お坊さんYouTuberの武田さんは、カウンセラーとしても活動中。学校や企業に通勤して、カウンセリングをしているのだそう。そのお仕事の様子や面白みに加えて、私たちがカウンセラーを選ぶ時のポイントを教えてもらいました!
クリエイティブの。
反対語。
こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。
こんにちは、お坊さんYouTuberの武田正文です。
このポッドキャストは私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をお呼びして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。えっと何回目ですかね? 4回目。
はい。
となります。武田さん、よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
えっと、今までスルーしてましたが、カウンセラーとして活動されてるということで。
そうなんですよね。
珍しいんですか? お坊さんでカウンセラーさんの方って?
そうですね、まあ、いらっしゃらないこともないんですけど、あんまり多くはないですね。
別に繋がらないですよね? お坊さんからカウンセラーっていうのは。
そうですね、まったく別のものですからね。
何回か前におっしゃってましたけど、「悩みごとを相談したりするっていう意味では同じような」っておっしゃってましたよね。
そう、そう。目的としてはやっぱり仏教も苦しみの解決だし。
ふーん。
心理学の方も人の悩みを解決するっていうことなので、まあ、目的はすごく似てるんですよね。
ふん、ふん。
「その辺りを繋げたらいいな」みたいな感じなんですけどね。
どんな風に活動してるんですか?
まあ、シンプルにですね、私はお坊さんとして働いてるのが半分、カウンセラーが半分みたいな感じで。
半分って結構デカいですね。
結構行ってるんですね。町内のですね、学校とか企業とかに非常勤で、日替わりで色んな所に行ってるんですよ。
あっ、そうなんですか?
そう。で、学校に行ったら子供の悩みを聞くし、働いている所に行ったら、その職場での悩みとか、職場でどうやったらもうちょっと色んな業務が円滑にいくかみたいな方法を一緒に考えるとか、そういうのをやっている感じですね。
へぇ、いわゆるそれは産業カウンセラーってことですか?
そうですね、まあ、僕、資格としては臨床心理士と公認心理士で、産業カウンセラーは持ってないんですけど、まあ、やってることは産業カウンセラーって感じですね。
ふーん、じゃあ、普通に、えっと、お給料もらってるってこと?
そんな感じです、そんな感じ。
(笑)そうなんですね、意外。
これはもう普通にカウンセラーとして行ってるので。
はい。
スーツ着て行ってたりとか、こんな格好じゃない。お坊さんじゃなくて、普通に行って働いてます。
あ、そうなんですね。
うん。
それはどうなんですか? 自分の中では、好きな仕事だったりするんですか?
好きな仕事なんです。すごく楽しくって。
うん、うん。
で、お寺に帰るまでは、僕は、精神科病院で働いていたんですよ。だから、ホント統合失調症とか、鬱病とか、精神病の方のカウンセリングとかやってて。で、「この人の心の世界がどうなってるのか」っていうのをもうずっと考えてたんです。ああいうの好きで。
へぇ。
すごい楽しかったんですけど。で、お寺帰らなきゃいけなかったから、まあ、泣く泣くその仕事は辞めて、帰ってきて。近くでできることって言ったら、学校とか、企業とかのね、カウンセラーかなっていうことで。まあ、今のよりも、本当はもっとカウンセリングやりたいんですよ。色んな人のお話聞きたいし、楽しんですけど。まあ、お参りしなきゃいけない、お葬式行かなきゃいけないんで。
(笑)。
あんまり仕事も入れすぎるとお参りできなくなっちゃうので。
はい。
まあ、これぐらいにしてるって感じですね。
週に2、3日って感じですか?
うん、ぐらいかな。それぐらいだと思います。
ふーん、で、日中だけ行ってみたいな。
はい。
じゃあ、学校ってことは、子供とかもやってるんですか?
そう、そう。
スクールカウンセラーってこと?
あ、スクールカウンセラーで行ってます。
あ、うちのね、小学校にも来てますけど。
もう全校配置になってると思います。どこの小中学校にもあると思います。
ああいう風に、相談室にいらっしゃるってことですか?
そう、そう。あそこにいるんですよ。
(笑)そうなんですね。
はい。
へぇ、カウンセラーはどういうところが好きなんですか?
いやぁ、まあねぇ、人の話を聞くのが好きで。
うん。
で、話を聞くっていうよりか、なんかその人の人生を一緒に追体験できるっていうのが、すごい勉強にもなるし。
うん。
自分で思ってもないような環境とか、自分が想像できないような感情とかっていうのがいっぱいあって、そういう話を聞くのがすごい好きなんですよね。
へぇ。じゃあ、小説読んでるような感じですか?
あぁ、だと思いますね。感覚的にはたぶんそうだと思う。
ふーん。
小説で体験できるようなことを実際、目の前の人が色んな経験しておられるのを聞いて、しかもカウンセリングで自分もそこにコミットできるので、ホントやりがいのある仕事ではありますね。
へぇ。そういうのって、ちょっと病んでる方とお話するときに、そういうのをもらっちゃうみたいなのを聞いたことあるんですよ。そういうのありますか?
まあ、やっぱりありますよね。しんどくなる。ホント絶望的な状況で生きてる人っているので、そういう方の話を聞いてるとしんどくなるのもあるんですけど、だったら、まあ、僕わりとね、さっぱりしてるので、平気なんです(笑)。
なるほど。
わりとこう気持ちを切り替えるのが得意なので。
うん、うん。
まあ、へこみもするんですけど。で、それを切り替えるのにも、仏教はすごく役に立ってると思ってて。
なるほど。
で、仏教の教えだと、「一切皆苦」っていう言い方をするんですけど。
はい。
「すべてのものは皆苦しみである」っていう言い方をするんですよね。だから、「人生なんか上手くいかないし、絶望的な状況にあるっていうのは、そんなに変わったことじゃない」っていう価値観が仏教のベースであるので。
はい。
カウンセリングで、そういう絶望的な人に出会ったときにもですね、「いや、この人も今は大変だけど、カウンセリングで何もできないけど、きっとこれから何かが変わる」っていうのを信じて関われるので、そういう意味では「仏教をやっててよかったな」って思ったりもしますね。
ふーん、そういう拠り所になるわけですね。
そう、そう。
ツラいときの。
うん。
へぇ、なるほど。
言わないですけどね、カウンセラーのときは。
あ、仏教の話は。
はい、言わないんだけど、自分の心の中ではそういうのを思ってる感じです。
確かにねぇ。でも、今は学校とか企業さんってことは、その昔の精神科にいらしたときよりは、ヘビーな方はいないってことですよね?
あぁ、そうですね、遥かに健康度の高い方なので。
うん。
わりかし元気になったりとか、前向きになれることが多いので、楽しいですよね。
個人的にっていうか、自分の事業として受けるみたいなことはないんですか?
それもやってて、お寺にカウンセリング受けたいって言って来てくださる方もいらっしゃいますし。
はい。
Zoomで、オンラインでカウンセリングも受け付けてるので、結構ね、Youtube観て「カウンセリング受けたい」って言って連絡くださる方もいらっしゃってて。
へぇ。
ちょいちょい、話をしてカウンセリングしたりしています。
じゃあ、遠方からでも。
もうね、便利な時代ですよね。こうやって遠方からでもPodcast録れますもんね、こうやって。
そう、そう、そう。
そう、そう、便利ですよ。
カウンセリングもできるし。
うん、なんでもできますよね。
へぇ。じゃあ、その個人でやる方も最近は広がってるって感じ?
そうですね、ちょこっとは広がってるけど、まあ、そんなにね拡げる気ないので、あんまり言ってないのと、宣伝してないので、そんなにびっくりするほどは広まってないんですけど。
はい、はい。
ぼちぼちですね。
うん、うん。じゃあ、そっちはそんなに広める気はないんですね?
はい、広めたら忙しいですからね(笑)。
まあ、そうですよねぇ。
だから、ぼちぼち色々できたらいいなって感じです。色々やるのが好きなので。
(笑)。
何か1つをめちゃくちゃ増やしたいとは、あんまり思ってないんですよね。
なるほどね。なんかライターの仕事もですね、結構ジレンマがあって、たくさんやればやるほど自分の時間がなくなっていくので。
あぁ。
圧倒的にもう時間が取られるので、執筆っていうのは。
そうでしょうね。
はい、だから、いっぱい受注が来るからってめちゃくちゃ嬉しいかっていうと、「まあ、嬉しいけど……」っていう感じですよね(笑)。
(笑)そうですよね。
そういうジレンマが。
なかなか悩みどころですね。
うん、うん。そうですね。
うん。
どんな人がカウンセリングを受ければいいみたいなのってありますか?
あ、そうですね。あのぉ、たぶん皆さんイメージの中で、ホント鬱病になったりとか、絶望的な状況にならないとカウンセリングって受けちゃダメって思ってる人が結構いるみたいで。
受けちゃダメ(笑)、資格がない(笑)みたいな。
そんなことなくて、「こんな簡単な悩みで相談していいの?」みたいなことを言う人いるんですけど。
はい。
それが実はすごく重要で、今、自分がちょっと悩んでることって、これから先の人生にも同じような悩みがいっぱい出てくるわけですよ。
うん、うん。
これを早めに解決できてれば、そこから先の人生ずーっと楽だから元気に過ごせるんですけど、それをずーっと積み重ねちゃうから鬱になったりとか、しんどくなるわけで。だから、できれば早めにですね、「ちょっと、聞いてもらいたい」とか、ちょっと自分の人生の流れをですね、考え直したいっていう人に、できればどんどんカウンセリングに来てもらいたくて。で、そういう人だとですね、カウンセリングって重症の方だと、やっぱりもう1か月とか、2か月とか長くやらないとなかなか効果出ないんですけど。
はい。
健康度の高い人だと1回話すだけとか、2回とか3回で、結構な成果が出るんですよ。
うん。
なので、よかったらね、そういう人に是非来てもらいたいですね。
なるほどねぇ。
元気だけど、ちょっと迷ってるぐらいの人。
はい、はい。ちょっと調子が悪いぐらいで病院に行った方がいいっていうのと一緒っていうか(笑)。
そう、そう、そう。早めに来てくれた方がやりやすいかなっていう感じ。
そうですよね、虫歯もグジュグジュになってから行ってもね、みたいな(笑)。
やりようがない(笑)。
「大変、大手術だから」みたいな。
そう、そう、そう。
なるほどね。私もですね、離婚前にですね……私、去年、一昨年かな、の年末に離婚したんですけど。
そうでしたか、大変でしたね。
(笑)。離婚前に、離婚を決める前ぐらいがやっぱり一番つらかったですね。で、その時に、カウンセリングをオンラインで受けました。
あぁ、えぇ、なるほど、なるほど。
オンラインと、あと、なんかあの区役所とかでやってるやつ。
あぁ、ありますね、ありますね。
はい、無料のやつ。
えぇ。
とか行きました。
どうでしたか? やってみて?
そうですね、なんか私はその相手の方と信頼関係を構築するまでがちょっと大変なのかなと思いました。
うん。
本当に信頼できないと、すべて自分の弱みまでさらけ出せないっていうか。
うん。
だから、それで相手の方がどれぐらい信頼に足り得るのかみたいなところを測っちゃうんですよね。
あぁ、なるほど。いや、でも大事なことですよ、それ。
(笑)そうですか。それで、あんまりこう……すっきりはしたけれども、とかちょっと前に進めた感じはするけれども、本当はもうちょっと聞いて欲しかったし、もうちょっと言いたかったなみたいなのが残りましたね。
あぁ、なるほど、なるほど。
まあ、どっちも1回しか受けなかったので。
あぁ、はい、はい。
うん、うん。
それはまあ、2回目があったら違ったかもしれないですし、あと、まあね、やっぱりね、相性があるんですよ、なんて言ったって。
ありそう。
そう、だから、良い、自分にあった人に1回目で出会えるとは本当に限らないので。
あぁ。
だから、何人か聞いてみると、「この人ありだけど、この人ちょっと」みたいなのが見えてきますよね。
うん、うん。
そうなって、自分に合った人に、気軽にこうやってオンラインとかだとアクセスできるので、良い時代ですよね。
なるほどね。そうですよね。
うん。
そっか、段々こうやっていくと、こういう人が合うなっていうのも、だんだん目が肥えてくるじゃないけど。
あぁ、そう、そう。
わかったりするんですかね。
あると思います。で、あの、カウンセラーって実はバックボーンの理論がみんな結構違うんですよ。
あぁ。
だから、その人がどの理論を用いてカウンセリングやってるのかによって、その1時間の雰囲気って全然違うので。
確かに。
そういう意味でも、ご自分が受けたいカウンセリングには、こういう人の方が合ってるよね、っていうのがやっぱりあるので、その辺りも含めてね、色々とやっていくと自分に合ったものが見つかりやすくなりますよね。
例えば、どんな理論があるんですか? 具体的に、名前を教えてもらうとしたら。
えっとですね、大きく分けたら3つかな、メジャーなの。
はい。
1つ目が「精神分析」って言って、「あなたの無意識分析します」みたいな感じで。
ふーん。
気付いていない過去であったりとか、自分の無意識の世界を探索していくことで、自分の見えてなかった自分に気付いたりとか、自分の心の在り方ってものをちょっと変えていくっていうのを目指すのがあって、これは考えるのが好きな人とか、哲学が好きな人は好きなんですけど。
あぁ、はい。
「ズバッと言われるとしんどい」とか、「ちょっとそこまで過去を掘り下げられるとちょっと嫌だ」っていう人はあんまり向いてないんですよね。
うん、うん。
それに対して、「認知行動療法」っていうのが、今、結構日本ではメジャーになりつつありますけど。
はい、よく聞きますね。
これはね、さっぱりしてるんですよ。
あ、そうなんだ。
もうシステマティックで、構造がはっきりしてるので、どんな人がやっても一定の成果が上げやすいっていうのがあって、で、これはね、もう論理的なところで、「もう余計なことを言わないでくれ」っていう人、これはめちゃくちゃ合ってるんです。
(笑)。
「さっさとやろう」っていう人は、すごい合ってて。
うん。
だけど、「ゆっくり傾聴してもらいたい」とか、「なんかもっと、でも裏というか、もっと深い何かがある気がする」っていう人は、ちょっとこれだけだと物足りなかったりするんですよね。
うん、うん。
で、一方で、「パーソンセンタードアプローチ」っていうのがあって、これがいわゆるカウンセラーって何も言わずに「はい、はい」言って聞いてるイメージあるかもしれないんですけど。
うん、うん。
わりとそういう理論に立ってる人も中には居てですね。でも、傾聴だけしてるっていう人の中で、本当に職人的なカウンセラーがいて、ただ話を聴いてるんだけど、おそろしく相手を元気づける人っていうのがいるんですよ。
へぇ。
「この先生はすごいな」と思う人が、僕も何人かいらっしゃるんですけど。
へぇ。
そういう先生はですね、本当に出会えたら奇跡だと思っていいぐらいのですね、体験ができるので、もう全然違うんですよ、この3つとかで。
え、最後の何アプローチっておっしゃいました?
えっとね、「パーソンセンタードアプローチ」。
パーソン……。
「クライエント中心療法」っていう色んな言い方をちょっとするんですけど。
ふーん。
これがね、今ね、おもしろいなと思ってますね。
武田さんはどれなんですか?
僕はね、1個目のやつです。精神分析。
あぁ、そうかなと思った。
(笑)案外言います。「あなたの無意識これですか?」とかって言って。
へぇ。私ね、哲学とか考えることが好きなんで。
あぁ、なんかね。
それが合うかもしれない。
栃尾さん、それが合うかもしれない。
(笑)そうですかね。
はい。
最後のやつは、もう人がすべてってことですかね? そうすると。
そうですねぇ。最後の……
ほかの理論よりは。
まあ、どの理論もですね、結局、達人級の人に出会うと……
あぁ、そっか。
すべてのことをやっちゃうんですよね、すごいカウンセラーたちは。
はい、はい。
だから、そういう先生に出会えたら、どの理論とかもう関係なくなってくるんですど。
なるほどぉ。
なんかあの、我々ぐらいですよね、ちょっと若手の……
(笑)。
カウンセラーとかになると、どれをやってたかっていうのが結構な影響があったりするので。
ふーん。
どれがいいかっていうのも考えてもいいかもしれないですね。
おもしろいですね、すごい初めて聞いた。ありがとうございます。じゃあ、今日はカウンセラーのことをね、お伺いしました。
はい。
はい、ありがとうございました。
ありがとうございます。
以上、栃尾江美と。
武田正文でした。
<書き起こし、編集:折田大器>