
「器が大きい人」に憧れ、そうなりたいと思っている栃尾ですが、「いつでも器が大きい人なんているー??」と懐疑的な三谷さん。身の回りのもの(いい家具とか、いい革製品とか)にこだわっている人は、器が大きいのでしょうか? いろんな角度で考えてみました。
栃尾クリエイティブの。
三谷反対語。
栃尾こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。
三谷こんにちは、三谷です。
栃尾このポッドキャストは私、栃尾江美が話したい人をお呼びして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。
三谷はーい。
栃尾はい、えーとね、「器が大きい、小さい」って言いますでしょ。
三谷人のね(笑)。
栃尾(笑)三谷さんは「言わない」って言っていたけど(笑)。
三谷(笑)。
栃尾結構、器の大きい人が好きだなと思っていて。
三谷ふーん。
栃尾「それは何だろうな」って。
三谷どういうときに器が大きいって感じるの?
栃尾まあ、許容範囲なのかね?
三谷許容範囲。
栃尾うーん。
三谷何の許容範囲?
栃尾何の許容範囲だろう。まあ、人に対してやっぱり思うかなぁ。
三谷ふーん。
栃尾ちょっとしたことで……、たとえば、自分の考えと違っても受け入れるとかさ。
三谷うん、うん。
栃尾それも器の広さだと思うし。
三谷なるほど、はい。
栃尾あと、「できない人をできないと決め付けず、良い所を探す」みたいなのもさ、「器が大きいな」って思うし。
三谷うん。
栃尾「普通は怒るだろう」みたいなところで、怒らないで……
三谷穏やかで。
栃尾穏やかでみたいなのも、器が広いなとかね。あと、奥さんの文句ばかり言っている人と、「いやぁ、奥さんこういう事情でよくやってくれてるよ」みたいなことを言う人では、後者のほうが器がデカいなって思うし。
三谷度量が大きい。
栃尾度量が大きいみたいな(笑)。
三谷で、度量が大きくなりたいんだよね?
栃尾あぁ、私はなりたいし、そういう人にやっぱり憧れるよね、「素敵だな」って思うけどね。
三谷へぇ。
栃尾三谷さんは?(笑)
三谷そうっすねぇ。
栃尾「器という概念がおかしい」って言っていたけど(笑)。
三谷(笑)。
栃尾呼び方の違い?
三谷さっきも話したんだけど、どちらの方向から見ても器が大きいとか、どちらの方向、どんなテーマにおいても寛容であるとかっていうことが、果たしてあるんだろうかっていうのは思うんですよね。
栃尾うん。
三谷役割認識として、「そういう役割だから、結果、その部分に関していうと度量が大きかったりとか寛容だったりとかする」ということはあると思うんだけれども。
栃尾なるほどね、この人は……
三谷「こっち側からみたら許容範囲がめちゃくちゃ狭いね」ということは、その角度だったりとか、人との関係性とかによって変わるなっていう風に思うっていう。
栃尾なるほどね。
三谷「分人じゃないけど」みたいな。
栃尾はい、はい。
三谷うん。
栃尾特に三谷さんはそうかもね。
三谷特に?(笑)
栃尾特に。
三谷何が、何が?
栃尾「あえて器を小っちゃくしているときがある」みたいな。
三谷はい、はい。
栃尾うん。「ここは別に許容範囲広げなくていいっしょ」みたいな(笑)。
三谷(笑)。
栃尾「広げる気もないし」みたいな(笑)。そういうことは三谷さんには確かにすごく感じるよね。
三谷あ、ホントですか。
栃尾うん。
三谷ヨッシャ。
栃尾(笑)だけど、片や極端に、「いやいや、人は人だから」みたいな、極端に許容しているような部分もあるね。
三谷うーん、諦めの部分みたいな?
栃尾諦めの部分とか、うーん、「誰でも長所はあるでしょ」みたいなことを言ったりとか。
三谷はい、はい。
栃尾「誰でもやればできるでしょ」とか、そういうところかな。
三谷えーと、概念的に「器が大きいとか小さいとかっていうのはなんか嫌だな」って思うのは、「大きいほうが良い」みたいな、「小さいと微妙」みたいな。
栃尾(笑)。
三谷っていう考え方の一軸、Yes/No、白黒みたいなやつが嫌だなって思ってる。
栃尾気に入らないと。
三谷そう、そう。
栃尾はい、はい。確かにそう考えちゃってたところはあるかな。「この人は器が大きいよな」みたいに、「もうその人で一個の器を持っている」みたいな考え方をしていたような気がするけど、でも確かに、持ち物とかにすごいこだわっている人いるじゃん?
三谷はい。
栃尾「ここの服じゃなきゃ嫌だ」とか、「ブランドだったら、“ここ”か“ここ”しか着ない」とかさ、わかんないけど。
三谷文房具はこういうのにこだわってるとかね。
栃尾こだわってるとか。どこどこの万年筆だとかね。
三谷はい。
栃尾そういうのってすごい素敵だけど、まあ、狭いって言えば狭いよね。
三谷逆に、こだわっているから狭くなるってことだよね。
栃尾そう、そう。「100円のボールペンなんて使ってられないわ」みたいな感じは狭いっちゃ狭い、確かにね。
三谷うん。
栃尾だから何て言うか、人を傷つけない分にはいいのかな?
三谷うん、確かに。
栃尾その器の狭さで人を傷つけたりとかさ、攻撃したりとかさ。
三谷うん。
栃尾それで、何て言うのかな、器が小っちゃいだけなのに、「自分は正しくて、あなたは正しくないです」みたいな言い方をする人とかが嫌なのかなぁ。
三谷ほぅ、それは感情起伏だったりとか、うーん……
栃尾うん。まあ、視野の狭さってことなのかもね。
三谷ふん、ふん。
栃尾うん。「自分の視野を疑わない」みたいな。視界を疑わない……なんて言うんだろうね?
三谷なるほど。
栃尾最初に「自分の意見と違っても受け入れる」って言ったけど。
三谷はい。
栃尾そういう人はやっぱり度量がデカいなみたいな。
三谷「受け入れる」っていうことと、「認める」っていうことに若干差はあるなって思っていて。
栃尾うん。
三谷「その意見は理解できるし、わかるけど、受け入れられない」っていうことは。
栃尾ある。
三谷あるんじゃないかなと思っていて。
栃尾うん。
三谷「受け入れる」っていうこと自体が、うーん、「良いことなんだろうか?」って思ったりするね。
栃尾まあね。
三谷1つのパーソナリティの中に、色んな人の考え方を本当に受け入れられる人がいると思ったら、その人はバケモノですよ。
栃尾もちろん、100%の話はしていなくて、器が無限に大きいっていう話はしていなくてね。
三谷うん。
栃尾だから、もちろん受け入れられない部分はあるんだけど。
三谷うん。
栃尾反射的に言われたことを拒否っちゃう場合ってあるじゃん。
三谷うん。
栃尾だけど一旦「それもありかもしれない」と自分のテーブルの上に載せると、初めてそれがちゃんと見れる。
三谷あぁ、それはいいね。
栃尾それを見もしないで、「そもそも自分の考えと違うから違います」みたいなのとか、あとは、「あなたは新人だから、聞けません」みたいな態度の人が結構いるなって思っていて。
三谷へぇ。
栃尾哲学対話とかで特にね、あるんだけど。
三谷うん。
栃尾どんな子どもが言った意見でも、「それってこういう意味なんじゃないかしら」と一旦見つめてみるみたいなのが、結構……、その上で、受け入れる、受け入れないを判断したほうがいいけど、それができる人ってなかなかいないなと思ってるんだよね。
三谷それはそうだね。姿勢の問題なんじゃないですかね。
栃尾姿勢の問題ね。
三谷相手に興味をもって知ろうとするっていう姿勢があるっていうことなんじゃないかなって思う。
栃尾なるほどね。そうだね、そう、そう。
三谷僕、嫌いな言葉に、「みんなちがって、みんないい」っていう言葉があって。
栃尾(笑)。
三谷「みんなちがって、みんないい」わけないだろうって。
栃尾(笑)そうなの? いいじゃん(笑)。それはね、結論付けられちゃうと私も嫌だね。
三谷そう。
栃尾うん。
三谷あの……、リタリコでタグラインを作るときに。
栃尾何を作るとき?
三谷お客さんに対するメッセージタグラインを作るときに。
栃尾タグラインね、うん。
三谷「人はちがう。それでいい。そこからはじまる。」っていう風にしたんですね。
栃尾うん。
三谷人が違っているのは当たり前で、それでよくって、それは当たり前だから。で、そこからスタートしましょってことにしたんですよ。
栃尾うん。
三谷「みんなちがって、みんないい」っていうことじゃなくて、違いがあって、それが認められていて、そこからスタートして、理解を深めていったりとか、関係性をスタートしましょうよ、っていう風にしたんですよ。それは結構、中でも人気がありますね。
栃尾ふーん。「みんなちがって、みんないい」のどこがダメなの?
三谷「みんなちがって、みんないい」っていうのは、違っていて、それがグッドであるっていうこと。
栃尾うん。
三谷まあ、これは我々が障害福祉をやっているからなんだけど。たとえば、車いすの人が、「みんな違って、みんないい」って言われて、「あなたの車いすだってことも個性だ」って言われたって、「いや、俺、車いすなんか全然気に入ってないし、個性じゃない」って思ったりするわけじゃないですか。
栃尾うん。
三谷知的障害だって、知的障害の本人が知的に障害があるってことを「良い」って言われたときに、「いや、良くないでしょ」って思うじゃないですか。
栃尾うん。
三谷だから、「みんなちがって、みんないい」っていうのは、それは理想論ではあるけれども、それを何て言うのかな、本当かどうか、言われた側として……、言う側は気持ちいいかもしれないけど、言われた側として正しいかどうかっていうことは、結構議論しますね。
栃尾リタリコのタグラインは何なんだっけ? もう一回言って。みんな……
三谷人はちがう。それでいい。そこから始まる。
栃尾そこから始まる。
三谷そう。別に「良い、良い」とはもう……、良いかどうかわかんない。
栃尾「それでいい」って言うのに、プラスの意味が含まれていないっていうことね。
三谷そう、そう。フラットであるっていうことが大事だと思っていて。
栃尾あぁ、なるほどね。
三谷事実として人は違いますっていうことと、それが良いも悪いもなくて、そのままでいい。
栃尾「みんなちがって、みんないい」の「いい」もさ、もしかしたら、グッドっていう意味で使ってないかもしれないよね?
三谷それもそうかもしれないね。けど、グッドっていう意味で使う人たちが結構多いなって思っていて。
栃尾あぁ、なるほどね。それで誤解が生じちゃうからっていうことね。
三谷そう、そう。人種が違ってもみたいな、カッコいい人がいても悪い人がいてもみたいな、能力が違っても、みんな良いよねって言われたら、良いって言われたら優位にある人しか言えないね、みたいな。
栃尾うん、うん。「それで」にしたことがポイントっていうことね。
三谷「それでいい。そこから始まる」ね。
栃尾なるほどね、何の話してたんだっけ?
三谷器の話です(笑)。
栃尾器の話ね。
三谷そう、だから、器が大きいのが良いのか、小さいのが悪いのかみたいなのはちょっと疑問だし、「広げていけばいくほど素晴らしいっていうことなのかどうか」っていうのもちょっとわかんないなって感じがする。
栃尾ふーん。まあ、視野と関係あると思う? 視野が広い、狭いって言うじゃない。
三谷そうっすね、視野も狭いときがいいときもあるし。
栃尾ふーん、それはでも、広い視野を持っていて、あえてフォーカスするっていうことなんじゃないの?
三谷うーん、けど……
栃尾広い視野をそもそも持ってなくていいと思う?
三谷うん、別に持ってなくてもいいと思いますよ。その分野で、「ここだけにこだわりが強くて」みたいな、「他のことは知りません」みたいな人でも別に……
栃尾外の世界はまったく知らなくても?
三谷「でもいいんじゃないですか」って思ったりしますけどね。まあ、モノによるけどね。
栃尾うん、まあね、具体例がないと難しいか。
三谷「分野の狭さっていうところを切り取る」っていう話なら、「それでもいいんじゃないですか」っていう風に思うよ、みたいな。
栃尾なるほどね。
三谷それを、視野を広げるって言うのは、世界を見よ、みたいなことになるけど。
栃尾うん。
三谷世界を見てやるっていう、大きくやることが得意な人もいれば、そうじゃなくて、この距離感とか、この目の前の範囲の中で何かを極めて行くほうが得意な人もいるって思っていて、だから、広ければいいってもんでもないなって思ったりするね。
栃尾なるほどね、あんまり関係ないと思う? 器と?
三谷そういう風に、「いい人の定義をマジックワードにしているっていうのが、なんか嫌だな」みたいな(笑)。
栃尾(笑)。
三谷「疑り深いな」みたいな(笑)。
栃尾そっか、そっか、まあね。
三谷歴史の偉人とか、「理想の上司は?」みたいな、器が広い人っていうけど、「そんなに何でもかんでも器が広い人っているかな」みたいな。
栃尾うん、うん。まあ、「私に対して」っていうことなのかもね
三谷そう。自分に対して許容してくれるとか、自分に関して認めてくれるとか、自分に関して寛容な人が好きっていう話だったら、「Yes」っていう感じがする。
栃尾それは「Yes」なんだ(笑)。
三谷「それはそうだよね」みたいな(笑)
栃尾そうだよね、自分とか、あとは目に見える関係者っていうことかな。
三谷そうだね。けど自分にとって、「こっちから見て器が大きいっていう人が、その他の人にとって器が大きい人かどうかはわかんないよね」って感じがするよね。
栃尾わかんないね。
三谷そう。
栃尾それは狭くてもいいのかな?
三谷うーん、色々だなって思うよ、って。
栃尾まあね。
三谷入れるものによっても違うし、あとはさっき言った距離感によっても違うし。
栃尾うん。
三谷器が広い、大きいっていうことは、距離、近い人をたくさん抱えられるのかどうなのか、一定の距離感の人たちをガサッと囲うのが得意な人なのか。
栃尾「器が小っちゃいな」って思うことはないっていうこと?
三谷器が小っちゃいな?
栃尾そういう風には考えない? 人に対して?
三谷人に対して? 「この人は器が小さいな」って? あんまり思わないかもしれない。
栃尾ふーん。そういうときどうするんだろう? 許容が狭いような人に、どういう風に思うの? どういう印象をもつの?
三谷えっ? 許容が、具体的にどんな感じ? 許容が狭いって?
栃尾「具体的に」……、そうだなぁ、まあ、さっき言ったみたいに、些細なことで奥さんの文句を言ってたりとか。
三谷はい、はい。
栃尾かなぁ……、あとは、まあ、そうだなぁ……
三谷つまらない愚痴を言う人みたいなこと?
栃尾(笑)つまらない愚痴を言う人はそうね、器小っちゃそうな感じするわ。
三谷(笑)器は関係なく、ウザいねみたいな(笑)。
栃尾そっか(笑)。
三谷愚痴を言いやすい。
栃尾確かになんか、マジックワードでちょっとずるい感じはするね。ただ、文句を言ってるのが気に入らないだけなのに、「器が小っちゃい」みたいな、「大義みたいなことで、この人を攻撃しちゃえ」みたいな。
三谷そう、気持ちの中で整理をつけやすいよね。
栃尾私自身がね。「私がムカついてるんじゃなくて、器が小っちゃいあなたが悪いんでしょ」みたいなことにすり替えているのかもしれないね。
三谷そうだね、それはあり得る。
栃尾確かにね。それはあるな。
三谷でも、「なんでその人がそういうことを言うのかな」っていう背景にもよるから。
栃尾うん、うん。
三谷こっちから見たら、「小っせぇこと言ってんな」って思うかもしれないけど、「その人にとっていうと結構重大なポイントっていうことは、当然発生するな」って思うから。
栃尾まあね。
三谷そう、そう。「この人はここに興味があるんだな」みたいな。「正しくルールを守るっていうところに興味があるんだな」って思うけどみたいな。「細けぇこと言うな」っていう風には思いはしないって。
栃尾そっか、思いはしないってこと?
三谷そう、そう。
栃尾あぁ、その人の興味がそこであるっていうことか。
三谷そう、そう。
栃尾私も別のところで細かいわけだからね。
三谷そう、そう。それぞれ細かいじゃんみたいなね(笑)。
栃尾うん、うん、確かにそうだね。
三谷「それぞれ器が小さいよ」みたいな(笑)。
栃尾そっかぁ。でも、使っちゃうな。もうちょっと器っていう言葉の解像度を上げていこうかな、そしたら。
三谷確かに、いいんじゃないですか。
栃尾と思います。はい、そんな感じでしょうかね。
三谷うん。
栃尾えーと、私はですね、『note』も書いていて、ちょっと『note』には、なんだろうな、そんなにたくさんは書いてないけど、結構不登校のことをエントリーして書いてたりするので。
三谷お子さんのね。
栃尾そう、そう。子どものね、不登校のこととか書いていて、そういうのでお悩みの方にね、私の経験がちょっとでも役に立てばなと思っていたりするので、もしご興味あれば、読んでみてください。以上、栃尾江美と。
三谷三谷でした。
<書き起こし、編集:折田大器>
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