【読むPodcast】#181 ゲームって何が面白い?(ゲスト:アングー代表中川さん)

前回に引き続き、ゲーム制作会社アングーの代表取締役、中川裕史さんにお越しいただきました。子育てにおいてゲームは悪役になりがちですが、はたしてそうなのでしょうか。ゲームの楽しさとともに、楽しいことを純粋に楽しむことの尊さを語っていただきました。 (聞いた方から、「感動した!」とお声をいただきました)

栃尾

クリエイティブの。

中川

反対語。

栃尾

こんにちは。ストーリーエディターの栃尾江美です。

中川

こんにちは、アングーの代表の中川裕史(ひろし)です。

栃尾

このポッドキャストは、私、栃尾江美が、好きな人やお話したい人をゲストにお迎えして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。引き続き、アングー代表の中川さんをお招きしております。よろしくお願いします。

中川

はい、よろしくお願いいたします。

栃尾

ゲームの制作会社を4年前に立ち上げられて、今ゲームを作っているということなんですけど。

中川

はい。

栃尾

ゲームの面白さを教えていただきたいなと思っていて、私の周りのお母さんとか、私も前はそうだったんですけど、やっぱりゲームに抵抗があるんですよね。

中川

はい。

栃尾

抵抗があって、「本当にリアルで面白いものよりもどうしても劣るんじゃないか」とか、そういうのも気になっているし、本当にやり込んだときに、例えば、どんなことが気付きとか発見とか学びとか感動とかあるのかなというのも知りたくて、中川さんはゲームの面白さについてどんな風に思っているんですかね?

中川

はい。これはすごく難しいテーマだと思うんですけど、そもそも僕、ファミコン世代で、日本人だと本当に魂に刷り込まれている、『ドラゴンクエスト』とか。

栃尾

あぁ、はい。刷り込まれてる、うん、うん。

中川

結構、遺伝子に組み込まれてるみたいなところがあると思うんですけど、『ドラゴンクエスト』とかでも、何て言うんでしょうかね、人と人と冒険していって新しく仲間ができて嬉しいとか。例えば、ストーリー的なところで、感動できるシーンとかも多くて、僕は小学校3年生とか4年生のときにそういう経験をして、実人生では経験してないような感動とかもそのゲームから学んだといったらおかしいですけど、経験しましたし。

栃尾

へぇ。

中川

例えば、『スーパーマリオ』も有名ですけども、『スーパーマリオ』って当時は画面がスクロールしないゲーム、1画面の中でだけ動くゲームが中心だったときに、スクロールしていって、新しい世界をどんどんどんどん発見していくみたいなゲームだったんですけど、今まで見たことのない景色をどんどんどんどん冒険していくみたいな、未知のものを探索するみたいな、プリミティブな喜びみたいなものとかを経験していますし、今言ったような例は他にもいっぱいあるんですけど、色んな経験をゲームから得られたと、それがやっぱり理屈ではなくて、悦びとして結構自分の中に刻み込まれてたりするので、そういう意味でゲームは本当に自分にとって、僕たちの世代だけではないと思うんですけど、大きな悦びを得られたものだなっていう風に思ってます。

栃尾

はい。

中川

そもそも先ほどのお話で、リアルな遊びと比べてどうなのかとか、学びが得られるのかという話で言うと、これはちょっと話が変わるかもしれないんですけど、私は必ずしもゲームが学びを得られないといけないという風には思っていなくてですね、なんて言うんでしょう、楽しいものに対するそもそもの偏見とか、概念っていうんですか、そこに疑問がありますね。

栃尾

なるほどね、まあ、うん、はい、わかります。

中川

例えば、楽器を演奏して楽しいというのって、学びをどう捉えるのかでいうと、音楽家に育てたいお母さんからすると、ピアノを練習するのはその子の人生に役に立つからプラス、でも、別にピアニストを目指しているわけじゃなくピアノを弾いていたら、それは時間の無駄だから勉強しなさいとか、そもそも何かを楽しむっていうことを何か「生産的」か、「非生産的」かっていうフレームワークで捉えている人がやっぱり多くいらっしゃるのかなっていう風に思います。

栃尾

めちゃめちゃわかる。わかる気がします。なんか私は子どもの頃を経てきて思うのは、楽しいことをやると怒られるということですね(笑)。

中川

そうですね(笑)。

栃尾

授業中にふざけたら怒られる。友達と私語をしたら怒られる。電車の中でキャッキャ、キャッキャしてたら怒られる。つまり楽しいことをやると怒られるというのが刷り込まれていて(笑)。

中川

はい(笑)。

栃尾

だから、誰も怒ってこないのに、やっぱり楽しいことに対する、1回目も話しましたけど、罪悪感が常にあって、楽しいことをそもそも疑ってかかるみたいなのが、あるような気がします。でも、もうちょっと自分の心の中を聞いてみると「楽しいだけでよくない?」みたいなことですよね。

中川

そうですね。

栃尾

純粋に楽しいを楽しめてる人って、やっぱり生み出すものも一味違うっていうか、良いモノ生み出すなっていうのは確かに感じますね、大人になると特に。でもそういうのって、やっぱこう偏見みたいなものがあるとすごい邪魔するなという感じは確かにします。

中川

そうですね。今は過渡期な気がしていて、私、ファンで、ホリエモンさんの本とか結構読んだりするんですけど。

栃尾

へぇ、あの人はそういう感じしますね。

中川

するんですけど、例えば、あの方は「好きを突き詰めていかないと、この先、価値を生み出していくのは難しい」っておっしゃっていると思うんですけど。

栃尾

へぇ、はい。

中川

僕もそこに関してはすごい同感だなと思っていまして、今まで楽しいことをすると怒られるって。

栃尾

そう。

中川

要は、その人が楽しいことに時間を使っていると「良い大学行けないよ」とか、「良い会社に就職できないよ」っていうところだと思うんです、究極的行き着くところは。

栃尾

はい。

中川

でも、今後の未来で言うとAIがとか人の領域がどんどん変わっていくと、仕事をするのが食べるために仕事をするのでは今後なくなっていくじゃないですか。そうなっていったときに「仕事の意味って何?」っていうのが変わっていくと思うんですよ。

栃尾

食べるために仕事をするんじゃなくなっていくんですか?

中川

そうです。長い未来なんですけど、例えば、食料問題も技術とかテクノロジーによって、例えば宇宙コロニーで野菜を栽培するから全人類に行き渡るとか。

栃尾

なるほどね。

中川

例えば、核融合が実現されてエネルギーの問題もないとか。そうなってくると、何て言うんでしょうね、エネルギーとか食べ物とかお金とかを分配する仕組み自体が変わっていく。そうなるとベーシックインカムがとかの話になっていきますけども。

栃尾

それが実現できる社会が今後来るとしたら働く意味が変わってくるよねってことですね。

中川

変わってくると思いますね。僕、息子が今5歳なんですけど、息子が僕ぐらいの年代になる頃には、そうなっている可能性ってかなり高いかなと思っているんですよね。なので、僕たちはたぶん刷り込みで、「なぜ楽しいことをやるとダメなのか」というのは、親とか考えてない人も多いと思うんですけど、その子が食べて行けなくなるから困るという親心だと思うんですよね。

栃尾

はい、そうですねぇ。

中川

ただ、それがこの先、食べて行くための仕事ではなくなっていくと。じゃあ、仕事の概念が変わっていくと「好きを突き詰めていくこと」が仕事になっていくと思うんですよね。

栃尾

はい。

中川

そうなっていくときに、今、好きを突き詰められてない子は、AIでもできるようなことしかできないようになるので、逆にエリートは好きを突き詰めてる人という風に、やっぱりどうしてもならざるを得ないと思うんですよね。

栃尾

ふーん、なるほどね。その「好き」っていうのと「楽しい」っていうのはどういう関係にあると思っていますか?

中川

好きと楽しいですか?僕が思うのは、自分が楽しいと思うことを当然みなさん好きだと思うんですよね。それを仕事にするみたいなところは、結構悩まれる方も多いと思うんですけど、やっぱり好きを仕事にするとつらいよっていう人も結構多いと思うんですよね。

栃尾

います、います。はい。

中川

僕もゲーム好きだとしても、「ゲームを仕事にするのは、つらいよ」って色んな人に言われましたし、実際に自分がやってみてもそう思うところもあったんですけど。

栃尾

つらいときもありますよね、それは、はい。

中川

あります。ただ、結果としては、好きを仕事にして良かったなって今思えてますし。それ答えになってないですかね?

栃尾

でも、わかります。好きというのがあって、好きの中に楽しいもあるし、苦しいもあるけど、まあ、総じて好きってことですかね(笑)。

中川

そうですね。苦しいも含めて好きですかね。

栃尾

はい、わかります。

中川

なんか、もうゲーム見たくない、触りたくないみたいなのもありましたけどね。

栃尾

ゲームを? そういう時期もあったってことですか?

中川

あります、あります。

栃尾

へぇ、そうなんだ。

中川

ええ。

栃尾

今の話でいうと、好きを追究してる人、突き詰めている人とか、自分の好きをわかっている人が強いなって、私もやっぱり思っていて、それはやっぱりゲームってどうしても、どうしてもというか必然的に、楽しいとか、中毒性があるとか、やめられなくなるとか、そういう風に作られていると思うんですけど、そういうのを楽しいままにプレーして、その中でどういうところに自分はグッとくるとか、こういうところにはグッとこないとか、自分の好きを緻密にしていくっていう、また、「それが何の役に立つ」という話になっちゃうかもしれないですけど、そういう経験になるなって私は思いましたね、今の話を聞いていて。

中川

はい。

栃尾

楽しいことを、「とにかくこの時間を楽しく過ごす」っていうのが、好きが精細にわかってくるのかなって、ゲームに没頭している子は、みたいに思いましたね。私もすごいゲームにハマるタイプで(笑)、でも結局生活がダメになっちゃうからやめようってあるとき、大学生くらいのときに思って、やめたんですけど、今はそんなに楽しいと思わないゲームもやっぱりあるし、でもそういうゲームにハマっている人もいるし、まあ、人によっても違いますしね。

中川

はい、そうですね。

栃尾

中川さんはどういうゲームが好きなんですか?

中川

僕はそうですね、一番好きなのは、何て言うんでしょうね、世界がゲームの中にあって、まるでその世界が生きているかのような、何て言うんでしょうね……。

栃尾

動き?

中川

動きというか、本当にヴァーチャルの中にその世界があるんじゃないかなと思えるようなものが好きですね。

栃尾

リアリティっていうことですか?

中川

リアリティ。その創作の中におけるリアリティみたいな。

栃尾

世界観?

中川

世界観も込みですよね。例えば、モンスターが出てきたとしたら、そのモンスターが悪者だったとしても、たぶん生活があって、お父さんかもしれないわけです。で、息子がいるかもしれない。

栃尾

はい。

中川

で、勇者を倒して自分の巣に人間を食料として持って帰ろうとしているのかもしれない。

栃尾

やさしいお父さんかもしれない(笑)。

中川

かもしれない。とか、例えば、ゲームの中に木が生えていたとしても、地球に生えているリアルな木じゃなかったとしても、こういう生態系からこういう形の木が生まれていったとか、そういう風に思えるような世界自体を創り上げたいみたいな欲求が結構あったりしますね。ゲーム作りにおいてそういう欲求って満たしやすいフィールドなので、世界を創作するので。

栃尾

へぇ。

中川

とかもそうですし、あと僕、将棋とかも子どもの頃やっていて好きだったんですけど、一生遊べるゲームが創りたいっていうのもすごいありますね。将棋とかって一生遊べるゲームだと思うんですけど。

栃尾

まあ、若い人からお年寄りまでやりますもんね。

中川

一生遊べるっていうのは、要は、戦術とかその人なりの研究とかを受け止められるだけの、何て言うんでしょうね……。

栃尾

深さみたいな?

中川

深さとか、普遍的なもの。

栃尾

普遍的なものね。

中川

浅いゲームだったら成り立たないじゃないですか?

栃尾

はい。

中川

例えば、じゃんけんでプロリーグがあるかって言ったらないですよね?

栃尾

確かに。

中川

あれは浅いゲームというか、じゃんけんがダメって言ってるわけではなくて。

栃尾

わかります。

中川

そういう一生遊べてしまうようなものが創りたいみたいな欲求がありますね。

栃尾

自分でプレーしてても、そういう世界観を感じたりとか、そういう普遍的な何かがあるみたいなものが好きなんですか?

中川

自分が遊んでてもそうですね。

栃尾

はい。

中川

あとはもう超定番ですけど、ストーリーですよね。

栃尾

あぁ。

中川

ストーリー。本当にRPGでもアドベンチャーゲームでもそうなんですけど、やっぱりゲームの強みってインタラクティブ性だと思うんで、すごい感動する映画を2時間観て得られる感動を、結構はるかに上回るような感動を得ることができる媒体だと思うんですよね。

栃尾

自分でプレイするから。

中川

そうです。自分でプレーして、自分がその主人公になりきったりとか、投影したりして、何かの物語を追体験することによって。映画っていうのは自分がなりきるっていっても限界があるので。

栃尾

勝手に行っちゃいますもんね。

中川

ゲームは、ある人のストーリーを観てるっていうよりも、自分が経験してるっていう風に思えるので、ちょっと半端じゃない感動というか。

栃尾

泣いたりとかもします?

中川

します、します。

栃尾

普通に?

中川

します、します。

栃尾

普通に全然、あぁ、そうなんだ(笑)。

中川

普通に映画でも泣きますけど。

栃尾

あぁ、そうなんですね。

中川

最近もっと涙もろくなって。

栃尾

それはわかります。映画よりゲームのほうが泣くぐらいってことですか?

中川

ゲームで得られた上限値みたいな感動は、ちょっと映画をはるかに超えてるので。

栃尾

なるほどね。

中川

僕、映画も超大好きなんですけど。

栃尾

はい。

中川

でも、もう全然上ですね。

栃尾

へぇ、そうなんですね、面白い。はい、じゃあ、そんな感じでゲームの面白さがね、伝わったと思います(笑)。

中川

(笑)。

栃尾

じゃあ、私、ちょっと告知をしたいと思います。私ホームページを作っておりまして、最近マガジン化もしてですね、ちょっと色々コンテンツを週2、3本配信しているので、見てみてください。URLはEMITOCHIO.netになります。ということで、以上、栃尾江美と。

中川

はい、中川裕史でした。

<書き起こし、編集:折田大器