野田めぐりさんが開催しているワークショップに「エンディングノート」のプログラムがあります。日常的に死を意識することは少ないかもしれませんが、ときどきこうして思い返すと、「今」がなお大切にできそう。めぐりさんにエンディングノートについて教えてもらいました。
クリエイティブの。
反対語。
こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。
こんにちは、野田恵里(めぐり)です。
このポッドキャストは私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をお呼びして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。はい、引き続き恵里(めぐり)さんにご登場いただいております。よろしくお願いします。
はい、お願いします。
えっと、次は「エンディングノート」のことを聞こうかな、と。
うん。
エンディングノートって結構一般的な言葉なのかな?
そうだね。もう一般化しましたよね。
遺書的なイメージだけど。
あぁ、そうね、まあ、遺書まではいかないかな。遺書を書く前段階というか。
うん、うん。もうちょっとライトな感じなんだよね。ライト?
うーん、あとは項目が色々あるかな。
はい、はい。恵里さんがやってるやつはね。
そうね、まあ、一般的なのもね、なんだろう、例えば、お金のね、例えば「口座がどこに」とか。
はい、はい。
相続とかもね、「誰にどうしたいか」とか。
そっか、そっか。そういう感じだね。
うん。
うん。これもワークショップ形式でやってるの?
そうなんですね。マンダラエンディングノート®もこの前お話した味方学も、ワークショップ形式です。
うん、うん。
質問に答えていくっていう……
マンダラについてはね、別途聞こうと思ってるけど。
うん。
エンディングノートも質問に答えていくと。
そうですね。
これはさ、まあ、年配の方はわりと本気で取り組むんだろうなと思うんだけど、「若いうちもやったほうがいいよ」とかよく言われるよね。
そうですね。これはね、ホントね、誰でもというか、お子さんでもできるし。
うん。
色んな年代の人にやってほしいですね。
子どもができるんだ。
そう、子ども……。あとね、子どもだけっていうよりか、ご家族でやることもたまにあってね。お孫さんと、例えばね、小4のお孫さんがいて、おじいちゃん、おばあちゃんと、あと娘とかがいる環境でやったときもすごいよかったですよ。得られるものがね……
へぇ。
また、そう、どんな人たちとやるかによっても出てくる答えが変わる。
なるほどね、じゃあ、誰かとやったほうがいいんだ。
そうね、これ、ワークショップ形式にしているのはそういう理由もあるけど、人といるとその人の発言から、自分にアイデアが湧いてきたり。
うん、確かに。「それもあったか」みたいな。
そう、あと、しゃべるといいんだよね。自分の言葉でしゃべると。自分て聞く側にあんまりならないじゃない、自分の言葉を。
うん。
だから、そのときに口から発すると「あれ?」とかね。
違うなと。
「あれ? そうじゃないな」とか。
あぁ。
「これは本当に自分そう思ってるな」とかね。そういう声に出すというのも大事ですね。
あぁ、自分の声をもう一回聞くっていうのが、なんか客観的になれるのかな。
そう、そう。
なるほどねぇ。前にさ、そのめばえさんでやってたときにさ、私1回か2回か参加したんだけどさ。
うん、うん。
なんかそうそう、さっき休憩中に話してたけど、私ちょうど離婚を考えてたんだよね。
うん。
それで、たぶん、なんか、でも、そのことはまだ周囲の人には言いたくなくて。
うん。
なんか、「死ぬ時に誰といたいか」とかさ。なんかそういう質問もあるのかな? だから、離婚したいことを隠すのであれば夫婦前提で答えなきゃいけないみたいな項目が結構あって、「ちょっとこれは素直にできないな」って思ってやめた覚えがあるのね。
うん。
でも、今だったら、じゃあ、いいのかな?
そうね……、やるといい。
(笑)。
やったほうがいい。
なんかさ、何が良いって、その「死ぬときどうするか」ってさ、結構遠い未来っていう感じがするからさ。考えないよね、普段。
そうね。普段は考えないよね。
うん、うん。でも、そのエンディングノートやるときは、否が応にも考えなくてはならないってことでしょ。
そう……、ただ、そのなんだろうな、「苦しいな」とか、「あぁ、こんなこと考えたくないな」ってことじゃないんだよね、結構。
うん、うん。
それがこのマンダラエンディングノート®のいいところで。
はい、はい。
「最期をもって、今どう生きるか」っていう。「今どうするか」っていうのにスポットが当たるから。
うん。
質問自体に疑問を持ってもいいんだよね。
うん。
なんだろう、こう……
どんな質問があるの? 例えば。
そう、例えば、これもね項目が9つありまして。
うん。
例えば、「私の人生」とか。まず人生を振り返る。
うん。
あとは、その、最初はね、今、人生の未来図っていう項目になってるんだけど、そういう風にこう「今までの自分の人生を振り返る」とか、「こういう風になったらいいな」っていうような、そのあんまりエンディングに直接関わり合いがなさそうなもう少し大きなテーマの話を聞くのね。
へぇ、過去とかも振り返るのね。
そう、そう。そうするとそこで出会った人とか、あとは自分自身こんな感情が湧いたとか、「あ、こんな経験してきたんだ」っていう、本当に自分を総振り返りして。
うん。
で、そこから例えば、「病気介護になったら」とか。「葬儀はどうする」とかっていう風に、エンディング、「最期にはどうしたいのか」っていう、「自分はどうしたいのか」っていうのを聞く項目で、例えば、病気介護のときの……(質問をめくりながら)、あ、これかもね、例えば、「病気になったら誰に面倒をみてもらいたいですか?」とか。そういうのがあって、さっきとっちーが言ってた。
はい、はい。
「ちょっと、どうしよう」みたいなね、「なんて答えよう」っていうところかもしれない。
うん。
そういう質問とか、あとは、葬儀とかも、「生前予約はしていますか?」とか。
うん。
それも「生前予約って何だろう?」とかって思ってもいいわけね。
うん。子どもがやるとしたらさ、子ども自身は自分が死ぬっていうか、その亡くなるときのことを考えるわけ?
そうね、良い質問ですね、そう。
(笑)うん。
例えば、お子さんがやるときは、たぶん、9項目のうちのどれをやるかっていうのもあるけど、「私の人生」とか、「人生の未来」だったら自分のことを考えてみたらいいし、「葬儀」とか「お墓」だったら例えば、おじいちゃん、おばあちゃんのことを考えてもいいし。
なるほどね。
そう。それは、その質問を言われて、湧いてきたことを答えればいいんで。
うん。
自分のことだったり家族のことだったり、っていう風にこう変わって行ってもいい。
ふーん。そのさ、その自分の終わりを考える、っていうかそこに思いを巡らせることで、私がパッと思いつくのはさ、やっぱり結局今が大事になるだろうなっていうのは、思いつくよね。
うん。
いつかは死ぬって考えると、「どれだけそれまでの時間を充実させるか」みたいなところに繋がっていくかなって思うんだけど、そういうイメージで合ってるのかな?
そうね、まさに今を大事に、そして、なんだろう、なんとなく生きるのものいいんだけど……
うん。
なんかこう「自分の最期をイメージしながら今どう生きるか」っていう、優先順位も付けやすいかもしれないね。
うん、うん。
あとは、本当に家族のことを考えることもできるし。
うん。
そう。「これだけはしておきたい」っていう自分の強い要望が出てくるかもしれないし。
うん、うん。エンディングっていうから、なんかこうネガティブなイメージになりがちだけど、未来を考えるってことだもんね。
そう、そうなの。
未来とか、将来とか。
そう。
そうだよね、それを最期まで考えるってことだもんね。
そう。
なるほどね。ふん、ふん。その中にちょっと具体的なあれだよね、「口座がどうなってる」みたいな質問もあるってことだよね?
あとはね、例えば「一人暮らしして、こういう風に暮らしたい」っていうイメージがあれば、「だったら、今のうちに荷物を減らしておこう」とか。
うん。
なんかこう「家族に迷惑をかけたくない、葬儀はシンプルにしてほしい」って思ってるけど、「家族にどうやってそれを伝えるんだろう」とかね。
うん、うん。
みんな、自分の気になるポイントってのが出てくるんですよね。
なるほどね。
そう。そこでね、こう、「どうやって伝えよう」っていうのでもいいし、「これ調べて、本気で調べてみよう」とか。
うん、そうね。うん、うん……、なるほどね。恵里さん、自分でもこれも定期的にやってるの?
そうですね、これも定期的にやってますね。
へぇ、その度に発見がある?
発見がある。
へぇ(笑)、最近何発見した?
発見がある、そうね、こう財産のところで、「預貯金の額や場所をすべて把握していますか?」って。
うん。
「あ、まだ把握してないものがある」とかね。
うん、うん。
例えばね、本当にそういうことも思ったりするし、あとはね、「供養・法事・仏壇」っていって、そういう項目もあるんだけど。
うん。
「あなたにとって供養とはなんですか?」とかね。そういうのもなんかこう、まだ祖母亡くなってないんだけど。
うん。
亡くなってない人のことも考える。こういう供養とかになると、自分のことっていうよりかは。
親とかね。
親とか、おばあちゃんのこととか考えたりするんだけど。
うん、うん。
「あ、そうだ、おばあちゃんにもっと会っておきたいな」とかさ。こう気持ちが湧いてくる。
うん。
今できることを考えれるっていうか。
確かにねぇ。なるほど、なるほど。そうだ、そうだ、そのワークをやったときに、やっぱり私より年上の方がすごい多かったから、なんか葬儀がどうとか、それこそ供養がどうとかの、私にない知識を皆さんがお持ちで、「あ、そういうことがあるのか」ってすごいビックリしたっていうか、新しい発見があったような気がする……、でも、覚えてないけど(笑)。
(笑)。でも、葬儀とか、お墓の話って、結構、大笑いしちゃったりとか。
へぇ。
あとは、感心したり。「あ、そういうのあるんですかぁ」とか。
そう、そう。なんか「ペットどうしよう」とか、そういう人もいたし。
そう、そう。
独りだからどうしようとかね。
うん、そう。だから、皆思ってる、描いてるものも違うしね、持ってる知識も情報も違うから、それがこう自然と共有できるっていうのもいい。
そうね。で、知らないとさ、描けないからさ。
そうね。
だからって積極的に調べるほどでもないからさ。
まさにそう、積極的に調べないっていうところがね。
そう、そう(笑)。
年齢とか、その環境とか、置かれた状況に……
まだ切羽詰まってない(笑)。
そう、そう。
でも、そうじゃない人たちが経験したことをシェアしてくれるのはありがたいなって確かに思った気がする、そのときは。
そう、だから、自分のためと思ってワークショップ出てたけど、家族のこととか、親御さんのこと、実家にいる家族のこと考えたり、親戚で会ってないけど、「あ、でも、いずれ葬儀のときには会うな」とかね。例えば、そういうのを切実に考えたり、そう切実感も出やすいかな。
そうだね、なるほどね。
うん。
まあ、自分じゃなくても確かに親はね、そろそろね、考えなきゃいけないもんね。親とか、親じゃなかったら、おじいちゃん、おばあちゃんとかをね。
そう。
常に、親戚のうち誰かしらは、そういう状況にあるわけだからね。
うん。
なるほどなぁ。
そう、だから、家族との関わり方……、その住んでる家族だけじゃなくてね。関わり方も変わるし、その職場とかね。
うん。
自分が例えばいきなり明日死んじゃったら、「これ残された人どうなるんだろう」とかっていう、そういう思考も働くようになるから。
うん、うん。
「あ、今、ここまでやっておこう」とか。
あぁ、仕事をね(笑)。
そう、そう。「これは誰かには伝えておきたい」とか。「これだけはやっておきたい」とかね。そういうのも明確になりやすいかな。
うん、うん。なるほどね。確かにときどき、意識しておいたら。急に来たら困るっていう感じなのかな。
そう、なんかちょっと定期的に、40代ぐらいまでの方だったら、定期的にやると、またそういう、家族のことを考えたりとか、ちょっとした、ちょっといつもと違う視点で自分のことを観れたりするかな。
うん。
ホント50代以降の方はまた、切実な問題もあると思うし。
はい、はい。
うん。
さっき言ってたけど、生きていく上での優先度がわかるっていうのは、大事だよね。
そうね。それはワークショップやると気持ちが動くからね、自分の中で。あとは、人の思いも受け取れるから、「あ、親と同じ世代の人だったらこういう風に思ってるのかもしれないな」とかね。
うん、うん。なるほどね。はい。それさ、自分でやることもできるの?
あ、マンダラエンディングノート®?
うん。
自分でももちろんできますよ。なんかね、自分でやってくれた人がまた改めてワークショップに出てくれてる方もいます。
ふーん。じゃあ、そのなんか本っていうか、教科書っていうか、ワークブックを買って、一人でやる人もいるんだ。
一人でやる人もいる。けどまあ、できたら、誰かとやるとより進めやすいかなとは思ってる。
うん、うん。なるほどね。今日もそろそろお時間になりましたので、じゃあ、こんなところでね、終わりにしたいと思います。以上、栃尾江美と。
野田恵里でした。
<書き起こし、編集:折田大器>