子どもができて育休を取られたとういおがぢさん。この後も、取る予定があるそうです。キャリアを1年くらいお休みしても、それよりも大事なものがあるといいます。それは、子育てを一緒にスタートすること、夫婦でずっと仲良く暮らすこと。そのために、子どもが生まれてすぐのこの時期はとても大切だと認識されているようでした。
クリエイティブの。
反対語。
こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。
こんにちは、おがぢです。
このポッドキャストは私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をお呼びして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。えっと、今回で、おがぢさんたぶん最後の回になると思うんですけれども。
はい。
いま、お子さんが生まれたばかりで、育休? あれ? 育休取られたんでしたっけ?
えっと、はい、11月の後半に子どもが生まれまして。
はい。
12月は1か月間、育休を取っていました。いまは、1月に入っているので、復帰をして、短時間勤務っていう形で。
おぉ。
遅出、早めに帰宅?
はい、はい。
したりする日を作ったりとかをしています。
へぇ。男性でそういう人いましたか? 学校で。
うちの高専では初めてというか、まあなんか、「教員では女性も含めて育休を取った人はいない」って言ってたので。
えっ?
たぶん女性の先生でお子さんを仕事中に産まれた方がまずいないっていうような状況だったみたいですね。
あぁ。
はい。
へぇ。
なのでちょっと事務の方にも色々お手数をおかけしましたけど。
はい。
なんとか取ることができてという感じです。
何で取ろうと思ったんですか?
1個は、えっと、知り合いの別の高専の先生が育休を男性で取られ……、1年間ぐらい取られて。
ふーん。
その時に、実は非常勤講師でその先生の代わりで授業をしたっていうようなときがあって、男性が育休を取るっていうこととか、育休を取れるっていうことを身近で見ていたっていうことが1つあります。
はい。
そういう話を妻としていたので、まあ、取る方向にまず話としては行きますし、先程もちょっとお話したジェンダーの話とかでも、授業で男性の育休取得率がすごく低いっていう、まあ、1桁以下で……1桁ですよね。えっと、っていう数字については授業で触れたりするので、授業で色々男女の夫婦別姓、夫婦別姓実現していない中で、女性が姓を、自分の氏を変える率がすごく高いとかっていうこととか、散々授業で話したりとか、男は仕事、女性は家事とか言いながら、自分がメインで仕事をしてるっていう話をするときに、やっぱり自分の中に矛盾っていうか、こう感じていたので。
確かに。
まあ、自分が子どもできたら、それはやっぱり取りたいよなと思って、妻とも話していたので、子どもができたってわかった時点から、もう取る前提で周囲に相談を始めました。
うん、なんか今までやってきたことからして自然な流れだったって感じですね。
そうですね、そういう風には思います。
どうでしたか? 取ってみて。
あの、まあ、やっぱり取って良かったです。
はい。
妻とも……、周囲にも「産まれたばっかりの赤ちゃんだから、そんなに大変になるのはもう少し後だよ」っていうことも言われたりしましたけど。
ふーん。
まあ、私たちにとっては2人揃って子どもの面倒を見始めるスタートラインが一緒になるっていうのはやっぱりすごく大事だっていう話で最初から一致していたので。
わかります。はい。
おそらくですけど、今、育休……、12月は働いて今とか、それ以降育休取り始めても、妻に「何やればいい」って聞いたりとか、「子どものどういう家事分担がやってほしいと思うのか」みたいなのがわからない。こう、1か月先輩に教わりに行くみたいになっちゃうので。
(笑)そうですね。
そこで最初差がついちゃうと、たぶん違っちゃうんだろうなとは思っていますね。
うん、うん。
最初の1か月ずっと3人で一緒に家にいたので、まあ、子どもの変化とかも同じように気づきを共有したりもできるので。
はい。
まあ、今は仕事復帰して、日中は私は職場にいますけど、家帰って「今日どうだった?」って聞いても、だいたい想像ができるので。
うん、うん。
何があったかとか、何が大変だったかっていうのが。やっぱりそこで共通のスタートラインに立てたっていうのは、すごく大きかったかなと思います。
そうですね。なかなか男性って、この当事者意識みたいなものが生まれづらいし、あとよく言われるのは、しゃべれるようになってからやっとかわいくなるみたいな。
うん。
ことも言ったりしますけど、そういうのがなく、自分も一緒に学んでいくのであるみたいな感じになれるってことですかね?
そうですね、うん。あの、まあ、そういう意味ではやっぱり子ども……、子どもはまだね、私が一緒にいたかどうかわからないので、やっぱり夫婦の問題、コミュニケーションの問題としてすごく大きかったかなと思います。産後うつとか、やっぱり最初の1か月で発症する方がすごく多いっていうのは、最近よく言われていると思いますし、産後うつっていう症例に該当しなかったとしても、知り合いの方から言われたのは、「やっぱり最初の、子ども生まれて数か月の旦那さんの言動とか態度のことを女性は死ぬまで覚えていますよ」みたいなことを知り合いに言われたりして。
(笑)よく言いますね。
うん、その後の夫婦関係っていうか、「長く一緒に家族で暮らしていく上でもすごく大事だよ」って言ってもらったりしていたので、やっぱり夫婦の問題として、それでも今どれくらいお互いにとって良い、いや、取らないよりははるかにマシだったかなと思っています。
その、今、時短っていうのも、今まで例にないってことですか?
まあ、たぶん、そうですね。はい。
それもなかなか難しいというか、決断として簡単ではないように思うんですけど。
あぁ、そうですね、ただ、まあ、取れるならなるべく長くそもそも育休を取りたくて。
へぇ。
えっと、実は来年度というか、この4月からまた8月末ぐらいまでは育休をもう1度、完全な育休に入る予定です。
えっ、3か月、3、4か月取るってことですか?
はい、そうです。分けて取ります。
あ、すごい。
本当は1年丸々きれいに取れるのが理想だったんですけど。
なるほど。
あの、やっぱり、私、今年担任を、学生のクラスの担任をしているので、まあ、担任仕事も誰かに完全に引き継いじゃえばいいんですけど、皆さん、それぞれ別々の仕事があってお忙しいっていうこともあって、まあ、この1、2、3月は、えー、進級とかに関わるような時期なので、一応、私が最後面倒みるっていう意味もあったり。
うん。
自分の担当している授業は、これも自分の高専の性格として、哲学倫理の先生が他にいないので、すぐ誰かに任せられる授業ではないので、やっぱり自分がやらなきゃいけないっていうこともあって、一時的に復帰をして、来年度は、えっと、職場にご相談をして、担任とかの仕事からも1年間外していただくことになっていて、私が抜ける間も非常勤講師をお願いできることに目途がたったので、まとまって取ろうというような色々調整をして2回分割して取って。この1月から3月は短時間勤務とか有休を使ってなるべく職場にいないぞっていうのは周囲に宣言はして、やるっていう感じですね。
へぇ。なんか女性のキャリアを考えるときに、そういうお休みを取ったりとか、時短にしたりすることで、おがぢさんが研究としての何たらっておっしゃってましたけど、そういうキャリアが1回ちょっと遅れるみたいなのがあると思うんですよね。そういうのは何か感じたりしますか?
感じないですね。
ふーん。
同期と出世争いをしているみたいな世界ではあまりないので、研究者としてもあるかもしれないですけど、まあ、別に1年遅れるより……、1年遅れたって1年遅れただけなので、私の場合は1年経てば復帰するっていう前提、ちょっと女性はもう少し長く子育てに時間を取られるかもしれないみたいなこともあるかもしれないですけど。
なるほど、はい。
とりあえず、1年経てば復帰するぞって思って、決めてるこの1年ぐらいなので、そんなに、それよりはるかに子どもと過ごす1年の方が自分の幸福度としては高いかなと思うので(笑)。
うーん。
はい。
時短はいつまで取るんですか?
とりあえず、1月から3月で、ただ、来年の9月以降仕事復帰した後は、一応、保育園に主に入れるっていうことを念頭には置いていて。
はい、はい。
妻も仕事に復帰する予定なんですけど。
うん。
そこも状況に合わせて休みを入れたりとかっていうのは取れやすい。まあ、かなりフレキシブルな職場ではあるので、高専は。取りやすい。
なるほど、なるほど。
もう自分が取ると思って決断して周囲に言って行けば、そのこと自体を非難することは、まあ、法律的にもというかできないですし、別に取れればいいかなとは思っています。
まあ、出世っていうのか、出世って今はそんなにこだわりがある人少ないかもしれないですけど、キャリアとか経験みたいなものが周囲よりも遅れちゃうみたいなことは、そういうジレンマは幸いにもあんまりなかったっていうことなんですね。
そうだと思います、はい。
なんか、結構やっぱり女性もそうだけど、男性は特にそこと闘うのが結構キツいのかなって思うんですよね。
そうですね。それは多分そうなんですけど、いま育休を取るにあたって、やっぱり取りづらいのって、個人の問題っていうよりも、職場の雰囲気とか、それこそ昇給とかキャリアを育児での中断っていうものを前提にせずに、キャリアのコース自体を職場が設計しているってこと自体もおそらく問題があるって思っていて。
うん、なるほどね。
えっと、ある本、育休に関する、男性育休に関する本とかでやっぱり、職場の上司とか、人事の目線として、むしろ男性で育児をして戻ってくるっていうことって、新たな視点を持った社員が増えると。
うん。
別に1年間育児して、ただ休んでるわけじゃなくて、そこで様々な経験をして戻ってくるわけじゃないですか。
はい、そうですね。
それは先程の、前回の話にもなるけど、ジェンダー的な視点を身に付けた社員が1人増えるわけで、それは1年間研修に、社員を外に出すのと同じ意味で送り出してあげるっていうことが、会社にとってもすごく重要なことなんじゃないかって書いてあったりして。
確かに。
まあ、できればそういう風に会社の上司とか人事とかも、社長とかもそういう目線を持つことは、会社にとっても魅力が増すと思いますし、抜ける側の個人としても、自分は休んでみて、別にただ休んでるとは全然思わなくて、やっぱり育児休養ではなくて、休業であって、仕事休んでるけど、その間、育児をしているわけで。
うん、うん。
そこで身に付けたものは、きっとこれから長い意味で自分にとっては武器になるというか、こう役に立つんだっていう視点でやるように思えるようになったので。
うん。
とはいえ、現実、取る上では会社が理解してくれないっていう問題があると思うんですけれども。
なるほどね。
まあ、職場全体の雰囲気自体がそう変わっていく必要があるんだろうなっていうのは思います。
はい、はい、なるほど。私はまあ、会社には属してましたけど当時、フリーランスみたいな感じなんですよね。自分がやった分だけお金が入ってくるとか、あとチャンスをつかんだ分だけ、次のチャンスが現れるみたいな、ライター業ってそういう感じなので。
うん。
私は全然会社に制度がないわけでもないし、あのぉ、なんか逆に恵まれてた方だと思いますけど、それでもやっぱり苦しかったですね。来た仕事を断らなくてはいけないとか、なんかこう、やりたいのにできないみたいなのがすごい苦しくて、そこを自分の中で折り合いをつけるまで、かなり苦しみが……、苦しみっていうとあれだけど、まあ、自分が選択するんですけど、なんか「大変だな、これは」って思いましたね。割り切れるまで。
そうですね。
で、結構割り切れなくて苦しんでいる方もいるし。
うん。
あとは、やっぱりそういうのができるのは大企業なんだろうなと思うし。
そうですよね。実際は、確かにそういう難しいことはあるかなと思っていて、うーん。
そうですよね、でも、やっぱりこう、何て言うか、大局的に見ると、男性がそのどうにもならない赤ちゃんを育てるみたいな(笑)、男性って割と自分のコントロールが効くことばっかりじゃないですか、女性に比べてね。
うん。
それを、どうにもコントロールできない赤ちゃん、もしくは子どもを育てるみたいな経験ってものすごくその人の成長になるっていうか、それはなんかこう、社会の全体の成長につながるみたいな風に大局的にはすごい思います。だから、皆やるべきだって思いますけど。
そうなんですよね。
はい、はい。
個人のやっぱりジレンマの問題は仰るとおりで、やっぱり現にあるし、私も恵まれた環境だからこそ周囲に言えたっていうのはあると思うんですけど。
はい。
そうですね、なので、やっぱり職場の雰囲気とかに対して働きかける風に今ちょうど法律の改正とか、制度もまた設計されるようになっていくと思いますけども、そっち側に対して理解を求めたりとか、さっきも言いましたけど、現実的には確かにね、個人の人生が1年間が空いてしまうとか2、3年こう断絶が空いてしまうってすごく大きいんですけど、ちょっとずつ変わっていくことかなって思いますね。
そうですね、たった1年ぐらいって思うような文化になってほしいですね。
うん、そうですね。
その赤ちゃんと触れ合う方がよほど充実した1年になるみたいなね。
うん。
今、思えばそう思えますけどね、私も。
うーん、そうですね。
そしたらおがぢさんも周りの人に「育休取ったほうがいいよ」ってこう、学生さんとかにも勧めていく感じなんですか?
あぁ、そうですね、それはやっぱり言うと思います。個人の話にもう1回だけ戻るのは。
はい。
やっぱり夫婦仲良くこれから先ずっと暮らしていく必要があると思っているので。
うん。
それが仕事を辞めた後であろうとなんだろうと、この人と一緒にいたいなと思う限り、仕事で成功することも大事だけれども、妻と家帰った後、仲良く過ごす人生の方が大事かなって。
長いですもんね、そっちの方が。
うん、「そっちの方が長いんじゃなね?」っていう感じで(笑)。
(笑)確かに。
って視点も大事なのかなと思いますね。
今しかないからね、そこを埋めておくのは。
うん、うん。
老後で暇になってからそこをもう1回埋めますってできないわけですもんね。
そうですね、どうやらやっぱりそれはずっと恨みが後年まで続くということらしいので。
(笑)経験者が語ってるわけですね。
(笑)。
(笑)。なるほど、なるほど。そっか、面白い。はい、そしたらそろそろね、話したいのは山々ですが、お時間となりましたので。
はい。
えっと、全5回ですけど、おがぢさんありがとうございました。楽しい時間でした。
ありがとうございました。こちらも楽しかったです。
ありがとうございます。じゃあ、以上、栃尾江美と。
おがぢでした。
<書き起こし、編集:折田大器>