
リクルートで活躍したあとに独立し、人材採用の会社を立ち上げた石塚毅さん。最初はうまく行っていたものの、途中で会社を大きくしようとするのはやめて、事業を売却します。その後立ち上げたのが株式会社求人。常に新しい事業(商品)を考えて、増やしていくスタイルを真似したいものです!
栃尾クリエイティブの。
石塚反対語。
栃尾こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。
石塚こんにちは、「株式会社求人」の石塚毅(たけし)です。
栃尾このポッドキャストは、私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をゲストにお迎えして、クリエイティブなことや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。今回も石塚さんにおいでいただきました。よろしくお願いします。
石塚よろしくお願いします。
栃尾前回ですね、石塚さんのキャリアを聞いていたら終わっちゃったので(笑)。
石塚なんか、栃尾さん笑ってばかりいて、ちょっと失礼ですよね(笑)。
栃尾(笑)なんでですか? 失礼ですか?
石塚いや、冗談です。よく笑われるんで、僕。
栃尾えっ、笑われるって、そんな笑われる感じじゃないですよね?
石塚僕、子どもの頃から、僕は真剣に話しているんだけど、みんなゲラゲラ笑うってね。
栃尾笑わそうとしてるじゃないですか。
石塚いや、笑わせてないです、別に。 僕は本当に真面目に真剣にやるんですよ。
栃尾楽しませようとしているのがわかりますよ、すごい。
石塚ありがとうございます。
栃尾(笑)。それで、独立後にどんな仕事をしたのかっていうのをね、前回、お聞き出来なかったので、教えていただきたいなって思って。
石塚はい。2009年の12月に小さな人材紹介の、今までやってた仕事をそのまま始めたって感じですね。
栃尾あぁ、そうなんですね。
石塚それで、小さいけどキラリと光るダイヤモンドのような、そんな人材紹介会社ならやれるかなと思って。
栃尾はい。
石塚前回もお話したんですけど、元々、独立しようなんてまったく思ってなかったから、どちらかっていうと、ある日ギアが入って始めたくなっちゃったので始めたみたいな感じなので、もう別に事業計画も何もなくて、営業をひたすらやってぐらいしか……、だから同じ仕事を一生懸命やるって、そんな感じです。
栃尾すぐに軌道に乗ったんですか?
石塚これがね、そうなんですよ。
栃尾(笑)そのまま使える。営業の手腕がそのまま使えるっていう。
石塚うーん、スタートしたのが39歳なので、正直、39歳まで仕事をしてて、信頼残高の預金もあるじゃないですか? だから、信頼残高の預金を全部下ろして、一生懸命やればね、それは普通、軌道に乗りますわね。
栃尾じゃあ、今までやりとりが会った方とかに連絡をとって、「お願いします」という感じで行ったってことですか?
石塚リクルートはなかなか厳しい会社でして、競合と認定されると、独立した場合「あなたはリクルートの競合です」と。
栃尾確かに。
石塚「リクルート在職中のお客様には一切触れてはいけません」という書類にサインしないといけないんですね。
栃尾なるほど。
石塚当然、サインしました。署名捺印して。だから、一切、昔のお客さんは持っていってません。
栃尾信用残高っていうのはどういうことなんですか?
石塚そのお客様にご挨拶に行って、今度、お客様の紹介をご依頼したんです。
栃尾えー。
石塚「僕は、もう御社とはお付き合いできません。栃尾社長と営業活動できません」と。「栃尾社長、お客様ご紹介いただけませんか?」って。
栃尾すごーい。で、紹介してもらったんですか?
石塚そうです。
栃尾お世話になったからみたいな。
石塚そうです。
栃尾へぇ。
石塚それが預金ですね。
栃尾はい。
石塚残高ですね。
栃尾ふーん、それで何年くらいやってたんでしたっけ?
石塚えっと、9年半で、その会社を売却しちゃったんですけど、そこまでやってました。
栃尾へぇ、それはもう社員さんとかいらしたんですか?
石塚いました。
栃尾何名ぐらい?
石塚一番多いときは、僕以外に3人、プラスアルバイトぐらいかな。
栃尾ノウハウを教えてって感じですか?
石塚はい。
栃尾で、途中でうまく行かなくなっちゃったってことですか?
石塚もうね、4、5年目に気付いたんですけど、僕ね、カリスマ性も人望もないんで、会社を大きくする才能がないってことがわかったんです。
栃尾またまたぁ(笑)、そうなんですか?
石塚「あぁ、もうこれは会社大きくならないな」って、こういう人が経営者では。
栃尾ガンガン大きくしようと思ってたってことですか?
石塚最初は。
栃尾ふーん。
石塚思ってましたが、ほら、やっぱり前回も話したんですけど、いっぱい経営者の方にお会いして、当たり前になってるじゃないですか。
栃尾会うのが?
石塚会うのもそうですし、その空間っていうのか、その経営者感覚っていうものが。
栃尾はい。
石塚見るとやるのと大違いで。
栃尾あぁ、なるほどね。
石塚ずっと一緒にいると出来そうな感じがして。
栃尾「自分も同じレベルかと思っていたけど」ってことですか?
石塚もう、とんでもない。とんでもない。
栃尾でも、ビジネスモデル的に、人の能力に依存されるビジネスですよね?
石塚はい。
栃尾だから確かに、いわゆるスケールしてくみたいなのは、なかなか難しいんだろうなと思いましたけど。
石塚おっしゃる通りです。
栃尾そういうのがあったってことなんですかね?
石塚スケールする人もいるんですよ。
栃尾あぁ、そういう事業でも。
石塚もうこれはひとえに、その人の能力だと思いますね。僕はもう能力ないって4、5年目でわかったんですけど、ダラダラと続けてしまったというのが正直なところですね。
栃尾でも、業界の変化もあったって仰ってませんでしたっけ?
石塚まあ、そうですね。ありましたけど、一番は自分の適性と能力じゃないですかね?
栃尾一人でやる方が向いてるなと?
石塚そうです。それを飲み込めなかったんですね、すぐね。
栃尾プライドって感じですか?
石塚その通りです。もうやっぱり、あんまりいいことじゃないんですけど、自分と似たようなキャリアの方が、会社を似たような時期に始めて、一方は、もうどんどん大きくして、こっちは全然。もう丸の内線の東京駅降りて、改札くぐるとその人の看板がこんなデカくあってね。もう血圧180くらいまで上がりますよね、ホント。
栃尾どういう感情なんですか?
石塚嫉妬です。
栃尾あっ、なるほどね。昔は自分のほうが成績良かったみたいな?
石塚その通りですね。はい。
栃尾それは確かに悔しい(笑)。
石塚これはもうね、男子特有ですよ。
栃尾いやいや、あるんじゃないですか、ありますよ女子だって。
石塚いやいや、男子の嫉妬ほどね、陰湿で見苦しいものないですね。
栃尾(笑)、陰湿でしたか。
石塚陰湿です。もちろん、嫌がらせとか僕はしませんけど。「ふざけんなよぉ、あんなのぉ……、なにあいつぅ……」みたいな、言葉にならない言葉をつぶやくみたいなね。
栃尾へぇ。
石塚でも、それはその経営者の方の能力であり、才能であり、努力だから、もう何も言うことありませんって話ですね。
栃尾へぇ、でもそれを今言えるのもすごいですね。
石塚まぁね、もう49歳ですし、残りの時間も短くなってきたんで。
栃尾そうですか、そうですか。
石塚はい。
栃尾じゃあ、それでその会社は売却されたって言ってましたっけ?
石塚はい、その通りです。
栃尾今は、別の人が経営されてるんですか?
石塚はい、そうです。
栃尾そのとき、仲間だった人?
石塚違います。まったく違う、他業種他業界出身の方で、「人材ビジネスをやりたいので、会社を譲ってください。それであなたのノウハウと、事業プランも付けて売ってくれませんか?」って話になったんで。
栃尾それはどういうところから? 急に言われるわけじゃないですよね?
石塚もちろん。
栃尾元々、売りたい意思があって探すんですか?
石塚はい、この方ならっていう方に、売り物件あるよって言って。
栃尾オレ、オレみたいな(笑)。
石塚まあ、オレって会社ね。「売り物件あるよ、安くしますよ。どなたか買い手さんいらっしゃったら」って言って。
栃尾それも営業みたいなものですね。
石塚まあ、ある意味。
栃尾へぇ、それですぐ見つかったんですか?
石塚そんなに時間はかかりませんでしたけど。
栃尾ふーん、面白い。そういうときって、「専門のなんとか士」みたいな人を入れるんですか?
石塚いえ、でも、たまたまその件を仲介してくれたのは、創業のときからお世話になっている顧問の弁護士さんでしたけど、別に、顧問の弁護士さんは僕から手数料を取るわけじゃないし。
栃尾ふーん。
石塚それもその弁護士さんに日ごろから色々なお客さんを紹介するし。
栃尾へぇ。
石塚だから「今回は社長の会社紹介しますよ」みたいな。
栃尾はい。
石塚そんな売り手、買い手の仲介してもらったみたいな。
栃尾ふーん、その事業を売却するっていうのは怖くなかったですか?
石塚まったく。
栃尾えっ、何で?
石塚だってもう、人材紹介を大きくできないし、人材紹介の仕事にも正直飽きていたし。
栃尾あぁ、なるほど。
石塚飽きていましたし、あとちょっと真面目な、いつも真面目な話してますけど。
栃尾(笑)。
石塚設備装置産業化してるので、人材紹介事業っていうのは、やっぱり大きな設備、人、仕組み、システムを持たないともう成り立たないという判断は、経営者として、出来の悪い経営者でしたけど、したので、無理。
栃尾はい。
石塚だからニッチが存在できない。
栃尾なるほど、じゃあ、未練もなく?
石塚なかったです。
栃尾でも、次の仕事どうしようっていうのはどうしたんですか?
石塚それが今の「株式会社求人」のメイン事業で、当然人材紹介だけじゃなく、常に人材紹介に、土地だとしたら隣接しているところに新規のサービスの開発は常にやっていったんですけど。
栃尾あぁ、そうなんですか。
石塚例えば、研修事業とかね、採用コンサルティング事業とか、顧問業とか、まあ、色々やりました。その中にもちろん9敗1勝ぐらいのレベルですけど、その中に当たったのが、ハローワークを上手く使って、中小企業さんの採用力を上げるっていう、それは辞める前の前の年あたりに思いついて、ちょっと細々とやったら、意外にうまくいくから、じゃあ、課金してやってみようかっていう形でサービス化してたのね。
栃尾あっ、元々の会社で。
石塚そう、正直それも軌道に乗りそうだなと思ったし、損益分岐点を事務所家賃とか人件費とかそういうのをグッと下げて、損益分岐点を下げれば、正直自分一人で食べていくのであれば、行けるなと思ったので、それでもう閉めて売ってっていう決断をしたっていうのもありますね。
栃尾最初はお金を取らずにやっていたっていうことですか?
石塚そうです。ちょっと数社、6社ぐらいかな、「ちょっとテストしたいんで、ちょっとタダでやらせてもらっていいですか? もちろん、一生懸命やります」って。
栃尾さすがだなぁ。
石塚それがけっこう上手く行ったんですよね。これはやっぱり予測通りだなと思って。
栃尾はい。
石塚それで商品化したんです。
栃尾で、今はそれだけで。
石塚そうですね、基本それでやっています。
栃尾じゃあ、毎回単発のお仕事って感じですか?
石塚そうです、そうです、その通りです。
栃尾それって不安定にならないんですか?
石塚元々、ほら、自営業っていうのは不安定なものなので。
栃尾そうですね(笑)。
石塚それは栃尾さんもお分かりいただけると思うんですが。
栃尾そうですね、はい(笑)。
石塚でも、不安定なものが日常だと思えば、別にこれが当たり前なので、それが何かっていう感じだし、不安定さがあるから、常に色んなことを考えるし、不安定さがあるからっていうメリットのほうが僕は大きいと思いますよ。
栃尾あぁ、そうなんですね。
石塚特に、最近40代も終わりの頃になってくると、やっぱり大手の会社さんにずっと勤めている人って、不安定がないじゃないですか? 逆に見てて、劣化していきますよね。
栃尾劣化。
石塚だって、危機感ないから。
栃尾ないですね、あんまり。
石塚だから、真剣に寝ずに考えるとか、危機感からやらなきゃみたいなのないじゃないですか?
栃尾なくて、プライドだけ大きくなっていくみたいな。
石塚16時半くらいで、「どうですか、栃尾さん、ちょっと一杯行きませんか?」みたいなとか、金曜日は、午後からもう趣味の話で盛り上がっちゃったりしてね。
栃尾そんなにゆるいですか?(笑)
石塚ゆるいでしょう。ゆるいですよぉ。
栃尾あんまりゆるい人見たことないんですけど。
石塚そうですか(笑)。
栃尾わりとみんな忙しいっていうか。
石塚まあ、忙しいって言ってるだけなんじゃないですか。
栃尾会議がやたら多いイメージですけどね。
石塚そう、そう。そんなの引いたら1週間で、本当に気合い入れてるのなんか5時間ぐらいなんじゃないですか?
栃尾ハハハ、結構毒が入ってきましたね、ちょいちょいね。
石塚いえいえ。
栃尾じゃあ、それは予想通り今のところ上手くいっているって感じで?
石塚そうですね、おかげさまで。まあ、小商いですけど。
栃尾小商い。でも、今後もずっとそれをやっていくんですか?
石塚そうですね。
栃尾ふーん、でも、色々と何か仕掛けているんじゃないですか?
石塚そうですね。
栃尾そうなんですね(笑)。
石塚はい、常にやっぱり。永遠にこの小商いで食えるとも思っていないから。
栃尾そうですよね。
石塚やっぱり10年ぐらい出来は悪いけど、会社経営したんで、常に新しいサービスや商品を作っていかないと。
栃尾ふーん、今、具体的に言えるのであったりするんですか?
石塚うんとですねぇ……、うーーーーーーん。まあ、言えるところでいうと、ハローワークのこの仕事をパートナーさんでやりたいっていうパートナーさんが今、何社もあって。
栃尾へぇ。
石塚それをもう少し増やしていくっていう、それは今やってたんですけど、今度はICUっていうのをやろうと思って。 ICUって三鷹にあるICUじゃないよ、国際基督教大学じゃなくて、石塚のI、そしてCall For Jobs Offer、つまり求人。で、大学、University。ICU。「石塚求人大学」っていう。
栃尾あっ、すご! 教える。
石塚そうです、そうです。それを低価格で月一希望している人にこれからリリースするんですけど、ちょっとこれは裾野広く、どういう形であれ、求人・採用にご興味がある方に、一人でもやっていけるプロの技術を教える場を作ろうということで。
栃尾すごい。フリーランスの方とか。
石塚そうです、これからフリーランスやりたいとか、あるいは今、あるいはこれから、って考えている人に、ちょっとそういう場を作ろうかなっていうのは、今、進めています。
栃尾なるほど、めちゃめちゃありそうですね。
石塚まあ、そうですね。その中で、結果的に裾野を広く広くしながら、収益は追うつもりはないんですけど、いいお繋がりができればいいなと思ってるんで。
栃尾へぇ、何人ぐらいとかイメージあるんですか?
石塚いや、いや、ご縁の世界なんで。ただ、そんなに一回何十人も教えるつもりはなくて、僕を入れて7人くらいで、毎回、2時間か、1時間半やって、「ご飯食べに行きましょうか?」みたいな、そんな感じを毎月、毎月、毎月やって行こうかなと。
栃尾へぇ。
石塚もちろん中身は手抜きせずにしっかりやりますけど。
栃尾ふーん、キャリアカウンセラーとかの資格なんかちょっと流行ってたりしますよね? そういう方が対象って感じですか?
石塚いや、そんなことないです。キャリアカウンセリングと、僕が教えたい求人とか採用の支援のやり方ってまた違うし。
栃尾違うんだ、そうなんですね。
石塚はい、ただ、近しいので興味持たれる方はいるかもしれませんけどね。
栃尾なるほどね。えーすごい面白い話でした。えーと、じゃあ。
石塚栃尾さんも受講されますか?
栃尾あっ、ね? 予算が、予算があれば(笑)。
石塚そんなに高くないです。
栃尾えっ、そうですか(笑)。はい、じゃあ、あとで教えてください。じゃあ、中小企業で採用したい方は「株式会社求人」にご連絡くださいということで。
石塚はい。
栃尾私からの告知はどうしようかな。えっとですね、Podcastをもしやりたい方とかいたら、私ナビゲーターもできますし、あと収録したり、編集したりもたぶんアユミちゃんがやってくれるので、私たちチームでいつでもお呼びください。
石塚僕も検討しようかなぁ。
栃尾(笑)、ぜひぜひ。そういう感じです。以上、栃尾江美と。
石塚石塚毅でした。
<書き起こし、編集:折田大器>

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