【読むPodcast】#182 子育ての方針とゲームについて(ゲスト:アングー代表中川さん)


今回もアングー代表の中川さんがゲスト。中川さんとずっと話したかった子育て論について話しました。時代の過渡期を感じているいま、どうやって子どもを育てたいか。「クリエイティブなことが大事」と思う中川さん。普通の人がやらないことをやる(自分の頭で考えるクリエイティビティ)ってことが大事なんだとおっしゃいます。

栃尾

クリエイティブの。

中川

反対語。

栃尾

こんにちは。ストーリーエディターの栃尾江美です。

中川

こんにちは。アングーの中川裕史(ひろし)と申します。

栃尾

このポッドキャストは、私、栃尾江美が、好きな人やお話したい人をゲストにお迎えして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。引き続き、中川さんにおいでいただいております。よろしくお願いします。

中川

はい、よろしくお願いいたします。

栃尾

前回でもちょっとね、なんとなく出てきたんですけど、子育てに関してお伺いしたいなと思っていて。なぜかと言うとですね、社長インタビューというのをしたときに、あっ、違うかな? その前の打ち合わせかもしれないですけど、なんかお子さん、お子さん今、年長さん?

中川

そうです。

栃尾

男の子でしたっけ?

中川

そうです、男の子です。

栃尾

で、保育園に送りに行って、その送ったときに儀式があると(笑)。

中川

はい(笑)。

栃尾

さよならの儀式があるんだけど。

中川

あります(笑)。

栃尾

時間をオーバーしているのに、それをゆっくりやっているから先生が「早くしろ」みたいな(笑)ことを言っていると。

中川

(笑)。

栃尾

でも、時間を気にせずに子どもとの儀式を大事にしているという“そもそも”のスタンスが、すごくいいなと思ったんですよね。どっちが本当に子どものためかって言ったら、「まあ、そっちのほうがいいでしょう」って思うので、その子育ての哲学っていうか、そういうのをお伺いしたいなと思っていて。あとは、ゲームのことですよね(笑)。ゲームをどうしているかみたいなことを聞きたいなと思っているんですけど。

中川

わかりました。

栃尾

はい、まずはどうしましょうか? ゲームから話しますか(笑)。

中川

ゲームですか。ゲームはまだやらせてないというか。

栃尾

あっ、やってないんですか?

中川

そうですね。前に、今のアングーという会社で作ったゲームを、ちょっと2~3歳ぐらいだったので、よく分かってない感じでプレーしてもらったとかはあるんですけど。

栃尾

へぇ。

中川

今は、『YouTube』動画と『Netflix』は観てます。

栃尾

おぉ、なるほど。それは時間とかは決めてるんですか?

中川

決めているような、決めてないような感じですね。うち、共働きで、奥さんも仕事もあるので、結構忙しくて。私も両親いないんですけど、奥さん側のご両親も今大阪に住んでいるので、フォローとかヘルプはない中なので。

栃尾

なるほど、大変。

中川

大変な中で、(親が)用事をしたりする中で、「今は観てもいいよ」みたいな形でやっているぐらいな感じですね。

栃尾

あぁ、なるほどね。じゃあ、そんなにがっつりはやってないんですね。

中川

やってないですね、はい。

栃尾

そうか、何か考えてますか?

中川

来年の誕生日、6月なんですけど、来年の誕生日に『Nintendo Switch』を買ってあげて、とかは考えてます。

栃尾

「買って欲しい」って言ってますか?

中川

そうです、2歳ぐらい上のお友達が『Switch』を持っていて、遊びに行ったときに、マリオのゲームをやって「僕も欲しい」みたいなことを言っているので、ちょっとそうですね、来年ぐらいは良いのかなって。

栃尾

なるほどね。うちはもうなんか、(上の子が)不登校だったりとか、下の子も保育園をやめちゃったんで、行かなくて。だから、本当にゲームばかりやってるんですよね。で、『マイクラ』めっちゃ上級者で(笑)、わかんないけど私は。すごい上手くて、私に教えてくれるんですよね。

中川

はい。

栃尾

それで、『マイクラ』すごいなって思ったのは、お兄ちゃんと弟と私で、私が超ビギナーで『マイクラ』の世界に入ったんですよ。だから、私が子どもなんですよね。で、お兄ちゃんが『マイクラ』の世界を作っていて、「ママにこれ、教えといて」って弟に言うんですよね。そうすると、弟が「ママ、これがこうだから、この色は何とか石だよ」とか言って、「これちょっと集めておいて」とか言って、全部弟が丁寧に教えてくれるんですよ。で、お兄ちゃんは教えるの面倒臭くて、自分の世界を作りたいんです。

中川

えぇ。

栃尾

だから、そんなの普段の生活ではそこまで見えないんですけど、『マイクラ』っていうところに私がビギナーで入ることによって、彼らの特性がすごくわかるなって思って。

中川

(笑)。

栃尾

(笑)。こんな特徴があったんだと、だから将来の像も見えてくるというか。たぶんお兄ちゃんは好き勝手に自分の世界を作りたくて、弟はわりとキチッ、キチッと部下を育てていく姿が見えた感じがして(笑)。

中川

(笑)。

栃尾

それって「ゲームならではだな」って思ったんですよね。

中川

すごい想像できますね、面白い(笑)。

栃尾

(笑)。そう、でも、私はやらせすぎているのかもしれなくて、自分でも外に連れ出したりとかなかなかできなかったりするので、ゲームが多すぎるなって思うんですけど、「どれぐらいやらせて」みたいなことって、考えてますか?

中川

僕は、結構徹底的にやらせようかなって思ってる。

栃尾

「好きなだけやりな」みたいな。

中川

そうですね、基本的には思っています。

栃尾

うん。

中川

で、奥さんが、やっぱり僕と同じような割り切りはたぶんできないので、僕の好きなだけやらせるという方針に関しては、「いいんじゃない」って言ってくれてるんですけど。

栃尾

あっ、そうなんですか。

中川

ただ、現実の運用でいうと、たぶん「この時間までにやらないとダメよ」とかはやると思いますよね。

栃尾

なるほどね。じゃあ、寝る時間から逆算して、「この時間には終わりだよ」ってしたりとかですか?

中川

そうですね、でも、今『YouTube』とかで、「この時間までね」って言って、「わかった」と言って観ますよね。で、やめるときも「もうちょっと観たかったのに」となって、結局寝かしたい時間までに寝ずに、30分オーバーとかになって、「そんなやるんだったら、もう観せないよ」と言って、「やだぁ」とかって、そういうどこの家庭でも繰り広げられているようなことをやってはいますね。

栃尾

はい。

中川

ゲームも同じになると思いますね。

栃尾

そうですよね。でも、なんかうちは、「もう時間だからやめなさい」って怒っていたときは、すごい険悪だったんですけど、親子が。でも、「そろそろ時間だよ」ってゆるく言うようにしたんですね。そして、それがたぶん2週間とか、3週間とか言ってもやめないというのをやり続けたら、気分が良いときは「オレすぐやめたよ」みたいな、やめられるようになってきて、結構何て言うのかな、忍耐力がいるなと思ったりしましたし。

中川

はい。

栃尾

でも、「ルールで縛るというのはあまりよくないな」と思ったりとか、難しいですよね。

中川

前回も言いましたけど、「楽しいことをやるみたいなことは徹底的にやったほうがいいのかな」って思ってるんですよね。

栃尾

はい。

中川

「好きを突き詰める」みたいなところは必要かなと思うんですけど、でも本当にゲームの中毒性とかももちろんすごく強いですし。

栃尾

そういう風に作られてますからね、そもそもね。

中川

作られてますしね。あとやっぱり、子どもが境界型の何て言うんでしたっけ、発達障害みたいなことを言われたときがあって。

栃尾

はい。

中川

「療育行きませんか?」とか。結果的に今は「大丈夫です」って言われてるんですけど。

栃尾

あ、そうなんですか。

中川

結構こだわりが他の子よりもすごく強くて。

栃尾

まあ、いいですよね。

中川

ちょっとアスペルガー的なところがあって。もう本当に1個のことをやりだしたら、もう全く聞いてないとか、そういうところがあるので、奥さんとしてはすごい心配してやってるので。

栃尾

はい。

中川

今後こう小学校になったり、僕はゲーム結構やるだけやってもいいと思ってるんですけど、実際家庭でどういう風にできるかっていうのは、ちょっとまだわかんないですね。

栃尾

確かにね、子どもにもよりますよね。なんか寝るのも忘れてやっちゃうようだと、「さすがに寝なきゃダメだよな」とは思うし。

中川

そうですね。

栃尾

はい、そこをどうするかって感じですかね。

中川

そうですね。結構肚を括ってやらせるにしても、自分たちもアレじゃないですか、スマホでネット見だしたら、本当に「えっ、こんなに時間経ってる?」っていうぐらい色々見てしまったり。

栃尾

あります。

中川

情報ってキリがないじゃないですか? そこをどう線引きするかっていうのは、結構難しいな。僕ずっと考えてるんですけど、どうしようかなっていうのは、悩んでますね。

栃尾

そうですね。どこにもそういう研究ってないんですかね?

中川

そういう研究を調べたりすることもあるんですけど、結構(媒体によって)言うことが違うんですよね。何が正解かがわからないですよね。

栃尾

そうですよね。思うのは、「測り方がわからないな」って思っていて、大体、「学習時間が何時間、ゲームの時間は何時間の子はどうである」っていう結果を出すときに、「成績がどうである」とか、「年収がどうである」っていう測り方しかできないじゃないですか。

中川

はい。

栃尾

「ゲームを好き放題やってた人が年収が高い」のか、あとは「読書をめちゃくちゃしていた人が年収が高い」のかみたいな結果の測り方が「成績か、年収か」ぐらいしかないので、その人が「どれだけクリエイティブか」だとか、「どれだけ幸せか」とか、そういうことはわからないじゃないですか。

中川

はい。

栃尾

結局子どもをどうやって、どういう子どもにしたいかっていうと、私は例えば、クリエイティブであって欲しいし、あとは幸せであって欲しいし、あとは自分で人生の舵を取れるようであって欲しいわけですよ。で、そういう場合に、「子どもの頃をどう過ごせばいいのか」っていうのは、どこにもないし、測れないから、それはなんか統計とかビッグデータをもってしても、なかなか難しいのかなって思いますね。

中川

そうですよね。数値化できないですもんね。

栃尾

そうですよね。「数値化できないと結局計算とかできないし、法則もわからないし」みたいな気はしますけどね。

中川

そうですね。

栃尾

将来を年収で測るとしても、10年後、20年後、30年後、どういう人が年収が高くなるかって今と全然変わっている可能性がありますよね。

中川

そうですね。

栃尾

前回、中川さんがおっしゃっていたみたいに、好きを突き詰めている人がめちゃめちゃ年収が高いかもしれないから、そう思うと難しい(笑)。

中川

そうですね。そこは本当に過渡期かなと思っているんで。

栃尾

そうですよね、はい。

中川

結構、親の考え方が子どもの未来にすごいダイレクトに繋がっているなって思っているんで、すごい悩みますよね。

栃尾

でも、「それを過渡期だってわかっている」ってことが、ちょっとはいいのかなと思うんですけど、そうは思っていない親御さんもすごく多くて、「私のときはこうだったからこうしなきゃ」とかいう風に思っちゃっている人が多いのかなって思いますね。

中川

そうですね。

栃尾

頭ではわかっているけど、体感としてわかっていないとか。

中川

でも、過渡期とはいえ、今、社会で明らかに違っているのって、僕たちが就職した頃って、最初に入った会社が基本的にはすべてで、基本的には定年退職までその会社にお世話になってという時代だったと思うんですけど、今ってそうじゃなくなってます、と。

栃尾

はい。

中川

で、その昔だったら1社目がすべてなので、究極やっぱりいい会社に入らないといけないと。

栃尾

その前準備をね(笑)。

中川

そうです。「いい会社に入るためにはいい大学を出ないといけない。じゃあ、いい大学入るためには、受験勉強勝ち抜かないといけない」となっていたと思うんですけど、今って1社目がすべてじゃないのはもう明確じゃないですか?

栃尾

そうですね、というか1社目って言い方がそうですもんね、そもそも。

中川

そうですね、そもそもそこの構造がまったく変わっているってことに親が気付かないといけないですよね。

栃尾

親が終身雇用みたいな状態であると気付かないかもしれないですよね。

中川

そうですね。

栃尾

自分自身が「もう定年までこの会社」って思っていたら。

中川

そうですね。だから僕たちの親の世代にそこに気付けって言っても、すごい厳しいと思うんですけど。

栃尾

そうですね。

中川

でも、僕たちの世代は、そこを実際に自分が仕事の現場で経験しているので、社会の構造とかが完全に変わっているというのを感じとらなければならないと思いますし、将来自分たちの子どもが社会に出るときにどうなっているんだっていうのを考えたときに、やっぱり行き着く答えは、クリエイティブであるかどうかっていうのがすごい大事だと思うんですよね。

栃尾

あぁ。

中川

普通にどっかの会社に入っていれば、クリエイティブじゃなくてもとりあえず一生食べていけるっていう時代はもうとっくに終わっていると思うんで、どんな仕事をしようが、どんな会社に入ろうが、たぶんクリエイティブに自分の仕事を作っていくみたいな人じゃないと、たぶんいい仕事とかができないと思うですよね。

栃尾

へぇ、クリエイティブに作っていく?

中川

そうですね。

栃尾

とはいえ、会社員だとなかなか難しくないですか?

中川

なんか仕事って僕、「すべての仕事がクリエイティブに通じる」って思ってまして、これは全然違う話なんですけど、人から聞いた話で「なるほど」と思ったことがあって、車のディーラーの販売員の方で、ものすごい台数を売る人がいると、たまに。で、明らかに桁が違うと。例えば、月に3台、5台売るのが一般的なところ、200台売るみたいな人がいると。

栃尾

すごい、2桁違うんですね(笑)。

中川

それはいったいどういうことなんだと。それを調べていくと、その人がやっているのって、普通の営業の人がやらないことをやっているわけですよね。例えば、買い替えたばかりのお客さんって、次のお客さんになってもらうまでに4年、5年かかるから、そこにコストをかけないというのが普通だと思うんですけど、その買ったばかりのお客さんのお孫さんが小学校に入ったときに、「小学校へのご入学おめでとうございます」みたいな直筆の手紙を書くとか。

栃尾

へぇ。

中川

普通の営業マンがやらないようなことをやる。で、それで何が生まれるかというと、「この人はすごいな!」と感動して、「次、車を買うときには絶対この人から買う」と。

栃尾

「一生ついていく」みたいな。

中川

で、親戚が「車買う」って言ったら、その人を紹介する。

栃尾

確かに。

中川

ってなるんですよ。

栃尾

はい。

中川

そうすると、桁違いの売上をあげる。で、僕はその人がやっていることってクリエイティブだなって思っていて。

栃尾

確かにそうですね。

中川

仕事をどういう風に自分の頭で考えてやるかっていうのは、全部クリエイティブに繋がると思っているので、この先、付加価値というか、価値を生み出していく人っていうのは、やっぱりクリエイティブじゃないと、どんな職種だろうが変わってくるんじゃないかなって思っているんですよね。

栃尾

そうですね、なるほど。なんかまだまだ話したいんですけど、そろそろすみません、お時間で(笑)。えーっと、私からの告知ですが、『クリエイティブの反対語』でツイッターもやっているので、もしよろしければ検索をしてフォローしていただけると、過去の名言bot的にやっているので、見ていただけるうれしいです。ということで、以上、栃尾江美と。

中川

中川裕史でした。

<書き起こし、編集:折田大器