【読むPodcast】#214 どうやって人を巻き込む?(ゲスト:高橋晋平さん)


いろいろな人と協力して商品を作っているように見える高橋晋平さん。「どうやって人を巻き込むんですか?」とお伺いしたところ「僕、巻き込むのめちゃ苦手」と言われましたが、そこは晋平さん。自分なりのやり方があるようです。苦手な人が、いかに人の協力を得てプロジェクトを進めていくか。とても参考になりそうです!

栃尾

クリエイティブの。

高橋

反対語。

栃尾

こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。

高橋

こんにちは、おもちゃクリエイターの高橋晋平です。

栃尾

この番組は私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をお呼びして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。えーっと晋平さんよろしくお願いします。

高橋

よろしくお願いします。

栃尾

はい、私ツイッターとかで晋平さんのお仕事とか色々拝見してたりすると、色んな人とコラボしてというか、それでいろいろ面白そうなことをいつもやっているという印象がありまして、で、たぶん晋平さんが発案したことも色んな人を巻き込みながらというか、協力し合ってやっているんだろうなと思ってて、「どうやって人を巻き込んだり、協力してもらってるのかな?」というのをちょっとお伺いしたかったんですよね。

高橋

はい、そうですね。まあ、僕、「巻き込み力」ゼロな人間なんで。

栃尾

(笑)ホントに?

高橋

よくこういう「どうやって巻き込むんですか?」っていう話ってあるじゃないですか? 取材記事とかでも。

栃尾

ちょっとパワフルな感じしますよね、言葉が(笑)。

高橋

そうですね。まあ、「でも、それは無理だな」と思っていて。

栃尾

(笑)ふーん。

高橋

だけど、自分がやりたいことがあるときに、色んな人に協力してもらわないとそれは当然無理だから。もちろん、それはお仕事で、何か商品をプロデュースするって立場だったら、それは仕事として依頼すればいい話なんですけど。

栃尾

はい。

高橋

なかなかそれだけではないというか。純粋に「協力してほしい」とか、「仲間がほしい」みたいなこともあるときには、まあ、1個は「甘える」っていうことしかないですよね。

栃尾

得意なやつ?(笑)

高橋

もうなんか「おねだり」っていうか。そうですね(笑)。

栃尾

ふーん。

高橋

「えー、お願いします」みたいな感じで。で、ちょっと嫌そうだったらすぐ離れるというか。

栃尾

ふーん。

高橋

まあ、甘えタイプですよね。だから、この巻き込みというか、人に力を借りるやり方も、人それぞれタイプがあると思ってまして。

栃尾

うん、うん。

高橋

だから、そこを可愛がられるみたいなことでやりたい派なんですけど、可愛がられてるかは置いておいて。

栃尾

(笑)。

高橋

それしかないとは思っている派で、だから、やっぱり普段から、僕自分でいうのもなんですけど、すごい真面目だし、「人に親切にしておくといいことがあるよね」っていうタイプだから、まあ、なんか「普段お手伝いしてれば、いつか手伝ってもらえるだろう」みたいなことで。

栃尾

おー。

高橋

生きてる感じはありますよね。だからその、甘えたい、どうしても力を借りたいときに、まあ、言い方は悪いですけど、「泣きの一発」みたいなのが効くために、できるだけ普段から、手伝えることは手伝っておくっていうのは基本的にやっているかなって思いますね。

栃尾

それ、つかぬことをお伺いしますけど、無償で手伝ってたり、いっぱいするってことですか?

高橋

無償でいっぱいは手伝ってないんですけど。

栃尾

うん。

高橋

うーんと……仮に。

栃尾

言いづらいかな?

高橋

ううん、例えば、お仕事でいただいて働くときには、絶対にいただいたお仕事量以上のことはやるっていうのは、もう、とにかく肝に銘じているという感じはあって。

栃尾

うん、うん。

高橋

まあ、それは自分の性格もあるんですけど、働いた成果以上にお金をもらっちゃうと、すごい申し訳なさがどこまでも残るんですよね。何か借りを作ってしまったような気持ちがずーっと残って、で、まあ、そのまましばらく疎遠になってしまったりすると、「やっぱりあの時ちょっと力になれなかったのかもしれないなぁ」みたいに必要以上に思って。

栃尾

うん。

高橋

で、そういうときって、やっぱり「その人と友達にならないまま人生が終わる」っていうことになっちゃうことってあるじゃないですか、現実には。

栃尾

なるほど。

高橋

それよりは、すべての人と親友になるのは無理なんですけど、やっぱり友達になれた……なるべき人とはなれたほうがいいと思うから、そういう意味でも、お金をもらったとしてもそれ以上の働きは絶対にするっていう意味で、そういう力を貸したいという気持ちはありますよね。

栃尾

うん、うん。

高橋

あとは仕事以外のことでのおしゃべりとかも含めて、別におしゃべりで役に立とうとは思わないけど、「困ってることがあったら、親身に相談に乗る」とか、「知ってることは全部教える」とか、そういう感じで「その人が喜ぶようなことをしてあげたいな」とは思いますよね。

栃尾

確かに、このゲストもね、出ていただいて、ノウハウを惜しみなく教えていただいてますけど(笑)。

高橋

全然、これはもうしゃべるのが好きだから、そうなんですけど。

栃尾

ありがとうございます。

高橋

生い立ちもたぶん(関係)あって、これは余談かもしれないですけど、まあ、小さい頃いじめられっ子だったから、そのときから考えると、人に喜ばれるってすごい嬉しいんですよ。

栃尾

あぁ。

高橋

それで、「人を笑わせたい」というので落語をやったり、今も「人を笑わせる商品作りたい」みたいに思って、今の道に進んでいるんですけど、まあ、「笑わせたいし、喜んでほしい」っていう気持ちはすごくあって、それは承認欲求の一種だと思うんですけど。

栃尾

あぁ。

高橋

なので、何か相談されると、どうしても「なんかしてあげられるような行動をしたいな」って思うかなぁ。

栃尾

うん、うん。

高橋

けどそれは今話してて思ったけど、半分、でもやっぱり、「あとで自分も助けてほしい」っていう気持ちも思ってるんだなと思って。

栃尾

なるほど。

高橋

それは正直あるかな。

栃尾

その「いざ助けを求めましょう」っていうときに、どんな風にやってるのかを聞きたいんですけれども。

高橋

うん。

栃尾

何か具体的にその人に直接メールを出すとか、あとはたまにFacebookとかで「知ってる人教えてください」みたいなのを見たりもするんですけど。

高橋

はい、はい。

栃尾

そういういくつかパターンがあるんですか?

高橋

うーん……、そうですね、あんまりちょっと具体的に言語化できてないんですけど、そういう例えばツイッターとかfacebookとかで「このアンケートに答えてほしいな」というときは、「別に答えてくれなくてもいい」っていう、「やってくれる人がいたら本当に嬉しいけど」っていう、あんまり強制力がない頼み方だから、まあ、やっぱり「おねだり」というか、そういう感じで放ってしまったりはするんですけど、そういうときすごい皆協力してくれるんで、「本当にやさしいんだな」と思って、皆。

栃尾

はい。

高橋

で、すごく感動はするんですけど、そのぐらいのオープンなお願い、「もし聞いてくれる方がいたら本当に嬉しいな」っていうオープンなお願いは、結構しちゃうかも、気軽に。

栃尾

ふん、ふん。

高橋

ですね。で、もうちょっとピンポイントな、例えば、「仕事をください」とか、「この商品を、このクラウドファンディングに支援してください」みたいなやつはすっごい苦手で、そのお願いはね。

栃尾

はい(笑)。

高橋

だからそれは、まあ、どこまでも苦手なので、だからやっぱり自分の作ったコンテンツとか商品をきっかけにするっていう方法はよく使うんですよね、実は。

栃尾

はい。

高橋

ここがなんというか、起業してたぶん成功している、活かしていただいているもう1つのコツというかポイントだと思っていて。

栃尾

ふーん。

高橋

商品作ってるじゃないですか、おもちゃとか。

栃尾

はい。

高橋

記事とかも書いている中で、それをきっかけで、最終自分がお願いしたかったことを助けてもらえることに発展することって実はあるんですよね。

栃尾

へぇ。

高橋

わかりやすく言うと、ゲーム持って行って、「このゲーム買ってくれ」とは言わないと。まあ、それは欲しい人が買うべきことだから、「買ってくれ」っていうお願いはやっぱり違うんですけど、「遊びませんか?」と。で、一緒に遊ぶ、すると盛り上がる、「面白いね」。で、面白いでそれを買ってくれるという結果になることもありますし、「実はアイデアに困ってて、こういうホームページを作るときにちょっとゲームっぽいことを考えたいから、一緒に考えませんか」ってことになることもあるし、だから、結局自分の商材で人と一緒に遊ぶっていうことが、まあ、言ったら営業みたいなこととイコールになってることが多いんですよ。

栃尾

なるほど。

高橋

営業とか、お願いとかね。

栃尾

うん、うん。

高橋

だから、やっぱりそういう意味で、自分のコンテンツとか商品を持ってるっていうのはすごく強いですよね。

栃尾

うん、うん。

高橋

コンテンツホルダーが強い時代って言われて、それはビジネス上も、そういう意味で「版権を持っていたら、儲かる可能性が高いよね」という意味もあるけど、僕みたいな小さい企業をしている人間にとっては、そこまでの話じゃなくて。

栃尾

はい。

高橋

自分の商品を「ただただ、人と一緒に遊びたい」とか、あるいは、時にはあげるでもいいと思うんですよね。「プレゼントして、どうしてもあの人にこれを見てほしい」みたいなことがあったときに、誰にでも会いに行ける道具なんですよね。

栃尾

うーん。

高橋

で、もしかしたらとっちーさんも、記事とかを書いて、インタビュアーをしてるから、それで会いたい人に会えるっていうことがあるかもしれないですけど。

栃尾

うん。

高橋

まさに僕も、今、月曜日が嫌いな人のために、「どうしたら月曜嫌いじゃなくなれるか」っていうのを、色んな職種の人に聞きにいくっていう連載を小学館の『アットダイム』でやらせていただいているんですけど。

栃尾

うん、うん。

高橋

それも1つ、そういったコンテンツに使わせていただいてて、結局それで月曜日、僕が大嫌いだから、本当に嫌いなんで。

栃尾

(笑)。

高橋

「僕を助けてください」っていうことで、「取材させてもらえませんか」っていうと、大概会ってもらえるんですよね。

栃尾

うん、うん。

高橋

そういう風に、自分の作ったコンテンツっていうのは、知らずしらずの内に、自分と気が合って、やさしくしてくれる人と会いたい、会えるためのコンテンツを作っていたんじゃないかと最近思うんですよ。

栃尾

うーん。

高橋

作ったゲームの性質とかを振り返っても、いかつい人に遊んでほしいゲームは1個も作ってないし、月曜日の連載も自分と同じ弱々しい人に会いたいからその企画に落ち着いたような気もするし。

栃尾

はい、はい。

高橋

なんか、それが本能的に自分が仲良くなりたい人に胸を張っておすすめできるようなものを作っていたんだな、と思いますね。

栃尾

へぇー。ただ、でも、あれですね、ただ一方的に流すような、消費型のコンテンツよりも、ゲームだから一緒に時を過ごすみたいな強みは大いにありますよね。

高橋

うん、ゲームはそうかもしれないですね。

栃尾

ね。

高橋

でも……うーん、まあ、確かにねぇ。

栃尾

うん、例えば漫画家さんとかコンテンツ持ってるけど、それをきっかけにゲームみたいに仲良くなったりみたいなのってあるのかなぁ。

高橋

でも、漫画の力はすごいと思いますけどね。

栃尾

まあ、そうですね。

高橋

それ読んで、面白いとか、感動したら、やっぱり「それを描いてる人ってどんなんだろう」って、どうしても興味湧くじゃないですか。

栃尾

そうですね。

高橋

だから、やっぱりそういうのはあると思うし、あと、そもそもこの話のヒントになる話を聞かせてくれたのが、「包帯パンツ」っていうのを作っている野木社長っていう方がいまして。

栃尾

あ、聞いたことありますね。

高橋

その野木さんが、世界のセレブとかも含めて色んな人に自分が作った「包帯パンツ」を穿いてもらっているというか、プレゼントしに行くんですよね。

栃尾

あぁ、手渡しで。

高橋

そう手渡しに行くんですよ。

栃尾

うん。

高橋

で、その話にすごい影響を受けて。

栃尾

なるほど。

高橋

そのときにやっぱり、「商品を作るって、やっぱり在庫抱えなきゃいけないし、投資も必要で、今の時代ITとか持てはやされてるなかで、なかなか厳しいよね」って話になりがちなんですけど。

栃尾

うん。

高橋

実際、生活って全部物に囲まれてて、物がないと人間生きていけないし、プレゼントって物じゃないとやっぱりどこまで行っても成立しづらいんですよね。

栃尾

うん。

高橋

プレゼントで「Amazonのギフトカード5,000円分だよ」って言われると、嬉しいけど、なんか「うん?」みたいな感じってどこまでもあるじゃないですか。

栃尾

はい。

高橋

そのときに、「私が魂込めて作ったパンツです」とか「おもちゃです」みたいに渡されると、その人にも、それが面白ければ興味が湧くし、会いにいく理由になるっていうのが最大のポイントで、「ただただ会いたいから会ってください」というのって言いづらいじゃないですか?

栃尾

そうですね。受けるほうもなんとなく他に理由がほしいですよね(笑)。

高橋

そう。だから「あげたい」でもいいんだけど、僕はなんか、「あげたい」でもいいけど、「見てほしい」がより良いかなと思ってて、「私が人生かけて作ったコレをどうしても見てもらえませんか?」なんだけど、そこがやっぱりゲームだと、さらに一歩言いやすい、「一緒に遊んでくれませんか?」になるっていうのはやっぱり強いんだろうな、って今、聞いていて思いました。

栃尾

そうですね。私もなんか物作りたいなって(笑)、思いました。

高橋

いや、あるとね、ホントに人の輪が広がりますよ。

栃尾

そうですよね。だから、アプリとかウェブサービスとかじゃなくて、触れるものがいいんですね。

高橋

そう、そう。だから、最近なんか、うちの会社「うさぎ」っていう会社で、トレードマークのうさぎのキャラがいるんですけど。

栃尾

うん、うん。

高橋

そいつを紙粘土で抜ける型を作って量産して、うさぎの紙粘土作って人にバッジ作ってあげたりとかして、それ絶対いらないんだけど。

栃尾

(笑)。

高橋

絶対にいらないけど、手作りでやったやつをもらうっていうのは、なんかしらやっぱり理由になるというか、その人を記憶しておく理由になるんだなと思って。

栃尾

なるほどねぇ。

高橋

絶対に捨てるけどね、そのバッジは。

栃尾

(笑)。

高橋

でも、缶バッジよりは自分で抜いた紙粘土のバッジの方がね。

栃尾

そうですね、レアだし、珍しい。えー、私もなんか考えます、じゃあ。豆本でも作ろうかな。

高橋

あぁ、いいですね。

栃尾

いいですかねぇ(笑)。

高橋

そう、本。いや、いいと思います。僕、やっぱり捨てられないものでそういうのありますもんね。あの、なんか手で描いてくれたイラストみたいなのってやっぱり捨てがたいし。

栃尾

うん、うん。えー、ちょっとじゃあ、考えてみます(笑)。

高橋

うん。

栃尾

ありがとうございます。えっと、それでは今日はね、「人の巻き込み方に物が必要」って言うことで、「物があるとやりやすいよ」っていうことで、はい、ありがとうございました。以上、栃尾江美と。

高橋

高橋晋平でした。

<書き起こし、編集:折田大器

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