反対語。

こんにちは、マメヒコの井川です。

はい。

はい。

うん。

うん、お芝居とかね。

リサイタル。

女装して。

リサイタル……ライブやったりね。

だったり、まあ、やってるよね。

そうですね。

うん、作詞、作曲もやったり。

うん、結構いい曲やってるんだよ。

言われる。「えっ、ホントですか？」って。

まあ、信じてもらえないけどね。

うん。

それでまた、クオリティ高いからね。

うん、自分で言っちゃうけど。

うん。

そうだね。

浮かんでく……うん、浮かんでくるね。

浮かんでくる。

うん、決まってんの。オレの場合すごいのはね。

たとえば、この前も「ゲーテ先生の音楽会」っていうのを年末にやったんだけどね、やっぱりみんな手伝ってくれる人が、「やっぱりもうちょっとこれを広めたほうがいいと思います」と、で、そのためには、先に宣伝をね。とにかくみんな知ってないから。

だから「早めに知ってもらうために、告知を早くしたい」っていうから、「そうだね」と。

「つきましては井川さんね」って、もう終わった直後ですよ、「次のタイトル決めてください」と。

でね、それに「チラシも作って、配りたい」というわけよ。

それでしょうがないから、「ゲーテ先生、先生はどこの星から来たの？」っていうタイトルだけ決めたのよ。

それで、それ用のポスターも作って。

で、それから「ところで内容をどうしようか」ってなるわけよ。

結構それ直前なわけよ。

で、そこから逆算して、先にチラシとポスターがあって、タイトルもあって、そこから中身を作って、その通りのつじつまになったわけ。

それがすごいよね。

うん。

それはコツがあって。

「なんとでも取れるようなタイトルを付ける」ってことよ。

（笑）うん。

「あんまり限定的にしない」と。

で、今週もね、僕のフルコースの料理が食べられるっていう会があんのよ。

うん、6,500円でやってるんだけど。

もう先にテーマは決まってるの。冬なら冬とか、節分なら節分とかって。

そういうテーマで作ってるけど、まだ、何も決まってないのよ、何やるか。

だけど、「まあ、節分なら何とかなるだろう」みたいな。その辺のあたりを付けるのが得意。

それはね、前回の話と一緒で。

教養あるからオレ。

細かいことは決めないのよ。

あとから何とでもなるっていうもの？ だけど、視点というのがあって。

逆に言うと、人を集めるのって、細かいことをみんな見てないのよね。

来る人は。

「えっ、面白そう」とか、「えっ、美味しそう」とかいうことだけだから。

逆に細かいこと決まってなくても関係ないんだよね。

宣伝するなら。

そう、だけど、自分が作りたいものっていうのは、そういうこととは全然関係ないじゃない？

たとえば、うーーん、じゃあ、冬のメニューを作るって言ったって、自分の中では、揚げ物の中に、蒸し物を入れるみたいなことの一つテーマが決まってるわけ。

それはね、クリエイターとしてのテーマっていうのと、みんなに告知するテーマは別なわけ。

だから、モチベーションはクリエイターとして乗り越えたいものが一つ必ずあるわけよ。

やりたいほう。

でも、それをみんなにね、仮にね、「揚げ物の中に蒸し物を入れる」みたいなね。

まあ、今は適当なことを言っただけだけど、それって、「えっ？」みたいな、「よくわかんない」みたいなことじゃない。

冬っていう。「冬の身体が温まるスープの会」みたいなことを言ったほうが、「えー、行ってみたいです」ってなるけど、自分のテーマは別個にあるわけよ。

そう。

で、その全然違うところのものを2つ持ってきて、これを融合させたいっていうのがクリエイターなんだよね。

ううん、それはね、常にやってるっていうことが大事なんだよ。

いろんなことを。

常にやってるからこそ、もうちょっとこうしたいが出てくるわけじゃない。

だから、何にもやってない人はその最初の一歩が大変なわけ。

逆に言うと、一歩を踏み出せば、「あー、こんなことしかできないんだ」っていう反省はいっぱい出てくるじゃん。

この反省を一つ次は克服したい。で、克服する方法が自分でも浮かんでいる。

そしたら、もうすぐ次のことやりたいよね。

だから、オレなんかだったら、お芝居やってるときとかは、やってるときは、もう次回のことしか考えてないわけ。

「早く終わんないかな」と思ってる。

練習のときもそうだよ。

だって、もうこの面子でやったら、これぐらいしか行かねぇのわかるじゃん。

「あー、まあ、次回はもっとこうしよう」っていう風に、次に思う。

だから、やってるときに、もう根本的に今のこの状況を打破するには、もう新しい座組みでやるしかないっていうプロデューサー的な感覚になるっていう。

だから、やってるときはあんまりもう面白くないよね、次のことだけ考えてるもん。

うん、みたいなもので、だから、次から次に浮かぶというより、もうやってるときには、次のことしか考えてないのよね。

そうだね、それはいっぱいやってるからこそだし。

僕の場合は、とにかくどんどんそういうことをやりたいから。

やれるようにお店を作ってるかな。

これがさ、僕よく言うんだけど。

お座敷芸者になるなっていうね。

お座敷芸者っていうのは、呼ばれてナンボじゃない。

全部お膳立てしてもらって、最後の最後に呼ばれて、唄や踊りを出す。だから、芸者さんは、呼ばれるようにすることが営業でしょ？

でも、それって呼ばれなくなったら終わりじゃない、早い話。

でも、僕の場合は、呼ばれる呼ばれないじゃなくて、自分でお座敷作っちゃってるからね。

だから、、呼ぶも呼ばないも、やるかやらないかでしかないのよ。

そうでしょ？

だから、そういう風に考えるとさ、いくらやりたいと思っても呼ばれなかったらやれないっていう立場の人はさ、次から次へとやりたくてもできないじゃん。

呼ばれなくちゃ。

オファーありきだもん。だから、もちろん、そうやってオファーが次から次へと途絶えない人はいいよ。

するんでしょうけど。

でも、たいていの人はさ、呼ばれるか呼ばれないかに一喜一憂しちゃって。

で、「もう次に呼ばれなくなったら嫌だな」と思うから、その一つのことをなるべく無難に収めようとするわけじゃん。

そう。

だけど、そうではなくて、自分の場合は、ミスしようが、ミスしまいが、常に挑戦できる。自分のお座敷なんだから。

それでも、「挑戦した結果、失敗してるよね」っていうのが、伝わる人には伝わるから。

無難に収めようとして失敗したんじゃなくて、アイツは。

「やろうとしてることはあるけど、まあ、今のアイツの力不足でそこまでは行けなかったけど、長い目で見ればそこに行くかもしれないな」っていうお客さんだけが付くから。

ある、ある。

うん。

あぁ、そうね。だけど、これは事あるごとに言ってるんだけど、傍（はた）から見ればさ、ラジオやって、お店やって、料理やって、畑やってって、ジャンル違いをあたかも自由にやってるように見えるけど、僕から言わせればやってることは一つなわけ。

単純に言えば、人が喜ぶ、人が驚くっていうようなことがやりたいから。

そういう意味で言うと、ジャンルを飛び越えているわけじゃないわけ。

だから別に、音楽を作るのも、料理を作るのも、どっちかっていうと一緒。同じ感覚でやっていて。

それは「口中調味」っていう言葉があるのね。

口の中で混ざり合う。そうやって食べ飽きないで食べれるわけじゃん。

特に日本食っていうのはそういうことなわけよ。

つまり、井川さんが歌しか歌ってなかったら、もちろん、その歌が好きって言う人がいるけれど。

あの人は歌もやるし、料理もやるしっていうことを、井川さんに連れられて色んなことを体験させられたけど、トータルすると「口中調味」で、井川さんを味わったってことになるじゃん。

そうでしょ。だから、そういう風に、僕の人間性とか、僕の視点そのものを楽しんで欲しいわけだから、何か一個を楽しんでほしいわけじゃなんだよ。

あー、だから、日々やってることも、傍から見れば同じに見えることも、毎日変えてるわけよ。

ちょっとずつ。

お店も。

だからしょっちゅうメニュー、「あれ？ またこのメニュー変わってるんですか？」って。

「あれ？ こんなの前ありましたっけ？」とかいうことも当然あるし。

スタッフだってそうじゃない？

だから、日々のことにもオレはそれを持ちこんでいるわけ。

だから、オレがかつて言われたことで「あぁ、なるほどねぇ」って思ったのが、「釣りをする人って、せっかちな人の方が向いてる」って。

だから、傍から見ると、よくそんな釣糸をね。

暇そうに同じところに垂らして、耐えられなさそうに見えるけど。

しょっちゅう、たとえば、その釣糸をね、浮きを変えてみるとか。

垂らすとこを変えてみるとかやってるわけでしょ？

だから、傍から見ると、「飽きもせず」って思ってるけど、続いている人は、そういうことが、どんどん色んなことが浮かぶ人？

が続いて、「次は、こうしよう」って。

で、逆に「私はなんかいろんなことができないから、釣りだけやってればいいわ」なんて人は続かないわけよ、逆に。

楽しくないから。

だから、これが答えじゃない。

うん。だから、オレがずーっとこんなカフェを「井川さんって飽き性だっていうのに、15年も続けてすごいですね」なんて言われるけど、すげぇ変えてるもん。

毎日、うん、だって場所変えようとか、席を替えてみようとか、そういうこともそうだし、スタッフも配置替えてみようとかっていうこととかも、全然同じ気持ちだったことなんかないわけ。

常にリフレッシュ。

することで、なんかこう、悲壮感がないし、その流れで、『エトワール・ヨシノ』をやったり、何かやっても、傍から見ればすごい違ってるように見えるけど、近い人は「あんだけ日々のカフェを変えてるんだから、そりゃあ女装して歌も歌うわな」っていう。

大したことないじゃない。

だから、「小説を書くらしいよ」って言っても、「まあ、書けんじゃない」っていう。

だから、何をやっても「まあ、できんじゃない」っていう気に周りがなる。

だから、それは才能がっていうんじゃなくて、日々変えてるから、「あんだけジャカジャカジャカジャカやってるんだから、その中で逆にあの人が『何もやらない』って言い出したら、それはもうきっと病気だな」

「弱っちゃたんだな」

心配しちゃうってことじゃない。

だから、本当にあなたの生活の中で、日々釣糸を垂らす場所を変えるとか、浮きを変えるとか、潮目を読むとかっていうことは、誰にだってあって、逆に、今の質問があるとすれば。

社会がどんどんシステマチックになって、「もうあなたはこれだけやってればいいよ」っていう社会に逆になっちゃってるから。

そういうことに耐えることが仕事で、そういうことに耐えることが勉強で、つまり、「耐え忍ぶことが生きることなんだ」って思い込み過ぎてるんじゃない？

そう、だけど、そうではない。人生というのは、常に釣糸を垂らす場所を変えるっていうのが生きることだから。

そっちの方が自然で、ずっと同じことをやってるっていうことを耐え忍ぶことが生きることではない。

うん、だってやったって別にいいわけだから。

それはみんな、僕がっていうより、とっちーだってきっとそうなわけで。

そうではダメだっていう何かが思い込んじゃうから、どうしてんのかなって思うだけだと思うよ。

うん。

井川でした。