんて言うのかなぁ、言っていることに本気の納得感がないままに、ちょっと若干テクニック論に走るときというか、そこにある孤独感はありましたね、そのときには。
栃尾でも、それこそ、そうなったときに違和感があるってことですよね。
宮田そうですね。
栃尾これじゃない感。
宮田自分の中に違和感、自分で書いたものを自分で見て、「悪くないけど、なんか違う」ってちょっと自分では思っていて。でもそれに対して、例えば当時で言うと「ファボ」がついてたりとか、コメントが来たりとか、フォローが来たりしたときに、繋がれば繋がるほど、どんどん増していく孤独感みたいなのが。
栃尾あぁ、そうなんだ。
宮田自分というものが消えて行く感覚。
栃尾そうですよね。自分だけ置いてけぼりって感じですかね?
宮田そうですね、アカウントだけは先に走っていて、「あれ?」って。
栃尾なんかのアイドルとか、芸能人みたいな感じかもしれないですね。
宮田もっとすごい量になったら、そうなるのかもしれないですね。
栃尾虚像みたいなね、なるほどね。 孤独から面白い話になりましたけど、でもそういうやっぱり繋がり、本当の自分と繋がっているみたいなのが結構大きいのかな?
宮田そうですよね。
栃尾ですかね?
宮田本当の自分と繋がっていたり、本当の自分を見てくれている人と繋がれるかどうかというか。
栃尾大きい、大きい。
宮田それ大事だなと今話していてすごく思いました。
栃尾ね、面白かった。はい、ということで今日はこんな感じですかね、以上、栃尾江美と。
宮田宮田匠でした。
<書き起こし、編集:折田大器>