【読むPodcast】#215 自分にとって家族とは?(ゲスト:高橋晋平さん)


ゲームクリエイターの高橋晋平さんに、家族のエピソードを話していただきました。ご夫婦でケンカをすることもあるのだとか。とことんまで話して価値観の違いを知ることが晋平さん流だそうです! 

栃尾

クリエイティブの。

高橋

反対語。

栃尾

こんにちは、ストーリーエディターの栃尾江美です。

高橋

こんにちは、おもちゃクリエイターの高橋晋平です。

栃尾

この番組は私、栃尾江美が好きな人やお話したい人をお呼びして、クリエイティブに関することや哲学的なことを好き勝手に話す番組です。えー、晋平さん先週に引き続きよろしくお願いします。

高橋

よろしくお願いします。

栃尾

はい、結構晋平さんからお子さんの話をよく聞くなと思って、奥さんとか。

高橋

はい。

栃尾

で、家族をすごく大事にしてそうな感じがするので。

高橋

はい。

栃尾

「家族って晋平さんにとってどんなものなのかな」っていう、またザックリとした質問をね、してみたいんですけど(笑)。

高橋

はい、当然もう人生のすべてであるし、今となっては。

栃尾

(笑)。

高橋

あの、もう大好きだし、いつも楽しく過ごしてはいるんですけど、まあ、その話をいっぱいしてもあんまり面白くないだろうから(笑)。

栃尾

(笑)そうですか?

高橋

「なんか時々揉めるよね」みたいなことは、うちはあって。

栃尾

うん。

高橋

逆に、「それは皆どうなんだろう」って話をすごい聞きたいんですよ。まあ、今日、とっちーさんと話しているからそれも聞きたいは聞きたいですけど。

栃尾

うん。

高橋

うちはまず、奥さんと仲良いけど、奥さんとよく揉めることもあるんですよね。で、うちは奥さんは家にいて、まあ、今子育て中というか、働きに出ているわけではないという状況なんですけど、やっぱりそれで、僕がずーっと仕事でいなかったりすると、子どもとずーっと向き合っているってすごいキツイと思うんです。

栃尾

うん。

高橋

僕だったら絶対に真似できないし、僕、土曜日に「奥さん休ませなきゃな」と思って、子どもを例えば公園に連れていくじゃないですか。まあ、普段だったら、ギャーギャー騒ぎだしたら、駄菓子買ってあげたり、「まあ、じゃあ、バーガーでも食うか」とか言ってね、バーガーショップ行ってね、ポテトとバーガー食わせれば、まあ何とかなるみたいなことで。

栃尾

(笑)。

高橋

で、また公園行ってとかで、半日過ごすともう限界を迎えるんですよ。

栃尾

クタクタなわけですね(笑)。

高橋

(笑)そうそう、もう体力の限界があって。これをね、ずーっと例えば幼稚園行くにしても、帰ってきてからずーっと毎日、毎日子どもとだけ向き合っているって、もうすごいことだと思って、絶対にそれは代われない。で、「もうこっちは気楽なもんだな」とよく思うんですよ。仕事をしてる奴なんて、仕事に逃げられるじゃないですか。

栃尾

うん。

高橋

言ったら通勤の電車の中だって、すごいリラックスして1人になれるけど、子どもといると1人になることはできないわけだから、これはすごいキツイと。で、まあ、それはわかってて、ものすごく感謝していますが、それでもやっぱり、それでイライラしている奥さんが、だからこう、まあ言ったら多少理不尽なことを言って八つ当たりをしてきたりすると、やっぱりイラッとしちゃうんですよね、僕も。

栃尾

うん、うん。

高橋

で、「そこは大変だからしょうがないか」みたいになれるときもあれば、なれないときもあって、すごく揉めるってことがあったり。

栃尾

(笑)。

高橋

あと、僕がだらしない性格なんで、それで家での生活の……、仕事の「片付け方」みたいなことで揉めたりとかも、まあ、よくありますよね。でも、それは普通の話をしちゃったけど、普通ですよね?

栃尾

うーん、ケンカするんですか?

高橋

ケンカしますよ。

栃尾

言い合い?

高橋

あっ、はい。

栃尾

そうなんだ。

高橋

なんだったらもう、この1年で最大のケンカの話とかありますけど、興味あります?

栃尾

そうですね。はい、聞きたい(笑)。ケンカするんだ晋平さん。

高橋

します、します。

栃尾

しなそうなのに。

高橋

しますよ。

栃尾

うん。

高橋

毎日じゃないですけど。

栃尾

はい、はい、最大の。

高橋

どれくらいの頻度……でも、月に何回かケンカすると思うんですけど。

栃尾

ケンカって何をもってケンカですか?

高橋

まあ、言い争いですね。口喧嘩ですよね。

栃尾

結構強く言います?

高橋

うーん、その強く、もっとも強く言った話っていうのは、今からする話なんですけど。

栃尾

うん、うん。はい、はい。

高橋

それは去年の大晦日の話で、僕が子どもと早く起きて、一緒に遊んでたら、奥さんがちょっと遅く起きてきて、急にブチ切れて。

栃尾

へぇ。

高橋

ゴミが捨てられてないと。

栃尾

あぁ。

高橋

ゴミの日だったんです、大晦日。

栃尾

大晦日で捨てられるんですか?

高橋

はい、うちは地域が、曜日がそれが火曜日だったかな、燃えるごみの日だったんですけど、もう大晦日なんで、完全に休みモードで、曜日感覚とかもう一切なくて、まあ、言ったら浮かれてたんですよ。

栃尾

うん。

高橋

で、「もう今日ごちそう食おうぜ」みたいな感じで子どもとはしゃいでたら、急に来てめっちゃ切れられて。

栃尾

うん。

高橋

今日、ゴミ出せなかったら、次の正月の三が日まで飛ばされるじゃないですか、ゴミ捨てられるのが。

栃尾

うん。

高橋

「じゃあ、次、捨てられるのいつなんだ」って、「もう1週間後だ」っていうので、怒って、めっちゃ怒ったんですよ、奥さんが。で、すごい結構長い時間怒ってたんで、僕がとうとう、それで僕が怒っちゃって。だってまず、悪気ないし。っていうのはまあ、それはいいんだけど、捨てなかったのはまあ悪かったのはわかるけど、「これってさ、大晦日で、もうトラップ級じゃない」みたいな。

栃尾

(笑)そうね。

高橋

「だってさ、これで火曜日で、これで忘れたっていうのが、ここまで責められるかね」っていうので、めちゃくちゃ僕がブチ切れたんですよ、その時。

栃尾

うん。

高橋

で、折角の大晦日なのに、収拾つかなくなって、スゲェあの時3時間ぐらい、こうすっごいケンカしてましたね。

栃尾

ずーっと言い争っているんですか? 3時間ぐらい?

高橋

うーん……言い争ってたと思います、その時。

栃尾

すごーい、すごいエネルギーじゃないですか、体力ある。

高橋

うん、で、ここでだって、そのときにね、もうすっごい色々言ったから割愛するんですけど、まあ、結局しょうもない「ゴミを捨て忘れた」ってしょうもないことで。

栃尾

まあね。

高橋

だから、これ価値観の違いの話で、で最後それで、「でも、これを言い争うのを途中で止めたら絶対にいけない」と、「たぶん、なあなあにして『まあ、いっか』ってやると、絶対どっかでこの話はひっかかってくる」って思ったんですよ。まあ、僕そういう性格なんで。

栃尾

なるほど。

高橋

自分がどう思って、なんでこんなに怒ってるかを伝えきらないといけないと。で、向こうからも出し切らせないと、「あのとき、あいつスゲェ、なんかダメだったな」ってどっちがが思っちゃうと、こういうのって、夫婦の一生に響くんじゃないかって(笑)。

栃尾

そういうこともあるでしょうね。

高橋

そう思ったの。だからその、「ただ、単にゴミを出し忘れたことでも、こういうのの積み重ねで、コミュニケーションを取り戻せなくなるっていうことが、起き得るんだろうな」って、なんか思うんですよ。僕自分が、もともとコミュ障なタイプだと思うし、そもそもは昔って女性と話すことすらできないみたいなやつだったから。

栃尾

へぇ。

高橋

なんかそういうのが容易に想像できて。で、自分の両親とかを見ても、うちはまだ会話多いほうだと思うけど、どうやって言いたいことを切り出してとか、どう冗談を言えばいいのかわからなくなるっていうことってよくあるって思ってて。それは、両親の話っていうよりも、僕と自分の親の関係がやっぱりあるのかなって思って、僕、親とあんまり仲良くないって話、たぶん、前回出たときしたと思う。

栃尾

そうですね。

高橋

鳩時計をね、作った。

栃尾

はい、してました。

高橋

話のときに。だから、それをいつも思っちゃって、それってすごい細かいことを怒りきれなかったことの積み重ねで、なんかね、どっから切り出したらいいか、わからなくなったんですよ、捻れちゃって。

栃尾

うん、うん。

高橋

だから、このゴミを、奥さんからしたら、「ゴミ捨てを忘れることはありえない。だから、許さない」なんだけど、こっちは「もう、時間も戻せないし、大晦日っていうこのトラップでそこまで許せないかね」っていう。

栃尾

(笑)。

高橋

それがホントに「これ許せないってなったら、お互いに許せなくなるぞ」と、色んなことが。

栃尾

うん、うん。

高橋

っていうのは、どうしても言いたかったから、で、最後言い切って、僕らすごい気も合って仲良いんですけど、「やっぱりここはもうお互い絶対に擦り合わないな」ってことで終わったんですよ。

栃尾

おー、そうなんだ。

高橋

「ゴミを出さないっていうのが、どれだけ悪いことかっていうのは、もう変えられない」と、奥さんからしたら。

栃尾

(笑)。

高橋

でも、こっちからしたら、「いや、これもしかしたら、1週間後かもしれないけど、ベランダに置いておくしかないじゃん。こうなったら」って、「だって時間は戻んないし、もう来ないんだもんゴミ収集車は」っていうことを3時間ぐらい喋ってたっていうことだけど、そういうことはありました。

栃尾

へぇ。

高橋

でも、そういう風に、言い切るのが大事とは思ってて、それで言ったら、やっぱり普段の家事とかも、やっぱね、擦り合わないんですよね。

栃尾

まあねぇ。

高橋

僕、基本的に、晩御飯の皿洗いは家にいるときはするんですけど、「皿を戻す位置が違う」っていうのはいつも怒られるんですよ。

栃尾

なるほど、結構細かく言われちゃうんですね。

高橋

うんと、全部のことを細かくは言われないけど。

栃尾

うん、うん。こだわりがいくつか。

高橋

そう、いくつかこだわりがあるんです。何をやっても「ありがとう」ってなる家事もあれば、「それはちょっと信じられない」ってなる家事もあるっていう、それを未だに今年10周年なんです、結婚10周年なんですけど。

栃尾

はい、おめでとうございます(笑)。

高橋

ありがとうございます。でも、未だにそれを探り合ってるんだなっていうのをよく思う。

栃尾

なるほどねぇ。

高橋

うん、だから、そうやってコミュニケーションを、何かに捻れて、そのときにいつでも取り戻せるようにしておきたいなってよく思ってて。

栃尾

うん、そうですね。

高橋

それは、子どもに対してもそうで。

栃尾

うん、うん。

高橋

いくら、6歳と3歳なんですけど今、そんな歳でも、なにかやっぱりこっちが間違ったら絶対にすぐ謝るし、とか。あと、叱るって言うよりも話し合いたいとか、子どもだからそういうの逆にストレスかもしれないけど、なんかそういうのを……、回復力を強めたいなって思ってます。

栃尾

うーん、わかります、わかります。私、言ったかな、私離婚したんですけど。

高橋

あ、そうなんですか?

栃尾

あぁ、そうそう(笑)。

高橋

えー、それは初耳。

栃尾

だから夫婦の話だと、もしかしたらそれが積み重なっちゃったのかもしれないんですけど。

高橋

あー、はい。

栃尾

まあ、でも、積み重なったんでもないのかな。まあ、結構、あのー、まあ、難しいな(笑)。まあ、それはいいとして、でも、子どもの話で言うと、やっぱり結構わかりますね。というのは、こっちが、なんだろうな、こっちが正しいことを言ってる。つまりルールを破ったから、「ゲームを何時に終わる」って言ったのに終わらなかったから、「もう早く止めなさい」って言ってるのに、その言い方に対してめちゃめちゃブチ切れられるみたいなことがあって(笑)。

高橋

はい、はい。

栃尾

それは、お互いの正しさを主張しても、終わらないので、「それは、私が強く言ったのはごめんね」と。

高橋

うん。

栃尾

で、彼も「キレたのはごめんね」と、「でも、ホントにあれは嫌だったんだ」みたいな感じで、お互いに落ち着いてから「ごめんね」って言い合うっていう関係性ですね、うちは。

高橋

あぁ、すごくいいですね。

栃尾

で、怒ってるときに、何を言っても、うちの子に対してはですよ。

高橋

うん。

栃尾

「怒ってるときに、どんなに正論を言っても、どんどん火に油だな」ってことがわかったので。

高橋

うん。

栃尾

で、逆に落ち着いてから話すと、すごくすごくわかってくれるので、そのギャップがめちゃくちゃ激しいんですけど、うちは落ち着くまでもうじっと待つみたいな感じです。

高橋

あぁ、まあ、男子ってねぇ。

栃尾

そう、男子(笑)。

高橋

うーん。

栃尾

まあ、男子にとってね、母親はね、ウザくてしょうがないっていうのは、まあしょうがないことだと思うので。

高橋

そうだよなぁ、いや、その話を、こういう友だちから聞くのって、自分の、自分の親に対してのリハビリになるなっていつも思いながら聞いてて、自分も男だと相当ウザかったんだろうなっていうのは思うのは思う。昔、うーん。

栃尾

(笑)そうですね。

高橋

うん、なんか、でも、笑いが解決するとは思ってて。

栃尾

あぁ。

高橋

僕はもう「笑い至上主義」なんで、絶対笑いを絶やさないことが最強だと思っていて、で、最近『note』の記事にも書いたんですけど、家族独特の言葉みたいなのってすごい大事だよねって思ってて。

栃尾

うん。

高橋

うちやっぱ、僕が一番シュールなんだけど、他の奴らもその影響でシュールになってきて。

栃尾

(笑)。

高橋

こう、わけわかんない言葉を爆誕させるんですよ。

栃尾

おー。

高橋

まあ、うち白いご飯のことを「よね」って言ってるんですけど、全員。

栃尾

(笑)読んだかも。

高橋

で、その「よね」。

栃尾

うん、うん。

高橋

「熱々のよねだ」って言って喜んでるんですけど、やっぱりこの「よね」って言ってる以上、ケンカしても最後の一線守られるんですよね。

栃尾

なるほどねぇ。

高橋

だからなんか、例えば茶碗がね、「それ茶碗じゃねぇ」みたいに怒られるケースはね、「茶碗に似てるけど、それは煮物用のやつだ」みたいな。

栃尾

あぁ。

高橋

っていうことも未だにあるんですけど、で、なんか「それに入れちゃいけない」みたいな。「うるせぇ」みたいな。「よね、何に入れてもいいじゃねぇか」みたいな(笑)。

栃尾

面白い(笑)。

高橋

「よね、それじゃないから、それ『よね』用じゃないから」みたいに言っている以上、やっぱり最後の一戦は越えないだろうなって。

栃尾

確かにちょっとくすっとしちゃいますね(笑)。

高橋

そう、だからその家族語みたいなのは、非常に重要なツールだと思ってますけど。

栃尾

なるほどね。うちも男子なんで、すっごいくだらないことばっかり言ってるんですけど、私も負けない、負けないっていうか、外では言えないけど、すごいつまんないギャグみたいなのとか、ダジャレみたいなのとかを言って、「ママ、馬鹿だな」って言われるのを結構大事にしてますね。

高橋

あぁ、すっごい大事ですね。すっごい大事。

栃尾

「なんか子どもを笑わせられる母親が最強だな」ってあるとき思ったんですよ。

高橋

うん。

栃尾

「やさしい」とか、「よくできる」とかじゃなくて、「笑わせられる母が最強だ」って思ったから、それからなんとなく気をつけてますね。

高橋

本当にそうだと思います。

栃尾

ね。

高橋

100%同意見ですね。

栃尾

(笑)。もうちょっと頑張んないと(笑)。そうですね、笑いですね。

高橋

やっぱり顔がにやにやしながら怒れないっていうね、人間は。

栃尾

はい。

高橋

だから笑ってれば絶対に大丈夫だと思います。

栃尾

はい、素敵に締まったところで、今日はこれぐらいにしたいと思います。はい、以上、栃尾江美と。

高橋

高橋晋平でした。

<書き起こし、編集:折田大器

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