リクルートで活躍したあとに独立し、人材採用の会社を立ち上げた石塚毅さん。最初はうまく行っていたものの、途中で会社を大きくしようとするのはやめて、事業を売却します。その後立ち上げたのが株式会社求人。常に新しい事業(商品)を考えて、増やしていくスタイルを真似したいものです!
クリエイティブの。
反対語。
こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。
こんにちは、「株式会社求人」の石塚毅(たけし)です。
このポッドキャストは、私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をゲストにお迎えして、クリエイティブなことや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。今回も石塚さんにおいでいただきました。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
前回ですね、石塚さんのキャリアを聞いていたら終わっちゃったので(笑)。
なんか、栃尾さん笑ってばかりいて、ちょっと失礼ですよね(笑)。
(笑)なんでですか? 失礼ですか?
いや、冗談です。よく笑われるんで、僕。
えっ、笑われるって、そんな笑われる感じじゃないですよね?
僕、子どもの頃から、僕は真剣に話しているんだけど、みんなゲラゲラ笑うってね。
笑わそうとしてるじゃないですか。
いや、笑わせてないです、別に。 僕は本当に真面目に真剣にやるんですよ。
楽しませようとしているのがわかりますよ、すごい。
ありがとうございます。
(笑)。それで、独立後にどんな仕事をしたのかっていうのをね、前回、お聞き出来なかったので、教えていただきたいなって思って。
はい。2009年の12月に小さな人材紹介の、今までやってた仕事をそのまま始めたって感じですね。
あぁ、そうなんですね。
それで、小さいけどキラリと光るダイヤモンドのような、そんな人材紹介会社ならやれるかなと思って。
はい。
前回もお話したんですけど、元々、独立しようなんてまったく思ってなかったから、どちらかっていうと、ある日ギアが入って始めたくなっちゃったので始めたみたいな感じなので、もう別に事業計画も何もなくて、営業をひたすらやってぐらいしか……、だから同じ仕事を一生懸命やるって、そんな感じです。
すぐに軌道に乗ったんですか?
これがね、そうなんですよ。
(笑)そのまま使える。営業の手腕がそのまま使えるっていう。
うーん、スタートしたのが39歳なので、正直、39歳まで仕事をしてて、信頼残高の預金もあるじゃないですか? だから、信頼残高の預金を全部下ろして、一生懸命やればね、それは普通、軌道に乗りますわね。
じゃあ、今までやりとりが会った方とかに連絡をとって、「お願いします」という感じで行ったってことですか?
リクルートはなかなか厳しい会社でして、競合と認定されると、独立した場合「あなたはリクルートの競合です」と。
確かに。
「リクルート在職中のお客様には一切触れてはいけません」という書類にサインしないといけないんですね。
なるほど。
当然、サインしました。署名捺印して。だから、一切、昔のお客さんは持っていってません。
信用残高っていうのはどういうことなんですか?
そのお客様にご挨拶に行って、今度、お客様の紹介をご依頼したんです。
えー。
「僕は、もう御社とはお付き合いできません。栃尾社長と営業活動できません」と。「栃尾社長、お客様ご紹介いただけませんか?」って。
すごーい。で、紹介してもらったんですか?
そうです。
お世話になったからみたいな。
そうです。
へぇ。
それが預金ですね。
はい。
残高ですね。
ふーん、それで何年くらいやってたんでしたっけ?
えっと、9年半で、その会社を売却しちゃったんですけど、そこまでやってました。
へぇ、それはもう社員さんとかいらしたんですか?
いました。
何名ぐらい?
一番多いときは、僕以外に3人、プラスアルバイトぐらいかな。
ノウハウを教えてって感じですか?
はい。
で、途中でうまく行かなくなっちゃったってことですか?
もうね、4、5年目に気付いたんですけど、僕ね、カリスマ性も人望もないんで、会社を大きくする才能がないってことがわかったんです。
またまたぁ(笑)、そうなんですか?
「あぁ、もうこれは会社大きくならないな」って、こういう人が経営者では。
ガンガン大きくしようと思ってたってことですか?
最初は。
ふーん。
思ってましたが、ほら、やっぱり前回も話したんですけど、いっぱい経営者の方にお会いして、当たり前になってるじゃないですか。
会うのが?
会うのもそうですし、その空間っていうのか、その経営者感覚っていうものが。
はい。
見るとやるのと大違いで。
あぁ、なるほどね。
ずっと一緒にいると出来そうな感じがして。
「自分も同じレベルかと思っていたけど」ってことですか?
もう、とんでもない。とんでもない。
でも、ビジネスモデル的に、人の能力に依存されるビジネスですよね?
はい。
だから確かに、いわゆるスケールしてくみたいなのは、なかなか難しいんだろうなと思いましたけど。
おっしゃる通りです。
そういうのがあったってことなんですかね?
スケールする人もいるんですよ。
あぁ、そういう事業でも。
もうこれはひとえに、その人の能力だと思いますね。僕はもう能力ないって4、5年目でわかったんですけど、ダラダラと続けてしまったというのが正直なところですね。
でも、業界の変化もあったって仰ってませんでしたっけ?
まあ、そうですね。ありましたけど、一番は自分の適性と能力じゃないですかね?
一人でやる方が向いてるなと?
そうです。それを飲み込めなかったんですね、すぐね。
プライドって感じですか?
その通りです。もうやっぱり、あんまりいいことじゃないんですけど、自分と似たようなキャリアの方が、会社を似たような時期に始めて、一方は、もうどんどん大きくして、こっちは全然。もう丸の内線の東京駅降りて、改札くぐるとその人の看板がこんなデカくあってね。もう血圧180くらいまで上がりますよね、ホント。
どういう感情なんですか?
嫉妬です。
あっ、なるほどね。昔は自分のほうが成績良かったみたいな?
その通りですね。はい。
それは確かに悔しい(笑)。
これはもうね、男子特有ですよ。
いやいや、あるんじゃないですか、ありますよ女子だって。
いやいや、男子の嫉妬ほどね、陰湿で見苦しいものないですね。
(笑)、陰湿でしたか。
陰湿です。もちろん、嫌がらせとか僕はしませんけど。「ふざけんなよぉ、あんなのぉ……、なにあいつぅ……」みたいな、言葉にならない言葉をつぶやくみたいなね。
へぇ。
でも、それはその経営者の方の能力であり、才能であり、努力だから、もう何も言うことありませんって話ですね。
へぇ、でもそれを今言えるのもすごいですね。
まぁね、もう49歳ですし、残りの時間も短くなってきたんで。
そうですか、そうですか。
はい。
じゃあ、それでその会社は売却されたって言ってましたっけ?
はい、その通りです。
今は、別の人が経営されてるんですか?
はい、そうです。
そのとき、仲間だった人?
違います。まったく違う、他業種他業界出身の方で、「人材ビジネスをやりたいので、会社を譲ってください。それであなたのノウハウと、事業プランも付けて売ってくれませんか?」って話になったんで。
それはどういうところから? 急に言われるわけじゃないですよね?
もちろん。
元々、売りたい意思があって探すんですか?
はい、この方ならっていう方に、売り物件あるよって言って。
オレ、オレみたいな(笑)。
まあ、オレって会社ね。「売り物件あるよ、安くしますよ。どなたか買い手さんいらっしゃったら」って言って。
それも営業みたいなものですね。
まあ、ある意味。
へぇ、それですぐ見つかったんですか?
そんなに時間はかかりませんでしたけど。
ふーん、面白い。そういうときって、「専門のなんとか士」みたいな人を入れるんですか?
いえ、でも、たまたまその件を仲介してくれたのは、創業のときからお世話になっている顧問の弁護士さんでしたけど、別に、顧問の弁護士さんは僕から手数料を取るわけじゃないし。
ふーん。
それもその弁護士さんに日ごろから色々なお客さんを紹介するし。
へぇ。
だから「今回は社長の会社紹介しますよ」みたいな。
はい。
そんな売り手、買い手の仲介してもらったみたいな。
ふーん、その事業を売却するっていうのは怖くなかったですか?
まったく。
えっ、何で?
だってもう、人材紹介を大きくできないし、人材紹介の仕事にも正直飽きていたし。
あぁ、なるほど。
飽きていましたし、あとちょっと真面目な、いつも真面目な話してますけど。
(笑)。
設備装置産業化してるので、人材紹介事業っていうのは、やっぱり大きな設備、人、仕組み、システムを持たないともう成り立たないという判断は、経営者として、出来の悪い経営者でしたけど、したので、無理。
はい。
だからニッチが存在できない。
なるほど、じゃあ、未練もなく?
なかったです。
でも、次の仕事どうしようっていうのはどうしたんですか?
それが今の「株式会社求人」のメイン事業で、当然人材紹介だけじゃなく、常に人材紹介に、土地だとしたら隣接しているところに新規のサービスの開発は常にやっていったんですけど。
あぁ、そうなんですか。
例えば、研修事業とかね、採用コンサルティング事業とか、顧問業とか、まあ、色々やりました。その中にもちろん9敗1勝ぐらいのレベルですけど、その中に当たったのが、ハローワークを上手く使って、中小企業さんの採用力を上げるっていう、それは辞める前の前の年あたりに思いついて、ちょっと細々とやったら、意外にうまくいくから、じゃあ、課金してやってみようかっていう形でサービス化してたのね。
あっ、元々の会社で。
そう、正直それも軌道に乗りそうだなと思ったし、損益分岐点を事務所家賃とか人件費とかそういうのをグッと下げて、損益分岐点を下げれば、正直自分一人で食べていくのであれば、行けるなと思ったので、それでもう閉めて売ってっていう決断をしたっていうのもありますね。
最初はお金を取らずにやっていたっていうことですか?
そうです。ちょっと数社、6社ぐらいかな、「ちょっとテストしたいんで、ちょっとタダでやらせてもらっていいですか? もちろん、一生懸命やります」って。
さすがだなぁ。
それがけっこう上手く行ったんですよね。これはやっぱり予測通りだなと思って。
はい。
それで商品化したんです。
で、今はそれだけで。
そうですね、基本それでやっています。
じゃあ、毎回単発のお仕事って感じですか?
そうです、そうです、その通りです。
それって不安定にならないんですか?
元々、ほら、自営業っていうのは不安定なものなので。
そうですね(笑)。
それは栃尾さんもお分かりいただけると思うんですが。
そうですね、はい(笑)。
でも、不安定なものが日常だと思えば、別にこれが当たり前なので、それが何かっていう感じだし、不安定さがあるから、常に色んなことを考えるし、不安定さがあるからっていうメリットのほうが僕は大きいと思いますよ。
あぁ、そうなんですね。
特に、最近40代も終わりの頃になってくると、やっぱり大手の会社さんにずっと勤めている人って、不安定がないじゃないですか? 逆に見てて、劣化していきますよね。
劣化。
だって、危機感ないから。
ないですね、あんまり。
だから、真剣に寝ずに考えるとか、危機感からやらなきゃみたいなのないじゃないですか?
なくて、プライドだけ大きくなっていくみたいな。
16時半くらいで、「どうですか、栃尾さん、ちょっと一杯行きませんか?」みたいなとか、金曜日は、午後からもう趣味の話で盛り上がっちゃったりしてね。
そんなにゆるいですか?(笑)
ゆるいでしょう。ゆるいですよぉ。
あんまりゆるい人見たことないんですけど。
そうですか(笑)。
わりとみんな忙しいっていうか。
まあ、忙しいって言ってるだけなんじゃないですか。
会議がやたら多いイメージですけどね。
そう、そう。そんなの引いたら1週間で、本当に気合い入れてるのなんか5時間ぐらいなんじゃないですか?
ハハハ、結構毒が入ってきましたね、ちょいちょいね。
いえいえ。
じゃあ、それは予想通り今のところ上手くいっているって感じで?
そうですね、おかげさまで。まあ、小商いですけど。
小商い。でも、今後もずっとそれをやっていくんですか?
そうですね。
ふーん、でも、色々と何か仕掛けているんじゃないですか?
そうですね。
そうなんですね(笑)。
はい、常にやっぱり。永遠にこの小商いで食えるとも思っていないから。
そうですよね。
やっぱり10年ぐらい出来は悪いけど、会社経営したんで、常に新しいサービスや商品を作っていかないと。
ふーん、今、具体的に言えるのであったりするんですか?
うんとですねぇ……、うーーーーーーん。まあ、言えるところでいうと、ハローワークのこの仕事をパートナーさんでやりたいっていうパートナーさんが今、何社もあって。
へぇ。
それをもう少し増やしていくっていう、それは今やってたんですけど、今度はICUっていうのをやろうと思って。 ICUって三鷹にあるICUじゃないよ、国際基督教大学じゃなくて、石塚のI、そしてCall For Jobs Offer、つまり求人。で、大学、University。ICU。「石塚求人大学」っていう。
あっ、すご! 教える。
そうです、そうです。それを低価格で月一希望している人にこれからリリースするんですけど、ちょっとこれは裾野広く、どういう形であれ、求人・採用にご興味がある方に、一人でもやっていけるプロの技術を教える場を作ろうということで。
すごい。フリーランスの方とか。
そうです、これからフリーランスやりたいとか、あるいは今、あるいはこれから、って考えている人に、ちょっとそういう場を作ろうかなっていうのは、今、進めています。
なるほど、めちゃめちゃありそうですね。
まあ、そうですね。その中で、結果的に裾野を広く広くしながら、収益は追うつもりはないんですけど、いいお繋がりができればいいなと思ってるんで。
へぇ、何人ぐらいとかイメージあるんですか?
いや、いや、ご縁の世界なんで。ただ、そんなに一回何十人も教えるつもりはなくて、僕を入れて7人くらいで、毎回、2時間か、1時間半やって、「ご飯食べに行きましょうか?」みたいな、そんな感じを毎月、毎月、毎月やって行こうかなと。
へぇ。
もちろん中身は手抜きせずにしっかりやりますけど。
ふーん、キャリアカウンセラーとかの資格なんかちょっと流行ってたりしますよね? そういう方が対象って感じですか?
いや、そんなことないです。キャリアカウンセリングと、僕が教えたい求人とか採用の支援のやり方ってまた違うし。
違うんだ、そうなんですね。
はい、ただ、近しいので興味持たれる方はいるかもしれませんけどね。
なるほどね。えーすごい面白い話でした。えーと、じゃあ。
栃尾さんも受講されますか?
あっ、ね? 予算が、予算があれば(笑)。
そんなに高くないです。
えっ、そうですか(笑)。はい、じゃあ、あとで教えてください。じゃあ、中小企業で採用したい方は「株式会社求人」にご連絡くださいということで。
はい。
私からの告知はどうしようかな。えっとですね、Podcastをもしやりたい方とかいたら、私ナビゲーターもできますし、あと収録したり、編集したりもたぶんアユミちゃんがやってくれるので、私たちチームでいつでもお呼びください。
僕も検討しようかなぁ。
(笑)、ぜひぜひ。そういう感じです。以上、栃尾江美と。
石塚毅でした。
<書き起こし、編集:折田大器>