
学び舎「子どものみかた」を準備中の深松浩子さん。子どもをとてもリスペクトし、尊重している彼女は、「自由にさせる」と「甘やかす」の違いをどう考えているのでしょうか? 「子どもを育ててるんじゃなくて、人間を育てている」という言葉が印象的です。
栃尾クリエイティブの。
深松反対語。
栃尾こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。
深松こんにちは、「子どものみかた」の深松浩子です。
栃尾このポッドキャストは私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をお呼びして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。はい。
深松はい。
栃尾えーと、浩子ゲストの4回目。
深松はい、よろしくお願いします。
栃尾お願いします。いろいろね、子どものことって答えも出ないしね。
深松うん。
栃尾なんか1人、2人でうまく行ったから、それが皆に当てはまるわけでもないしね。
深松ホントにね、そう(笑)。
栃尾なかなか難しいけど、今ね、目下私がちょっとね、上手く言語化できないなっていうのがありまして。
深松はい。
栃尾「自由にさせる」とか、「自分で判断させる」ってことと「甘やかす」の違い?
深松うん。
栃尾で、なんか「学校に行ってない」って言うとさ、「行かせろよ」って、今はいないかもしれないけど、昔だったら思ったと思うんだよね。
深松うん。
栃尾「何サボってんの」。
深松昔はね、いっぱいいたかもね。
栃尾そうそう。「何サボらせてんの」みたいな。「甘やかしてんの」みたいな(笑)。
深松(笑)。
栃尾私もなんかそういう風に言われたこともあったからね。
深松うん。
栃尾「全部そうやって甘やかすのが彼のためなんですか?」みたいな。
深松あぁ。
栃尾ことをちょっと言われて、「甘やかすかぁ……」と思って、そのときはびっくりしたんだけど。
深松うん、うん。
栃尾でも、わりと子どもの要求を呑んでたりすると、甘やかすってなっちゃうよなと思って。外から見たらね。
深松うん。
栃尾だから、浩子はどういう風にこう……、違いをどんな風に考えてるのかなと思ったんだけど。
深松甘やかすも、自由にさせるも、基本的には、相手が、まあその子が、自分となんら変わらない一人の人間だと思って接していれば。
栃尾うん。
深松まあ、甘やかすことにはならないし、自由も邪魔しなくて済むのかなと思っている……
栃尾ふーん。
深松んだけど。
栃尾まあ、確かに子どもだからそういう言葉が出てくるよね。
深松そう、そう。
栃尾あと部下とかもあるのかもしれないけど。
深松うん、そう、そう。
栃尾友達同士で甘やかすなんて言わないもんね。
深松そう、そう。なんか上下関係みたいな?
栃尾うん、うん。
深松で、それは往々にして「大人が上で」みたいなことになっているけど、世の中は「無常」だから(笑)。
栃尾むじょう? 常(つね)では無いってこと?
深松常では無いの「無常」ね(笑)。
栃尾うん、うん。
深松いつも変わるし、どの瞬間に、何が良いのかなんてわからない中で。
栃尾うん。
深松その子が言った……、まあ、区別するために「その子」って言うけれども、その子が言ったことが甘えなのかとか、ワガママなのかとか、それとも正当な自由の主張なのかはわからないっていうか。
栃尾うん、なるほど。
深松だから、九州のほうで、元々公立の小学校の先生をやられていた方が、すごい有名な「褒め言葉のシャワー」っていうやり方、技法って言うのかな、教育法を編み出した方なんだけど、その方がおっしゃってたのが。
栃尾うん。
深松「私は子どもを育ててるんではない」と。「人間を育ててる」って言っていて。
栃尾なるほど。
深松その感覚で言うと、私はあんまり、そもそも甘やかすとか、自由を大切にするとか、そういう邪魔をしないとかって問題は出ないと思ってる。
栃尾うん、うん。
深松あんまり……、その子が選んだものを、まあ要求を呑むって言ってたよね、さっきとっちーが。
栃尾うん、うん。
深松呑んで、その子が「それをやります、何かをやりたいです」って言ったときに、その要求を呑んで、まあ、何か問題があるから、「えー、でも、それはちょっと」ってなるわけだけど。
栃尾うん。
深松まあでも、呑むんだよね。で、呑んで、それを実際にやったとするよね。
栃尾うん。
深松やりたいって言ってたことをやったとしたときに、何かを選んだり、要求を言ったりしたときって、それにはどんな行動にも絶対に結果とか、その後っていうのが付いてくるから、「その後までを(含めて)、選んだ結果だよ」っていう。
栃尾うん。
深松その後のこと、結果までその子が経験できるのであれば、それは甘やかしじゃないんじゃないかなと私は思っていて。
栃尾うん、うん、なるほどね。
深松そこで、結果が、親とかからしたらね、案の定「言わんこっちゃない」みたいな感じで(笑)。
栃尾うん、うん。
深松よくない結果が出たとするよね、転んだとか、こぼしたとか、あと人に迷惑かけたとかっていうときに、そこで親ばっかり謝ったり、拭くのは親が拭いたりっていう後始末やその後に出た結果については親が全部やるってことになってくると、その子はやったっていうことまでしか享受できなくて、結果は享受することができないから、その子は……なんだろう自由にやったはいいけど、その結果の責任は取れない。
栃尾うん、うん。
深松そして取れなくしちゃうと、それは甘やかしなのかなと思うけど。
栃尾なるほどね。
深松うん。
栃尾それさ、まあ私たち、親はさ、赤ちゃんのときから子どもを看てるわけだよね。
深松うん。
栃尾でさ、例えば、まあ、お菓子ばっかり食べたいみたいに、朝昼晩ずっとお菓子食べたいみたいなのを、「納得するなら食べていいよ」みたいなのは言えない時期もあったわけだよね。
深松うん(笑)。
栃尾(笑)だから、そのなんか、私たちが決めなきゃっていうか。
深松うん。
栃尾先の先までさ、だってお菓子食べて体調悪くなるのって相当先でしょ。
深松うん。
栃尾だからそういうことまで、親がやってあげなきゃいけないみたいな考えになっちゃうんだと思うんだよね。
深松うん、まあ……。
栃尾そう、そう。だから子どもが自分で判断できるようになっても、とかまあ判断が未熟であるということに、かこつけてじゃないけど(笑)、そこを信頼できずに色々こう道筋を作っちゃうっていうか、型にはめちゃうみたいなところがあると思うんだよね。
深松うん。
栃尾でも、その子どもの年齢にもよるよね。
深松まあね、そりゃ赤ちゃんとか、本当に、1歳なら1歳、2歳なら2歳で、成長具合が違うから、そもそも整えておく環境、こっちが、養育する側が整えておく環境っていうのはそもそもがあると思う。
栃尾うん。その子どもの要求を呑むっていうところはさ、だから今、やったから転んだみたいにすぐ結果が出ることならいいけど、お菓子ばっか食べてたから体調が悪くなったみたいな、何か月も経ってからみたいな、もっと早く出るかもしれないけど(笑)。
深松うん(笑)。
栃尾そういうのは難しいよね、託すのは。
深松うん、そうね。長期のものになると、あと、体に関すること、健康に関することについては、私はその限りではないなって思ってるところがある。
栃尾なるほどね、食べ物とかはそうだもんね。
深松うん。
栃尾そっか、そっか。
深松体、ホント体。まず命っていうか、体がないと自由も何もないから。
栃尾うん、うん。なるほどね。うーん……
深松それ以外、自由になるためには健康な体が必須だから。
栃尾うん。なんかどこまで子どもが判断できるかを信じるっていうことでもあるじゃない?
深松そうだねぇ。
栃尾それがたぶん子どもの成長と親の認識が追い付かないっていうか、ズレちゃうんだよね。
深松うん、うん。
栃尾子どもはいつの間にか成長しているし、なんかできるようになったと思ったら、まだまだだったみたいなこともあるし。
深松うん、戻っちゃう。
栃尾そこを、でも、なんか私はなんとなくこう、「より信じる」。それぐらいのほうが丁度いいのかなと思ってるんだけどね。
深松あぁ、私もそう思う。ちょっと心配だなっていうときでも、なんだろう、ちょっと心配なのを我慢するぐらいが本当にいいのかなって思ってて。
栃尾うん、そうだよね。
深松「いや、そこは心配。ここは言いたい」みたいなのを、言わなくてもすごい健康に甚大な害があるわけじゃない(笑)。
栃尾うん、うん。
深松みたいなことであるならば、まあ、黙ってる。
栃尾そうね。そのときに一番苦しいのが、結局自分の固定観念みたいなものだなと思っていて、「早く寝なければいけない」とかね。
深松うん。
栃尾あとは、「ご飯は何時までに食べなければいけない」とかね。
深松うん、うん。
栃尾「ご飯食べてるときにはテレビ観ないで」とかね。
深松うん、うん。
栃尾なんかそういう自分のルールを、無茶苦茶にされるっていうのが(笑)。
深松あぁ。
栃尾相当苦しいなっていう。その1回目、2回目を乗り越えるまでは相当苦しいなと思っていて、これに世の中の親御さんは耐えているのかと思ってすごい驚愕しちゃう。
深松(笑)でも、親御さんの例えば、ご飯のときにテレビとか付けたくないっていう食事の習慣の親御さんっていると思うんだよね、食事のときに。
栃尾うん。
深松でも、そのときに、子どもが観たいからってテレビが付いてるとすごい不愉快だなって思ったとしたら、自分の食事時間としてすごい不愉快だなと思ったとしたら、それは「あなたはそう思うのかもしれないけど、私はこう思うんだよね。そして、私は不愉快なんだよね」っていうのを正直に子どもに言って、で、「私はこう思うんだけど、あなたは私のこの意見をどう思いますか」みたいな話し合いを本当にしていく。
栃尾うん。私もね、それは言ってんの。ご飯中はテレビとか動画を観られるとすごく嫌なのね。
深松うん。
栃尾で、それは何で嫌なのかっていうと、やっぱり寂しいからなわけよ。
深松うん。
栃尾一緒にご飯食べてるのに、話しかけても気もそぞろ。で、普段別にしゃべる機会ってそんなにないのに、貴重な時間をね、なんでそんないつでも観れる動画観てるんだみたいな感じで、寂しくてつまらないみたいなことを、言ってるね。認めるのがキツいよね。
深松(笑)。
栃尾親として寂しいっていうのを発するのは最初はキツいんだけど、まあ、言い慣れちゃうと結構言えるもんだなっていうか(笑)。
深松そこもね、正直になるっていうのは、自分も対等になるっていうのは、自分も大人の仮面を取らないといけないから。
栃尾そうなのよ。
深松親の仮面みたいなのを、盾みたいなのを取らないといけないから。
栃尾そうだね、うん。
深松「親として言ってんのよ」っていうのを取らないといけないから、なんか生身の人間同士の話し合いになってくる(笑)。
栃尾そう、そう、そうなのよ。だから、最初がつらくて……、そう。でも、そうなるとちょっとわかってくれるんだよね。
深松うん。
栃尾だから、その仮面を被ったままだと、理論的に、「あなたの何々上悪いから」みたいな説明になっちゃって(笑)。なんかそうすると納得しないよね、子どももね。
深松あぁ。
栃尾それよりも「ママが寂しい」って言われたほうが、「まあ、まあ、わかったよ」みたいな感じではある。
深松そう、でも、そういうのを重ねるので、前回話した感情。
栃尾確かに。
深松人の感情とか、自分の感情を顧みてみるとかっていう習慣の糸口になるから、そういうのを日々積み重ねるのは、感情を出してくっていうのは、人にしては疲れるときもあるとは思うんだけど、いいかなと思う。
栃尾そうだね。だから、まあ、「親のルールを何がなんでも守りなさい」みたいな感じじゃなくて。
深松(笑)。
栃尾ちょっとこういう理由で、悲しいから嫌だとか、寂しいから嫌だとか、そういう理屈じゃないことを言っても全然いいなっていうのが、私の最近の学びだよね。
深松うん。それで話し合っていられたら、甘やかす……
栃尾とかじゃねぇよ、みたいな。
深松ことにはならないと思う。
栃尾(笑)そうなんだ。
深松(笑)。
栃尾確かに、うん、うん。まあ、そうやって言ってくる人には、別にわざわざ説明してもしょうがないしね。
深松うん。「甘やかすって思ってらっしゃるんですね」っていう。
栃尾(笑)大人の対応をね。
深松(笑)。そう、相手の意見を「聞きました」って受け入れる。でも、意見を求められたら返すっていう。
栃尾うん、感じにそこはちょっと仮面を被ってね(笑)。
深松そう、押し付けられないから。
栃尾そうだね、そうしたいと思う。じゃあ、そんなところで、お時間になりましたので、今日も終わりにしたいと思います。
深松はい。
栃尾以上、栃尾江美と。
深松深松浩子でした。
<書き起こし、編集:折田大器>